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最終更新日:
2026-10-05

「いつもより眠い」「胸が張っている」といった体の変化に気づき、妊娠の兆候なのか、生理前の症状や一時的な不調なのか気になっている人もいるのではないでしょうか。生理が遅れていると、検査薬を使う時期や、病院に行くタイミングにも迷うものです。

妊娠初期には、吐き気や眠気、だるさ、胸の張り、おりものの増加などがみられることがあります。しかし、こうした変化は生理前にも起こることがあり、症状だけで妊娠しているかを判断することはできません。

この記事では、妊娠初期の代表的な症状と現れる時期、検査・受診の目安を解説します。

妊娠初期にはどのような症状がある?

妊娠初期の症状はさまざまなものがあり、人によってもどの症状が現れるかは異なります。ここでは代表的な妊娠初期症状について紹介します。

つわり(吐き気・嘔吐)

吐き気や嘔吐などの症状は妊娠初期に起こりやすい変化で、一般的に「つわり」と呼ばれます。日本の妊婦623名を対象とした調査では、妊娠初期にあたる56名のうち83.9%が吐き気を経験したと報告されています1)。なお、この調査の妊娠初期の対象者は56名であり、以下で紹介する妊娠初期の割合も同じ調査によるものです。数値は目安としてご覧ください。

症状が起きる時間帯は朝・日中・夜を問わず1日中症状が起こることがあり、空腹のときに強くなりやすいのが特徴です。吐き気に伴って食欲が落ちたり、以前は好きだったものを食べたくなくなったりすることがあります。反対に、特定の食べ物ばかり食べたくなる人もいます。

つわりが始まると、普段は気にならないにおいを強く感じるようになり、においをきっかけに吐き気が強くなることもあります。

つわりが起きる原因はまだ完全にわかっていないものの、近年では、胎児・胎盤から分泌される「GDF15」というホルモンが関与している可能性が指摘されています2)。GDF15は脳幹に作用してつわりの吐き気を引き起こすと考えられており、妊娠中にこのホルモンの血中濃度が上昇することが、つわりの症状に関わっているとみられています。

さらにこの研究では、つわりの重さには、胎児側がつくるGDF15の量だけでなく、お母さん側のGDF15への感じやすさも関わることが示されました。妊娠前からGDF15が低い人ほど強い症状が出やすく、もともと高い人は症状が軽い傾向があります。つわりの重さに個人差があるのは、体質的な背景があるためと考えられます。

胸の張り

妊娠初期には胸の張りや痛みを感じる人が多く、いくつかの調査では8割近くの妊婦にみられたという報告もあります。胸の変化として挙げられるのは、主に次のような症状です。

  • 乳房が張る・痛む
  • 乳首がチクチクする・痛む
  • 乳房がいつもより重く感じる・大きくなる

妊娠するとエストロゲンやプロゲステロンの分泌が増え、乳管や乳腺組織が発達することが主な原因と考えられています。症状が続く期間には個人差があり、妊娠中期・後期まで続く人もいれば、体がホルモンの変化に慣れて数週間ほどで落ち着く人もいます。

妊娠初期の胸の張りについては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

お腹の張りや痛み

妊娠初期のお腹の張りや痛みも珍しいものではありません。国内の調査では、妊娠初期の妊婦の91.1%が「腹部の締め付け感」を自覚したと報告されており、多くの人が経験する変化のひとつです。

主な原因は、大きくなる子宮を支える円靭帯が引き伸ばされることや、一時的な子宮の収縮、プロゲステロンの影響による便秘や胃の不調などです。こうした痛みは妊娠に伴う生理的な変化であることが多く、安静にすると自然に落ち着く場合がほとんどです。

一方で、痛みが繰り返し起こる・しだいに強まる、多量の出血を伴う、発熱や嘔吐があるといった場合は、流産や異所性妊娠、感染症などの可能性もあるため、早めに受診をしましょう。

妊娠初期の腹痛については以下の記事で詳しく解説しています。

眠気・だるさ・熱っぽさ

妊娠初期には、日中に強い眠気を感じたり、体がだるく疲れやすくなったり、熱っぽさを感じたりすることがあります。日本における調査では、妊娠初期にこれらの症状を経験した人は眠気が91.1%、だるさ(全身倦怠感)が92.9%、熱っぽさ(体熱感)が48.2%と報告されています1)。

これらの変化の要因の一つと考えられるのが、妊娠すると分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

プロゲステロンの分泌が増えると、眠気が強くなります。さらに妊娠初期は、夜間の尿意や吐き気、不安などで眠りが浅くなりがちです。睡眠の質が下がることによって、日中の眠気やだるさが強まり、いつもどおりの家事や仕事をしただけで疲れを感じる人もいるでしょう。

また、プロゲステロンには体温を上げる作用があります。通常は生理が始まると基礎体温が下がりますが、妊娠すると高温期が続くため、熱っぽさを感じやすくなります。ただし、風邪や感染症などが原因で発熱している可能性もあるため、体温だけでなくほかの症状についても確認してください。

37.5〜38.0℃以上の熱や咳、喉の痛みなど感染症が疑われる場合は、医療機関に連絡して妊娠の可能性があることを伝えたうえで受診しましょう。妊娠初期の熱っぽさについて詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

不眠

妊娠初期では眠気の症状が出る一方で、不眠の症状が出るケースもあります。日本の調査では6割以上の人が妊娠初期に入眠困難を感じていたと報告されています。

主な原因は、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンの変化、つわりや頻尿による不快感、環境の変化に伴う不安やストレスなどです。現時点では、眠れないことが赤ちゃんに直接影響するという根拠は乏しく、過度に心配する必要はありません。

短い仮眠や就寝前の入浴、寝る前のスマートフォン操作を控えるといった工夫を取り入れ、市販薬や睡眠薬は自己判断で使わないようにしましょう。ただし、大きないびきや気分の落ち込み、脚のむずむず感などの症状を伴う場合は、他の原因の可能性もあるため医師に相談してください。

妊娠初期の不眠については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

めまいや立ちくらみ

妊娠初期には、頭がふわふわする、急に目の前が暗くなるといっためまいや立ちくらみを感じる人も少なくありません。国内の調査では6割以上の人が妊娠初期に経験したと報告されています。

主な原因は、妊娠に伴う血圧の低下やホルモンの影響による血圧調整の乱れ、つわりによる脱水、血液が相対的に薄まることによる貧血などです。めまいを感じたときは、転倒を防ぐためにその場で座ったり横になったりして安全を確保し、水分や食事をこまめにとるよう心がけましょう。

ただし、強い腹痛を伴う場合は異所性妊娠(子宮外妊娠)による腹腔内出血の可能性もあるため、腟からの出血がなくてもすぐに医療機関を受診してください。

妊娠初期のめまいや立ちくらみについては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

おりものの変化

妊娠初期には、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が高まることで、おりものの量が増えたと感じることがあり、国内の調査では妊娠初期の妊婦の8割以上がおりものの増加(調査内では「帯下の増加」と表現)を自覚していたと報告されています。

妊娠初期のおりものの色は透明から乳白色、性状は水っぽくさらさらしていることが多く、においもほとんどないのが一般的です。ただし個人差が大きく、おりものの変化だけで妊娠を判断することはできません。

濃い黄色や黄緑色、生臭いにおい、強いかゆみなどを伴う場合は、細菌性腟症やカンジダなどの感染症の可能性があります。また、出血や強い下腹部痛を伴う場合は流産や異所性妊娠の可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

妊娠初期のおりものについては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

妊娠初期の症状はいつから現れる?

妊娠初期症状が現れ始める時期は個人差もあるものの、妊娠4〜6週頃が一つの目安となります3)。

妊娠に伴う症状が現れた時期について調べた海外の調査結果を紹介すると、出産に至った136人のうち半数は、最終月経の開始日から36日目(妊娠週数では妊娠5週1日に相当)までに何らかの症状を感じ始めていたという結果があります。またこの調査では、最終月経の開始から8週(妊娠8週)以内には、89%が症状を感じ始めていたことも報告されています4)。

この結果からは、多くの人は妊娠初期の段階で何らかの症状は経験するものの、妊娠8週頃の時点でも目立った症状を感じない可能性もあります。妊娠しても聞いていた症状がなかったり、軽い症状しかなかったりすると不安になるかもしれませんが、症状の内容やあらわれる時期には個人差があります。症状の有無だけで妊娠経過を判断せず、まずは落ち着いて経過を見ていきましょう。

なお、この研究は米国で行われた比較的小規模な研究で、妊娠を試みていた女性221人のうち、出産に至った136人を解析した結果であるため、結果をすべての妊婦にそのまま当てはめられるとは限りません。あくまで参考程度に考えるようにしてください。

妊娠初期の症状だけでは妊娠しているかわからない

妊娠初期の症状だけを見て、妊娠したかどうかは判断できません。妊娠初期にみられる変化には、一般的な不調にみられる症状や、生理前の不調と共通するものもあります。

先述した妊娠初期の症状のうち、眠気やだるさ、胸の張り、お腹の痛みなどは、月経前症候群(PMS)でもみられます。PMSは生理前に現れる心身の不調で、生理が始まると症状が緩和されるのが特徴です。そのため、生理予定日前後のある時点の体調だけを見て、妊娠しているかどうかを見分けることはできません。

一方で、妊娠していても症状があまり感じられない人もいます。吐き気や胸の張りなどの症状がないからといって、妊娠していないとも限りません。

妊娠の可能性がある場合の具体的な対応は次で紹介します。

妊娠の可能性がある場合の対応

妊娠の可能性がある場合、まずは生理予定日の1週間後を目安に、妊娠検査薬で確認しましょう。判定が陽性だった場合は、産婦人科を受診しましょう。なお、強い腹痛や出血がある場合は、検査の結果を待たずに受診してください。

検査薬が陽性のとき・陰性でも生理が来ないとき

妊娠検査薬で陽性が出て産婦人科を受診する場合は、最後の生理開始日から数えて5〜6週目ごろ(生理予定日の1〜2週間後)が目安となります。

医療機関では超音波検査を行い、赤ちゃんが入る袋である胎嚢が子宮の中にあるかを確認して、妊娠しているかどうかを診断します。妊娠5〜6週より早い時期では胎嚢がまだ確認できず、再受診が必要になることがあります。

妊娠検査薬が陰性で生理が来ないときは、まず適切な時期に検査していたかを振り返ってください。推奨時期より早く検査していた場合や排卵が遅れていた場合は、1週間ほどあけて再検査すると、正確な結果が得られることがあります。再検査しても陰性で、生理も来ない場合は、産婦人科を受診してください。

受診の際は、最後の生理が始まった日や普段の生理周期を伝えられるようにしておくと、診察の参考になります。

強い腹痛や出血などの症状があるとき

強い腹痛や出血は、妊娠に関係する異常や、妊娠以外の病気が原因のこともあります。自己判断で様子を見ず、すぐに産婦人科を受診してください。特に次のような症状には注意しましょう。

  • 月経2日目のような多量の出血がある
  • 出血に強い腹痛を伴う
  • 出血や腹痛に、めまい・立ちくらみを伴う
  • 片側の下腹部に強い痛みがある
  • 痛みが波のように繰り返す、しだいに強まる

また、吐き気や嘔吐が強くて十分に水分をとれない場合も、処置が必要になることがあります。不安なことや気になる症状がある場合は、我慢せず医療機関を受診しましょう。

妊娠の可能性がある場合の過ごし方

妊娠が疑われる場合は、妊娠している前提で過ごすとよいでしょう。

前述の米国の研究の著者らは、最も早く現れる症状でも、赤ちゃんの体の重要な部分がつくられる時期を過ぎてから始まる点を指摘しています。症状に気づいてから生活を見直すのでは間に合わない面があるため、妊娠を考えている段階から、飲酒や喫煙、薬の使用について整えておくことが勧められます。

日常生活では、次のような点を意識してください。

食事 ・少量ずつこまめにとる
・肉は十分に加熱する
・カフェインは控える(コーヒーならマグカップ2杯程度を1日の上限の目安に)
仕事 ・体調が優れないときは無理をしない
・必要に応じて勤務の調整を相談する
飲酒・喫煙 ・避ける
薬 ・服用する前に医師や薬剤師に相談する

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妊娠に気づく前に、アルコールを少量飲んだり、避けたほうがよい食品を少量食べたりしていた場合でも、過度に心配する必要はありません。妊娠の可能性に気づいた時点から飲酒や喫煙はやめ、心配なことがあれば医師に相談してください。服用中の薬は自己判断でやめず、医師や薬剤師に相談しましょう。

妊娠初期の仕事や飲酒については、以下の記事もあわせてご覧ください。

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妊娠初期症状に関するよくある質問

妊娠初期症状に関するよくある質問と回答をまとめています。

Q:妊娠したら着床出血があるのですか?

A:受精卵が子宮内膜に着床する過程で起こる少量の出血を、一般に「着床出血」と呼びます。生理予定日の数日前から予定日ごろにみられることがあり、薄いピンク色や茶色で、少量かつ短期間で終わることが多いとされています。

ただし、着床出血は医学的な診断名ではなく、すべての妊娠で起こるわけでもありません。出血の量や色には個人差があるため、見た目だけで生理と見分けることは困難です。妊娠の可能性がある場合は、出血があった日ではなく生理予定日を基準に、1週間後を目安に妊娠検査薬を使用しましょう。

月経のような多量の出血や強い腹痛、片側の下腹部痛、めまいを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。

妊娠初期の着床出血については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

Q:妊娠初期症状として腰痛が現れることはありますか?

A:腰痛も妊娠に伴う症状としてみられる可能性があります。

妊娠初期の腰痛には、靭帯をゆるめる作用をもつリラキシンなどのホルモンが関わっていると考えられていますが、はっきりとした原因はまだ研究段階です。症状をやわらげるには、重い物を持つ作業や前かがみの姿勢を控え、こまめに休息をとるなど、腰への負担を減らすことが基本です。

痛みが強い場合や出血・腹痛を伴う場合は医療機関を受診してください。

妊娠初期の腰痛については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

Q:妊娠初期症状としておならが増えることはありますか?

A:妊娠初期症状としておならが増えたと感じることがあります。

妊娠初期は、黄体ホルモンが増える影響で腸の動きが鈍くなり、便秘や腹部膨満が起こりやすくなり、腸内のガスがたまりやすくなることで、おならが増えたように感じる場合があります。

妊娠の経過には問題ない場合が多いですが、症状が気になる場合は便秘に対する薬や整腸剤などで妊娠中も使用できる種類があるため、医療機関で相談してみましょう。

院長からのメッセージ

「これって妊娠初期症状でしょうか」というご相談は、本当によくいただきます。生理が遅れている、眠い、胸が張る。自分の体調に敏感になっていることは良いことですし、症状のひとつひとつに意味を見出したくなる気持ちは、よくわかります。

ただ、まず最初にお伝えしたいこととして、症状から妊娠の有無を判断することはできません。眠気も胸の張りもお腹の痛みも、生理前に起こるものと重なります。逆に、妊娠していてもほとんど何も感じない方が一定数いらっしゃいます。この記事で紹介した調査では、出産に至った方のうち半数は、妊娠5週を過ぎるまで何の症状もありませんでした。「何も感じないから妊娠していないのでは」「赤ちゃんが育っていないのでは」と心配される必要はありません。確かめる方法は、検査薬と超音波だけです。

そのうえで、この調査にはもうひとつ知っておいていただきたい結果があります。妊娠初期の症状が現れ始めるのは、赤ちゃんの体の大事な部分がつくられる時期を過ぎてからだ、という点です。症状に気づいてから生活を変えるのでは、少し遅いということになります。

ですから、妊娠を考え始めた時期から、お酒とたばこを控え、葉酸をとり、薬は確認してから飲む。これがいちばん確実な方法です。妊娠に気づく前にお酒を飲んでいた、薬を飲んでいたという方もいらっしゃいますが、過度に気に病む必要はありません。気づいた時点から整えていけば十分です。

症状があるかないかに一喜一憂してしまうより、生理が遅れたら検査薬を使い、陽性なら受診する。この段取りだけ覚えておいていただければ、少し気が楽になるのではないでしょうか。

参考文献

1)新川治子, 島田三恵子, 早瀬麻子, 乾つぶら. 現代の妊婦のマイナートラブルの種類,発症率及び発症頻度に関する実態調査. 日本助産学会誌. 2009;23(1):48-58.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_48/_pdf/-char/ja

2)Fejzo M, Rocha N, Cimino I, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625(7996):760-767.
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06921-9

3)Signs and symptoms that might mean you're pregnant. NHS.
https://www.nhs.uk/pregnancy/trying-for-a-baby/signs-and-symptoms-that-might-mean-youre-pregnant/

4)Sayle AE, Wilcox AJ, Weinberg CR, Baird DD. A prospective study of the onset of symptoms of pregnancy. J Clin Epidemiol. 2002;55(7):676-680.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12160915/