最終更新日:
2026-02-24

出血だけでは着床出血と生理を判断できない

生理予定日に近い時期の出血は、着床出血なのか生理なのか区別がつきにくいものです。一般的に、着床出血は少量で短期間といわれ、生理はある程度の出血量が数日続くとされています。

しかし、出血の量や色、期間には個人差があり、生理のように見える出血でも妊娠しているケースや、妊娠していても出血がみられるケースもあります。

そのため、「出血の見た目」で判断しようとするのではなく、以下を基準に考えることが大切です。

  • 最終月経からの経過日数
  • 妊娠検査薬を使う時期

着床出血とは?

受精卵が子宮内膜に着床する過程で、少量の出血が起きることがあります。この出血は一般的に「着床出血」と呼ばれています。

ただし、「着床出血」は医学的に明確な診断名ではなく、すべての妊娠で起こるわけでもありません。実際には、妊娠初期にみられる少量の出血を振り返って「着床出血だった可能性がある」と考えられることが多いとされています。

出血がみられる時期は、生理予定日前後と重なることがあるため、生理との区別がつきにくい点が特徴です。

なお、妊娠初期の出血には、正常な妊娠経過の一部である場合もあれば、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)などが関係している場合もあります。

月経のような多めの出血が続く場合や、強い腹痛、片側の下腹部痛などがある場合は、医療機関への受診を検討してください。

着床出血と生理との違い

一般的に、着床出血は少量かつ短期間であることが多いとされ、生理はある程度の出血量が数日続くと説明されることがあります。

ただし、出血の量や色、持続期間には個人差があり、特徴だけで確実に見分けることはできません。

【着床出血と生理の違い】

項目 着床出血 生理
出血量 軽い出血、点状出血 比較的多い出血が続くことが多い
期間 数時間〜2-3日程度 3〜7日1)
薄いピンク〜茶色が多い 鮮やかな赤〜暗赤色
血の塊の存在 みられないことが多い みられることがある
時期 生理予定日の数日前〜予定日頃 周期に応じた予定日
39~41歳 1.72 ng/mL 1.07-2.92
42-44歳 1.13 ng/mL 0.51-1.86
45-49歳 0.32 ng/mL 0.15-0.74

着床出血が起こる頻度については報告によって差がありますが、妊娠した方の15〜25%程度とする調査があります(Harville et al., Human Reproduction, 2003)。生理のような出血があっても妊娠している場合もありますし、出血がなくても正常に妊娠している場合がほとんどであるため、出血の有無で妊娠を判断することはできません。

出血の見た目だけで判断せず、最終月経からの経過日数や妊娠検査薬の使用時期を基準に考えることが大切です。妊娠の可能性がある場合は、適切なタイミングで妊娠検査薬を使用し、不安があれば医療機関を受診しましょう。

着床出血後、妊娠検査薬はいつから使える?

「着床出血かもしれない」と思うと、すぐに妊娠検査薬で確認したくなるかもしれません。しかし、検査のタイミングが早すぎると、妊娠していても陰性になることがあります。

妊娠検査薬は、妊娠すると分泌が始まるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを尿中で検出する仕組みです。妊娠初期はhCGの量がまだ少ないため、時期が早すぎると正しく判定できない場合があります。

重要なのは、「出血があった日」ではなく生理予定日を基準に考えることです。

一般的な妊娠検査薬は生理予定日の約1週間後からの使用が推奨されています。生理予定日前に検査すると、妊娠していても陰性になる可能性が高くなります。

そのため、着床出血かもしれない出血があった場合でも、まずは生理予定日を確認し、推奨されている時期まで待ってから検査することが大切です。

妊娠検査薬のタイミングや使い方については、こちらの記事をご覧ください。

早期妊娠検査薬と通常の妊娠検査薬との違い

早期妊娠検査薬は「体外診断用医薬品」に分類され、薬剤師のいる薬局などで購入できる妊娠検査薬です。

通常の妊娠検査薬がhCG濃度50IU/L程度で反応するのに対し、早期妊娠検査薬はより低い濃度でも検出できるよう設計されているため、通常の検査薬より早い時期から検査が可能です。

一方で、妊娠のごく初期の変化も検出する可能性があるため、化学流産を検出してしまう可能性もある点には注意が必要です。化学流産とは、妊娠反応(尿中・血中hCG陽性)が確認されたにもかかわらず、超音波検査で胎嚢が確認される前にhCGが下がってしまうことをいいます。

どちらを選ぶ場合でも、使用説明書に従い、推奨されている時期を守ることが重要です。

妊娠検査薬の結果の考え方

妊娠検査薬の結果は、検査時期や排卵日のずれなどの影響を受けます。陰性・陽性それぞれの考え方を確認しましょう。

妊娠検査薬で陰性だった場合

検査時期が早すぎてhCGが十分に分泌されていない場合や、生理周期が不規則で排卵日がずれている場合は、偽陰性になることがあります。

陰性でも生理が来ない場合は、1週間後に再検査し、心配な場合は医療機関を受診してください。

妊娠検査薬で陽性だった場合

妊娠検査薬で陽性が出た場合、妊娠している可能性があります。ただし、この結果だけでは正常な妊娠かどうかまでは判断できません。

最終的な確認は、医療機関での診察と超音波検査によって行われます。一般的には、生理予定日から1〜2週間後を目安に受診すると、子宮内に胎嚢が確認できる時期(妊娠5週頃)と重なることが多いとされています。

なお、強い腹痛や出血量の増加がある場合は、時期を待たずに医療機関へ相談してください。

また、不妊治療でhCGを含む薬剤を使用している場合などは、妊娠していなくても陽性反応が出ることがあります。不安がある場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。

妊娠初期の出血で受診を検討するケース

妊娠初期の出血の中には、経過観察となるケースもあります。ただし、次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。

  • 月経のような多量の出血が続く
  • 強い腹痛、とくに片側の痛み
  • めまいや意識が遠のく感じ

妊娠初期の出血には、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)など緊急対応が必要なケースもあります。迷う場合は医療機関へ相談しましょう。

着床出血や妊娠検査薬に関するよくある質問

着床出血や妊娠検査薬について、多くの方が抱く疑問にお答えします。

着床出血がなくても妊娠している可能性はありますか?

「着床出血」と呼ばれる妊娠初期の出血は、妊娠された方すべてに起こるわけではありません。着床出血が起こる頻度については報告によって差がありますが、妊娠した方の15〜25%程度とする調査があります。そのため、出血がなくても妊娠している可能性は十分にあります。

妊娠の有無を確認するには、適切な時期に妊娠検査薬を使用するようにしましょう。また、確定診断は、産婦人科を受診し超音波検査で子宮内に胎嚢(たいのう)を確認する必要があります。

生理予定日前に妊娠検査薬を使っても意味がありませんか?

検査自体は可能ですが、陰性でも妊娠を否定できません。

一般的な妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から、早期妊娠検査薬でも生理予定日当日からの使用が推奨されています。正確な結果を得るには、適切な時期まで待つことが大切です。

院長からのメッセージ

生理予定日が近づいているのに少量の出血がある——そんなとき、「これは着床出血?それとも生理が始まっただけ?」と、答えの出ない問いを繰り返してしまう方は少なくありません。妊娠を希望している方にとって、この数日間の不確かさはとても長く感じられるものです。

ただ、実際のところ、出血の色や量だけで着床出血かどうかを判断することは、医学的にも難しいのです。「着床出血」は医学的な診断名ではなく、妊娠のごく初期に見られる出血を、後から振り返って「そうだったかもしれない」と考えるものです。妊娠した方でも出血が起こるのは一部の方に限られており、出血がなくても正常に妊娠しているケースの方が多いのです。

大切なのは、出血の見た目で結論を出そうとするのではなく、生理予定日を基準に適切な妊娠検査薬のタイミングを考えることです。一般的な妊娠検査薬であれば生理予定日から1週間後、早期妊娠検査薬であれば各製品の説明書に従って使用してください。検査が早すぎると、妊娠していても陰性になることがあります。

ただし、強い腹痛や多量の出血、片側の下腹部痛、めまいなどがある場合は、時期を待たずにすぐに受診してください。これらは異所性妊娠(子宮外妊娠)など、緊急対応が必要な状態のサインとなることがあります。

答えが出るまでの時間は、不安で落ち着かないかもしれません。ただ、焦って結論を出そうとするより、適切な時期に正確な方法で確認することが、自分自身を一番守ることにつながります。

参考文献

1)日本産婦人科医会

2)日本産科婦人科学会

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