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最終更新日:
2026-07-28

40代で妊娠を希望している方のなかには、「自然妊娠できる確率はどのくらいなのか」「同じ40代でも妊娠しやすい人にはどのような特徴があるのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

女性の妊娠する力は年齢とともに低下する傾向があり、40代では自然妊娠だけでなく、人工授精や体外受精などの不妊治療でも年齢の影響を受けます。ただし、妊娠のしやすさには卵巣や子宮の状態、パートナーの精子の状態なども関係するため、年齢だけで判断できるものではありません。

この記事では、40代で妊娠しやすい人にみられる傾向や、年齢・年代別の自然妊娠率、不妊治療における妊娠率について解説します。また、40歳以降に妊娠しにくくなる理由や、妊娠を希望するときに受診を考えるタイミングについても紹介します。

40代の妊娠率はどのくらい?40歳・41歳・42歳の具体的な数値など

一般的に妊娠のしやすさは20歳前後をピークとし、30代後半以降は年齢を重ねるにつれて妊娠が難しくなってきます。40代ではその傾向はさらに強くなり、45歳を過ぎると妊娠の可能性はほぼなくなるとされています。

ただし、40代でも妊娠をまったく望めないわけではなく、毎年一定数の人が実際に出産まで至っています。ここでは40代での妊娠率について、自然妊娠での妊娠率と不妊治療を実施しての妊娠率を紹介します。

40代での自然妊娠の妊娠率

自然妊娠での妊娠率を調査した研究で、日本のカップルを対象とした観察研究があります1)

この研究では1周期あたりに妊娠する確率を年齢ごとに推定していますが、その妊娠率の中央値として、40代では1%という結果が示されています。

年齢層 1周期あたりの妊娠率(中央値)
24歳以下 18%
25〜29歳 13%
30〜34歳 10%
35〜39歳 6%
40歳以上 1%

同じ40代でも妊娠のしやすさには個人差があり、年齢だけで一概に判断できるわけではありません。しかし、40代以降の自然妊娠は現実的には簡単でないことがこの結果からもわかります。

不妊治療での妊娠率①|41歳〜42歳と42歳を超える人の人工授精での妊娠率

不妊治療にはいくつか種類があり、比較的自然妊娠に近い不妊治療として人工授精があります。人工授精は、採取した精液を洗浄・濃縮して運動性の高い精子を集め、排卵のタイミングに合わせて子宮内へ注入する治療法です。

人工授精での妊娠率については、2004年~2013年に日本の不妊治療クリニックで排卵誘発を行わない人工授精を受けた女性を対象とした調査結果が報告されています。この調査では、人工授精1周期あたりの平均妊娠率は、41~42歳で3.6%、42歳を超える女性で0.9%でした2)

もともと妊娠しにくいカップルを対象とした調査であり、排卵誘発を行わない人工授精の結果である点を考慮する必要がありますが、40代では人工授精による妊娠も難しくなる傾向が示されています。

不妊治療での妊娠率②|40歳〜42歳と43歳以上における生殖補助医療(ART)での妊娠率

不妊治療の中でも高度不妊治療に分類されるものが、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)です。体外受精は、採卵手術により卵子を採取し、体の外で精子と受精させてから子宮に移植する治療法です。

体外受精などの生殖補助医療の妊娠率は、日本産科婦人科学会が公表しているARTデータブックに治療成績として掲載されています3)。日本の医療機関における生殖補助医療の結果が掲載されており、国内での不妊治療の実情を知ることができる内容となっています。ARTデータブック2023による2023年の生殖補助医療の結果は以下のとおりです。

移植周期数 妊娠周期数 妊娠率
40歳 23,578 7,847 33.3%
41歳 19,672 5,763 29.3%
42歳 19,803 4,840 24.4%
43歳 12,221 2,444 20.0%
44歳 7,006 1,077 15.4%
45歳 4,388 500 11.4%
46歳 2,563 190 7.4%
47歳 1,345 82 6.1%
48歳 741 41 5.5%
49歳 459 26 5.7%

上記は、胚移植を行った周期に対する妊娠率です。妊娠率は妊娠が確認された割合(臨床的妊娠率)であり、出産に至る生産率はこれより低くなります。先述した自然妊娠や人工授精の妊娠率とは対象者や集計方法が異なるため、数値を単純に比較することはできませんが、40~42歳では胚移植周期あたりの妊娠率が20%を超えています。

一方、43歳では妊娠率が20.0%となり、年齢が上がるにつれてさらに低下しています。また、生殖補助医療は治療開始日時点で女性が43歳以上の場合、原則として保険適用の対象外となります。40代では流産率も上昇するため、妊娠率だけでなく、出産に至る確率や治療にかかる費用も踏まえて検討することが大切です。

体外受精の妊娠率については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

なぜ40歳以降になると妊娠しにくくなるのか

40歳以降に妊娠しにくくなる背景として、卵子の質の低下と染色体異常の影響、子宮内膜症や子宮筋腫など子宮に関する疾患の影響などが代表的な要因としてあげられます。

卵子の質の低下と染色体異常の影響

年齢を重ねると卵子の質が低下することが知られています。加齢によって卵子内のミトコンドリアの働きが落ちると、卵子が使えるエネルギーが減り、受精後の胚の発育が順調に進まないことがあります。また、DNAの損傷を修復する力が弱まったり、卵子を取り囲む細胞の働きが低下して卵子の発育やホルモンへの応答性が損なわれたりすることも、質の低下の一因とされています。

年齢を重ねると、卵子がつくられる過程で染色体がうまく分かれず、数に過不足が生じやすくなるケースも増えてきます。染色体の数に異常がある受精卵は、着床しにくかったり、着床しても発育が続かず流産につながりやすかったりすることが指摘されています。

子宮内膜症や子宮筋腫など子宮に関する疾患の影響

子宮内膜症や子宮筋腫は、加齢とともに疾患にかかる率が増えることが知られており、子宮内膜症は着床障害や卵管閉塞のリスクになると考えられています。子宮筋腫も、大きさや場所によっては、胚の着床や成長を妨げることがあります。月経痛や経血量の変化といった月経トラブルをそのままにすると、気づかないうちに不妊のリスクが上がっている可能性もあります。

子宮内膜症や子宮筋腫は自覚症状が乏しいまま進行することもあるため、気になる症状がある場合は早めに受診しておくと安心です。

40代で妊娠しやすい人は?知っておきたい情報など

同じ40代でも、体の状態によって妊娠のしやすさには個人差があります。妊娠しやすい人に共通する傾向としては、以下のものがあげられます。

  • AMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値が保たれている
  • 子宮環境に大きな問題がない
  • 生活習慣が整っている
  • パートナーの精子の状態が良好である

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値が保たれている

妊娠のしやすさの参考となる指標のひとつとして、AMH(抗ミュラー管ホルモン)があります。

AMHは卵巣内にある成熟途中の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣にどれくらい卵子が残っているかの目安(卵巣予備能)として、数値が高いほど卵子の数が多い傾向にあると考えられています。ただし卵子の質を示すものではなく、直接的に妊娠のしやすさを測れるものではありません。

さらに多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの体質がある方ではAMHは非常に高くなります。しかしAMHは高ければ高いほど良いというものではなく、高すぎると排卵障害の原因となったり、卵子の成熟過程が不利になる可能性があります。特にインスリン抵抗性・肥満などがあると悪化しやすいことが知られています。

妊活においてAMHは、体外受精での1回の採卵での採卵数に直接かかわる数値でもあります。通常の排卵では1周期に1個の卵子が排卵されますが、体外受精の採卵周期ではホルモン剤による卵巣刺激を行ってなるべく多くの卵子を発育させるため、成熟途中の卵胞が多いほど最終的に得られる卵子の数も多くなります。前述のとおりAMHは成熟途中の卵胞から分泌されるため、AMHが高いということは体外受精で得られる卵子が多いということに繋がります。

また、あくまでAMHは卵子の数の指標であるため、数値が低い場合でも卵子の質が良ければ妊娠に至るケースは十分にあります。自分の数値がどのくらいなのか、どう捉えればよいのか迷う場合は、一度医師に相談するとよいでしょう。

AMHについては以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

子宮環境に問題がない

子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症といった病気がない、あるいはこれらの治療をしていることも、妊娠しやすさに関わる要素のひとつとされています。

これは、子宮内膜の状態が良好で着床しやすい環境が整っていることに加え、卵管の通過性に問題がないことも関係しています。卵管の通過性は性感染症の既往によって影響を受けることがあるため、思い当たる方は一度検査で状態を確認しておくとよいでしょう。

生活習慣が整っている

生活習慣が乱れている場合、妊娠のしやすさに影響することがあり、生活習慣が整っていることも大事です。

  • 適正体重を維持している(目安としてBMI 19〜24程度)
  • 十分な睡眠が取れている
  • 喫煙や過度な飲酒をしていない
  • 過度なストレス状態が続いていない

体重や睡眠、飲酒・喫煙の習慣、ストレスとの付き合い方は、妊活をはじめる前から自分で意識できる部分です。まずは無理のない範囲で、できることから少しずつ取り入れてみてください。

パートナーの精子の状態が良好

パートナーの精子の数、運動率、形態に関しても、妊娠しやすさに関わります。不妊の原因は女性側だけでなく、約半数は男性側にあるとされています。不妊の原因が男性側にある場合、自覚症状がないまま経過し、本人も気づいていないケースが少なくありません。

妊娠のしやすさを考える場合、女性側だけでなく男性側の要因もしっかりと考えることが重要です。

精液の状態と妊娠のしやすさへの影響については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

なお、ここまで紹介した内容は、あくまで妊娠のしやすさに関わる傾向であり、大きな問題がない場合でも40代では妊娠が難しい場合があります。より妊娠の可能性を高めたい場合は、後述するとおり医療機関への受診も考えて進めることが推奨されます。

40代の妊活でできること

妊娠率の内容などで示したとおり、40代の妊活では望んでもスムーズに妊娠できるケースは決して多くはありません。そのため、40代の妊活では、先述のとおり生活習慣を積極的に整え、さらに自分の体の状態を事前に確かめることも重要です。医療機関を受診してブライダルチェックや不妊検査などを事前に受けておくことも選択肢となります。

ブライダルチェックや不妊検査を行う目的は?

ブライダルチェックは将来の妊娠・出産を見据えて、妊娠に影響する可能性のある体の状態を確認する検査です。不妊検査は妊娠に至らない原因を特定し、治療につなげる検査であり、両者では目的が異なります。

検査内容は共通するものもあり、女性では経腟超音波検査や血液検査でのAMH検査、ホルモン検査などが代表例としてあります。男性側では精液検査などがあります。

40代では検査後にすぐに治療に移行した方が良いケースもあるため、まずは検査でしっかりと自分の状態を把握することが推奨されます。

ブライダルチェックの詳細に関しては、以下のページもご覧ください。

40代で妊娠したいときに受診を考えるタイミング

40代で妊娠を希望する場合は、妊活を始めてから一定期間待つのではなく、妊娠を考えた時点で不妊治療専門の医療機関へ相談することが勧められます。前述のとおり、女性は年齢とともに卵子の数や質が低下し、特に40代では妊娠する力の低下や流産率の上昇がより顕著になるためです。

健康状態に問題がなく、妊活を始めたばかりであっても、早めに検査を受けることで現在の卵巣や子宮の状態を確認し、今後の妊活や治療方針を検討しやすくなります。また、不妊の原因には男性側の要因が関係することもあるため、パートナーも一緒に検査を受けることを検討しましょう。

不妊検査を受けるタイミングについては以下の記事で詳しくまとめているため、あわせてご覧ください。

40代の妊娠に関してよくある質問

40代の妊娠に関してよくある質問に回答します。

Q:40代での妊娠は染色体異常のリスクが高くなりますか?

A:加齢とともに、卵子の染色体異常が起こる頻度は上昇する傾向にあります。40代では20代・30代と比較するとリスクは高くなります。現在は、着床前診断や出生前診断、羊水検査など事前に染色体異常のリスクを調べる方法もあります。医療機関に相談しながら進めることも検討しましょう。

Q:42歳で妊娠したい場合、どのようなことを意識すればよいですか?

A:42歳は、自然妊娠・不妊治療のいずれにおいても年齢による影響が大きい時期です。40歳以上の場合、妊娠を希望した時点ですぐに受診するとよいとされています。まずはブライダルチェックや不妊検査で卵巣機能や子宮内の環境について現状を把握すると、今後どのような行動をとればよいか考えやすくなります。

また、42歳は生殖補助医療(体外受精・顕微授精)が保険適用になる上限の年齢です。42歳で治療を開始した場合でも、治療計画は少なくとも6か月ごとに見直しが必要です。その見直し時点で43歳以上になっていると、新たな治療計画は保険適用の対象外となります。早めに医療機関で現在の状況と保険適用の見通しを確認しておくことをお勧めします。

院長からのメッセージ

40代で妊娠を希望されている方から相談を受けるとき、私が最初にお伝えしたいことがあります。それは、「今日ここに来てくださったことが、一番大切な一歩です」ということです。

40代での妊娠は、30代と比べると卵子の数や質の面でハンデがあることは事実です。毎月の自然妊娠の確率は低く、体外受精を行っても年齢とともに妊娠率は下がります。流産のリスクも上がります。ネガティブな情報ではあるのですが、これをはっきり伝えるのは怖がらせるためではなく、時間がとても大切な要素だということを強調したいからです。

一方で、数字はあくまで統計です。同じ40代でも、卵巣の状態・子宮の環境・パートナーの精子の状態・生活習慣——これらの組み合わせで、妊娠の可能性は人によって大きく違います。検査を受けることで、今の自分がどういう状況にあるかがわかります。「まず知ること」が治療の出発点です。

42歳は体外受精の保険適用ができる最後の年齢区分でもあります。42歳で開始しても、治療計画の更新時点で43歳以上になると保険適用の条件が変わる場合があります。費用や治療の見通しを早めに確認しておくことで、後で慌てずに済みます。

一人で抱え込まずに、ぜひ相談しに来てください。

参考文献

1)Konishi S, Kariya F, Hamasaki K, Takayasu L, Ohtsuki H. Fecundability and sterility by age: estimates using time to pregnancy data of Japanese couples trying to conceive their first child with and without fertility treatment. PLoS One. 2021;16(5):e0251075.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8161326/

2)Honda T, Tsutsumi M, Komoda F, Tatsumi K. Acceptable pregnancy rate of unstimulated intrauterine insemination: a retrospective analysis of 17,830 cycles. Reprod Med Biol. 2015;14:27-32.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4286620/

3)日本産科婦人科学会. 2023年体外受精・胚移植等の臨床実施成績. 日本産科婦人科学会ウェブサイト
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2023_JSOG-ART.pdf