診察予約
最終更新日:
2026-08-31

子宮卵管造影検査(HSG)を受けることになり、「生理が始まって何日目に受ければよいのだろう」「生理周期が不規則でも検査できるのだろうか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

子宮卵管造影検査は、子宮の形態や卵管の通過性を確認する検査です。検査を受ける時期はいつでもよいわけではなく、基本的には月経が終わってから排卵前までの期間に行います。また、検査を行う周期の避妊や、骨盤内感染症やクラミジア感染の有無、甲状腺疾患・造影剤アレルギーがある場合の事前申告など、検査前にはあらかじめ確認しなくてはならない点があります。

この記事では、子宮卵管造影検査を受けるタイミングや予約する時期、生理周期が不規則な場合の考え方、検査前後の注意点について解説します。

子宮卵管造影検査とは?どのようなタイミングで受ける検査?

卵管造影検査(HSG)は、X線で撮影しながら造影剤を子宮から注入することで、卵管を通してお腹の中へ流し、子宮の形態や卵管の通過性に問題がないかを調べる検査です。精子と卵子が出会う受精の場である卵管と着床の場となる子宮の状態を確認できるため、不妊の原因を探るうえで重要な情報が得られる検査です。

不妊症の原因を調べる場合、卵管造影検査は基礎体温測定や超音波検査、精液検査などと並ぶ、最初に行う一次スクリーニング検査のひとつに位置づけられています。そのため、多くの場合は不妊治療を検討し始めたタイミングで実施されます。ただし、月経不順がある場合や過去の腹部手術歴などから卵管の癒着が疑われる場合では、より早い段階で実施されるケースもあります。

なお、卵管造影検査は生理周期の中で、検査を受けるのに適した時期がある程度決まっています。そのため、卵管造影検査を受ける場合、ご自身の生理周期も確認しながら準備を進める必要があります。

検査に適した時期は月経終了後から排卵前まで 

子宮卵管造影検査を受けるタイミングは、月経が終わってから排卵を迎えるまでの間です。生理の出血が完全になくなってから排卵が起こるまでの時期とお考え下さい。

日数の目安としては、月経周期が28日型であれば、生理開始日から7~10日目頃に実施します。ただし月経周期が28日周期でなかったり、不順であったりする場合はその日付は異なります。実際の検査日は、排卵の時期に合わせて医師と相談しながら決めます。 

なぜこの時期がよいのか

排卵後に子宮卵管造影検査を行うと、卵管内ですでに受精が成立している可能性があります。子宮卵管造影検査では子宮内から腹腔内へ造影剤を流すため、妊娠の可能性がある場合、子宮にあった受精卵が腹腔内に逆流してしまい流産や異所性妊娠の原因となる可能性があります。そのため排卵が起こる前の検査が必要です。

また、生理中など出血がある場合は、その血液が腹腔内へと流入し、合併症のリスクが高まったり、画像所見が不明瞭になったりする可能性があるため、卵管造影検査は避ける必要があります。

こうした理由から、月経終了直後から排卵前までのタイミングが検査に適した時期といえます。

なお、子宮卵管造影検査はX線を使用します。検査による被曝量は日常生活で受ける自然放射線と比べても限られた量ですが、妊娠している可能性がある時期を避けるという意味でも、月経終了後から排卵前までの実施が適しています。

子宮卵管造影検査の予約はいつする?生理周期が不規則な場合は?

子宮卵管造影検査を予約する時期は、厳密には医療機関によって異なるため、受診予定の施設のルールを確認しておくようにしましょう。

当院(ORINAS ART CLINIC)では確実に適切な検査を実行するために、生理1〜3日目頃に来院していただき医師と共に検査のスケジュールを作成しています。とくに生理周期が不規則な場合は排卵日も予測しにくいため、生理が始まったタイミングで予約をするようにしてください。

検査を行う周期では、生理開始から検査終了まで必ず避妊をするようにしてください。

検査当日と翌日以降に気を付けたいこと

子宮卵管造影検査の検査当日は、少量の性器出血や生理痛のような重さを感じることがあります。翌日以降も続くケースがありますが、多くの場合は数日以内に落ち着きます。

ただし、まれに発熱や強い腹痛が出ることもあるため、そのような症状が続く場合は医療機関に相談しましょう。

子宮卵管造影検査の結果はいつわかる?

卵管造影検査はその場で撮影した結果がわかるため、基本的に検査当日に医師から説明を受けられる医療機関が多いです。ただし、使用する造影剤や検査方法、追加撮影の必要性などによっては、翌日以降に説明されることもあるため、受診する医療機関に確認するようにしましょう。

検査後に妊娠率が上がるという報告がある

子宮卵管造影検査には、検査でありながら治療的な効果もあるとされています。造影剤の圧力によって卵管内の粘液が押し流されたり、卵管周囲の軽い癒着がはがれたりすることが理由として考えられていますが、はっきりした仕組みはまだ解明されていません。

この効果については、油性の造影剤と水性の造影剤を比較した研究があります。18〜39歳で排卵があり、卵管の病変のリスクが低い女性1,119人を対象とした海外の試験では、検査から6か月以内に妊娠が継続していた方の割合は、油性造影剤を使った群で39.7%、水性造影剤を使った群で29.1%でした1)。この結果から、検査後の一定期間は妊娠しやすい状態になると考えられており、日本では「ゴールデン期間」と呼ばれることがあります(医学的な用語ではありません)。

ただし、注意点が2つあります。ひとつは、この6か月という期間は研究で観察された期間であり、「効果が半年続くことが確かめられた」わけではないという点です。

もうひとつは、すべての方に同じ効果が期待できるとは限らないという点です。2025年に報告された別の試験では、39歳以上の方、排卵障害のある方、卵管の病変が疑われる方を対象とした場合、油性造影剤と水性造影剤とで妊娠率に明らかな差は認められませんでした2)

検査後の期間をどう位置づけるかは、年齢や検査結果、これまでの経過によって変わります。検査結果の説明を受ける際に、ご自身の場合どう考えればよいかを確認してください。

子宮卵管造影検査に関するよくある質問

子宮卵管造影検査に関する質問について回答します。

Q:検査をしてから、いつ性行為を再開できますか?

A:検査後は基本的にすぐ通常の生活に戻ることができるといわれていますが、感染予防の観点から、数日間は性交渉を控えるよう指示する医師もいます。医療機関によっては、検査後に数日間抗生物質の内服を指示されることもあるでしょう。

検査後の性交渉の具体的なタイミングについては、治療方針や個々の状況により異なるため、必ず主治医に確認してください。

Q:検査を予約するときに伝えた方がいいことは?

A:クラミジアなどの感染症や骨盤内感染症、甲状腺の病気や造影剤のアレルギーがある場合は必ず伝えるようにしましょう。

これまでに骨盤内の感染症(骨盤腹膜炎など)にかかったことがある方や、クラミジア感染の既往がある方は、その旨をお伝えください。卵管の周囲に癒着が生じている可能性があるほか、検査後に感染を起こすリスクがやや高くなるため、検査前後の抗菌薬の使用などが検討されます。

甲状腺の病気がある場合、子宮卵管造影検査で使用する造影剤に含まれるヨードが、甲状腺機能に影響を与える可能性があります。必ず甲状腺疾患を診察してもらっている主治医に確認し、検査を受ける医療機関にも伝えましょう。状況によって代替検査が検討されます。

造影剤アレルギーを持っている場合も、必要に応じて代替検査が検討されるため、検査を受ける予定の医療機関に必ず伝えましょう。

なお当院では、子宮卵管造影検査の前に必ずクラミジア抗体と甲状腺機能の採血検査を行っています。ご自身では自覚のない場合もあるため、検査前に確認したうえで実施しています。

Q:子宮卵管造影検査は痛いからしない方がいいというのは本当ですか?

A:子宮卵管造影検査は痛みを伴うことがありますが、痛みの強さは卵管の状態や医療機関の処置の内容によっても異なります。人によっても感じ方は変わってくるため、強い痛みを感じないケースもあります。

子宮卵管造影検査を行うことで、卵管の状態や不妊の原因の有無を調べたり、検査後に妊娠率が上がる可能性があるといったメリットもあるため、痛みの面だけで検査をしないのは避けるべきといえます。

現在は各医療機関で痛みをなるべく感じない配慮なども考えられているため、まずは相談だけでもしてみるのが良いでしょう。

院長からのメッセージ

子宮卵管造影検査については、「痛いらしいので気が進まない」という声と、「受けると妊娠しやすくなるらしい」という声の両方をいただきます。どちらも一面では正しいのですが、少し補足させてください。

まず時期についてです。月経終了後から排卵前までに行うのは、妊娠している可能性がある時期を避けるためです。逆にいえば、この期間を外すと次の周期まで待つことになります。生理が始まったら早めにご連絡いただくことが、結果的に一番早く検査を受けられる方法です。

そして「ゴールデン期間」についてです。検査のあとしばらく妊娠しやすくなるという話は、油性の造影剤を使った場合の研究に基づいています。実際に妊娠率の上昇は確認されていますが、すべての方に同じように期待できるわけではありません。年齢が高めの方、排卵に問題がある方、卵管の病変が疑われる方では、はっきりした差が確認できなかったという最近の研究もあります。

ですので、「検査後の半年に賭ける」という考え方はお勧めしません。検査でわかった卵管や子宮の状態をもとに、次に何をするかを一緒に決めていく。そちらのほうがずっと大切です。検査は治療の入口であって、それ自体が治療ではありません。

痛みについても、事前にご相談いただければできる範囲で対応します。当院で検査を受けた方の多くは「痛くなくはないけど心配していたよりはマシだった」と言っています。事前に使い慣れた鎮痛剤を使用していただいても構いません。不安な点は遠慮なくお聞かせください。

参考文献

1)Dreyer K, van Rijswijk J, Mijatovic V, et al. Oil-Based or Water-Based Contrast for Hysterosalpingography in Infertile Women. N Engl J Med. 2017;376(21):2043-2052.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1612337

2)Huijser J, Zhu Q, Kamphuis D, et al. O-197 Oil-based versus water-based contrast media for hysterosalpingography in infertile women with advanced age, ovulation disorders or high risk of tubal pathology: a randomised controlled trial. Hum Reprod. 2025;40(Supplement_1):deaf097.197.
https://academic.oup.com/humrep/article/40/Supplement_1/deaf097.197/8170418