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最終更新日:
2026-09-22

妊活期間中や性行為の数日後に「なんとなく体がだるい」「胸が張る気がする」と、体調の変化が妊娠のサインなのではないかと気になっている方もいるのではないでしょうか。妊娠に伴う体の変化は、受精卵が着床した後のホルモンの変化などによって起こります。

受精卵が着床するのは受精から約5〜7日後で、性行為から数えるとおよそ1週間後以降です。そのため、妊娠初期の症状が現れ始めるとしたら、それ以降と考えられます。生理予定日より前に症状を自覚する人は少なく、症状の有無や感じ方には個人差があります。

この記事では、妊娠超初期症状がいつごろ現れるのか、症状がない人はどのくらいいるのか、どのような体の変化が起こりうるのかなどを解説します。

妊娠超初期症状はいつから現れる?

妊娠超初期とは正式な医学用語ではありませんが、妊娠3週頃(排卵後1週頃)までを表す用語として使われることがあり、早ければこの時期から妊娠に伴う症状が現れる可能性があります。ただし、実際にこの時期の妊娠超初期症状を感じる人は限られており、全ての人が自覚するものではありません。

過去に行われた研究の例を挙げると、最短で排卵後8日(妊娠3週1日前後に該当)に吐き気や嘔吐の症状が現れたという結果があります。ただし、排卵後11日未満でこれらの症状を感じた妊婦は全体の5%であり、67%の妊婦は排卵後11〜20日に現れたという結果もあわせて報告されています1)。

この研究は、海外の妊婦256人に吐き気や嘔吐の症状が現れた日数を調べた調査です。妊娠を望んでいてつわり症状を早期から意識していた女性たちが対象であったため、他の研究結果よりも気づく時期が早かった可能性があるという考察もされています。

つわりは妊娠の初期に自覚する代表的な症状のひとつですが、一般的なつわりの症状は妊娠5〜6週頃(排卵日からだと3〜4週頃)から出現することが多いといわれており2)、妊娠3週頃から自覚する可能性はあるものの、その割合は高くないというのが実情です。

性行為の日から数えると妊娠超初期症状は何日後?

性行為から何日後という観点では、早い場合には性行為から約1週間後から妊娠超初期症状が現れる可能性があります。ただし、「性行為から○日後」と一律に決めることはできません。

これは、性行為をした日が、そのまま受精や妊娠が成立した日になるわけではないためです。

妊娠につながる可能性があるのは、排卵前後の限られた期間です。精子は女性の体内で2〜3日程度は生存できるため、排卵の数日前に性行為をした場合でも、排卵時に精子と卵子が出会って受精する可能性があります。

仮に性行為をした日に排卵がおきた場合は、前述した研究結果を参考にすると、早ければ排卵後8日後にはつわりが起こる可能性があります。そのため、性行為から約1週間後に妊娠超初期症状が現れる可能性があることになります。

ただし、排卵日が性行為をした日と異なる場合、その分だけ妊娠が成立する日が遅くなるため、妊娠超初期症状が現れる日も遅くなります。

このように、妊娠が成立する日は性行為の日よりも排卵日に左右されます。妊娠超初期の変化がいつから起こるかを考える際には、性行為をした日よりも排卵した日を基準に考えるほうが分かりやすいでしょう。

妊娠しやすい時期と生理周期の関係については、以下の記事で詳しくまとめているのであわせてご覧ください。

性行為から受精・着床までの経過

性行為のあとは、卵管で精子と卵子が出会って受精し、受精卵が子宮へ移動して着床が始まります。

射精された精子は、早いものでは数分で卵管に到達し、女性の体内で通常2〜3日、長い場合は5日程度生存します。一方、卵子が受精できるのは排卵後12~24時間程度です。そのため、排卵の数日前に性行為をした場合は、卵管内で待機していた精子が排卵後に卵子と出会って受精することがあります。

性行為の日と受精の日は必ずしも一致しませんが、排卵から着床までは次のような流れで進みます。

排卵日からの日数着床までの過程
〜24時間以内受精:卵管で卵子と精子が出会って受精する
1〜6日頃移動:受精卵が細胞分裂しながら胚となり、卵管から子宮へ移動する
6〜7日目前後着床開始:子宮にたどり着き、内膜にもぐり込んでいく

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着床が起こる仕組みや時期については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

着床後に起こる体内の変化

受精卵が子宮に着床すると、胎盤のもとになる組織からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌が始まります。また、排卵後から分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌も続きます。

妊娠していない周期では、排卵からおよそ2週間でプロゲステロンが下がり、生理が始まります。しかし、妊娠が成立するとhCGが黄体を維持するため、プロゲステロンは下がらずに分泌が続きます。

そのため、生理前と同じようなだるさや眠気、胸の張りなどの症状が続くことがあります。このように症状が同様であることから、これらの症状だけで妊娠しているかどうかを区別することは困難です。

妊娠しているかどうかは、生理予定日の1週間後(妊娠5週頃)以降を目安に、妊娠検査薬を使って確認しましょう。妊娠検査薬を使える時期については、以下の記事を参考にしてください。

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そのほか、着床後はGDF15というホルモンが増えることがあり、このホルモンが吐き気や嘔吐などつわり症状を引き起こす原因である可能性が考えられています3)。

妊娠超初期症状がない人の割合は?

妊娠超初期の時期はとくに症状がないという人も珍しくありません。

前述のとおり、海外の妊婦256人に吐き気や嘔吐の症状が現れた日数を調べた調査では、排卵後11日未満で症状が現れたのは全体の5%という結果が報告されています。また、この調査では、これらの症状出現の中央値が排卵後16日とされています1)。この結果から、症状があった人のうち、半数は排卵後16日(妊娠4週2日前後に相当)以降であることがわかります。

他の妊娠に伴う症状を調べた調査でも、出産まで至った136人の女性のうち、半数が最後の月経から36日目(妊娠5週1日に相当)までに症状が現れたという報告があります4)。逆にいうと、約半数の女性は妊娠していても妊娠5週1日までに症状がなかったという結果です。

このように妊娠超初期症状を自覚できないことは珍しくなく、この時期に症状がなくても妊娠してないと判断できるわけではありません。体調の変化に気をつけながら、生理予定日を過ぎても生理が来ない場合は、症状の有無にかかわらず、妊娠検査薬で確認しましょう。

妊娠超初期に起こりうる体の変化

妊娠超初期には、吐き気や嘔吐のほか、眠気やだるさ、胸の張り、おりものの変化など、さまざまな体の変化を感じることがあります。生理前の変化と似ているものも多く、症状だけで妊娠を判断することはできません。

ただし、妊娠によってどのような変化が起こりうるのかを知っておくと、体調の変化に過度に振り回されず、検査や受診のタイミングを落ち着いて判断しやすくなります。ここでは、妊娠超初期に起こりうる代表的な体の変化を紹介します。

つわり(吐き気・嘔吐)

つわりは妊娠超初期でもみられる可能性がある症状のひとつです。近年では胎児・胎盤由来のGDF15というホルモンの関連が考えられています。妊娠前からこのホルモンの値が高い女性は妊娠中のつわりの症状が軽くなるという特徴も報告されています3)。

前述のとおり、早ければ排卵後1週頃で症状がみられたケースもあるものの、多くは5〜6週前後に自覚することが多い症状です。

多くの人にみられる症状ですが、症状が悪化した場合は妊娠悪阻と呼ばれる状態になることがあります。栄養状態が悪化したり頭痛やめまい、意識障害などの症状がみられることもあるため、症状がつらいと感じる場合は、医療機関に相談するようにしましょう。

微熱・だるさ・鼻水などの風邪と似た症状

だるさや熱っぽさは、妊娠超初期に感じることのある変化のひとつです。プロゲステロンには妊娠を維持する働きとともに、だるさや眠気を起こす作用があり、疲れやすさは受精から1週間ほどで感じ始める人もいるとされています。

排卵後は高温期に入るため体温が高くなります。妊娠しなければ生理とともに高温期が終わりますが、妊娠するとプロゲステロンが分泌され続けるため、体温が高い状態が続いて熱っぽさを感じることがあります。

また、妊娠に伴ってホルモンや血液量が増えると、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりや鼻水がみられることもあります。だるさや微熱に鼻水が重なると風邪をひいたように感じますが、妊娠による変化の場合も、実際に風邪をひいている場合もあり、症状だけでは区別できません。

ただし、37.5〜38℃以上の発熱がある場合や、咳・喉の痛みなど感染症が疑われる場合は、医療機関を受診してください。受診の際は医療機関へ連絡し、妊娠の可能性があることを伝えましょう。

胸焼け・お腹の張り・便秘・おなら

胸焼けやお腹の張り、便秘といった消化器の変化も、妊娠後にみられる症状です。妊娠に伴ってホルモンの分泌が増えると消化管の働きがゆるやかになり、便やガスが腸にたまりやすくなって、お腹の張りやおならの増加、便秘が起こることがあります。

お腹の張りや便秘は生理前にも起こりうる変化で、食事の内容や体調によっても変わります。つらいときは、次のような工夫で軽くなることがあります。

  • 水分をしっかりとる
  • 野菜や果物、豆類などで食物繊維をとる
  • 食事は少量ずつ、回数を分けてとる
  • 食後すぐに横にならない

強い腹痛や出血がみられる場合は妊娠の有無にかかわらず注意が必要です。自己判断で様子を見ずに、医療機関へ相談しましょう。

おりものの変化

おりものは、排卵の前後で透明でよく伸びる状態になり、排卵後は量が減って白っぽく粘り気のある状態に変わります。妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が高まって分泌物が増えるため、おりものの量が増えたと感じる人もいます。

妊娠初期のおりものは、透明から乳白色で水っぽくさらさらした状態になりやすいとされますが、生理前のおりものと共通する特徴も多く、見た目だけで区別することは困難です。

また、着床の時期に少量の出血がみられ、おりものが茶色やピンク色になることがあります。これは「着床出血」と呼ばれますが、必ず起こるものではなく、生理予定日と同じ頃に起こるため、生理との区別は難しいといえます。

胸の張り・母乳のような分泌物

胸の張りや痛み、乳頭の敏感さは、早い場合は受精後1〜2週(妊娠3〜4週)からみられることがあります。妊娠するとエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が増え、乳管や乳腺組織が発達するため、乳房が重く感じたり、ふくらんだように感じたり、乳首がチクチクしたりすることがあります。

ただし、妊娠初期の胸の張りは、ホルモンによる乳腺の変化という点で生理前の胸の張りと原因が近く、症状の強さや部位だけで区別することは難しいとされています。また、妊娠していても胸の張りが出ない人もいます。

また、母乳のような分泌物は、一般に妊娠後期にみられる変化のため、妊娠超初期に感じることは少ないと考えられます。妊娠超初期に母乳のような分泌物が続く場合は、妊娠以外の原因も考えられるため、医療機関に相談しましょう。

妊娠超初期症状に関してよくある質問

ここでは、妊娠超初期の症状や注意点についてよくある質問に回答します。

Q:妊娠超初期に恥骨痛や肋骨の痛みは起こりますか?

A:恥骨痛や肋骨の痛みは、妊娠超初期にみられる代表的な症状ではありません。

妊娠中の恥骨痛には、骨盤周辺の靱帯をゆるめるリラキシンというホルモンや、子宮が大きくなることによる骨盤への負担などが関係します。リラキシンは妊娠初期から分泌されていますが、痛みとして自覚されやすくなるのは、胎児が大きくなり骨盤への負担が増す妊娠後半であることが多いとされています。

また、肋骨の痛みも、赤ちゃんの成長に合わせて肋骨が広がることで起こるとされ、妊娠中期頃からみられやすい症状です。妊娠超初期の段階でお腹周りに痛みや違和感がある場合は、ホルモンの変化による軽い痛みや便秘・お腹の張り、あるいは生理前の下腹部痛などが考えられます。

妊娠超初期の頃にこれらの症状がある場合、別の疾患の影響の可能性などもあるため、医療機関に相談しておくと安心です。

Q:妊娠の可能性がある時期に気をつけることはありますか?

A:妊娠の可能性に気づいたときは、次の点に気をつけてください。

  • 飲酒をやめる:妊娠中の飲酒は赤ちゃんの発育に影響する可能性がある
  • 禁煙する:妊婦の喫煙は早産や低出生体重のリスクを高める
  • 薬は自己判断で飲まない:市販薬には妊娠中に推奨されない成分もある

ただし、妊娠に気づく前に少量の飲酒や一般的な量の服薬をしてしまっても、過度に心配する必要はありません。気になる場合は、飲んだ量や時期、薬の名前を医師に伝えて相談しましょう。

また、妊娠の可能性に気づいてからは、飲酒や喫煙をやめ、薬は医師や薬剤師に相談してから使うようにしましょう。妊娠中の飲酒や薬の使用については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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Q:妊娠に気づかずに健康診断で胸部レントゲンを受けましたが大丈夫ですか?

A:妊娠に気づかず胸部レントゲン検査を受けた場合でも、過度に心配する必要はありません。

胎児が受けた放射線量が100mGy(ミリグレイ)を下回る場合、発育などへの影響は検出されないとされています5)。一般的な健康診断や人間ドックで行われる胸部レントゲンの被ばく線量は0.01mGy未満と、この基準を大きく下回ります。

一方、これから健康診断を受ける場合は、妊娠の可能性があることを事前に医師や検査担当者へ伝えましょう。検査の必要性や実施時期について、状況に応じた対応をしてもらえます。

院長からのメッセージ

「性行為から数日しか経っていないのに、体がだるい。これは妊娠のサインでしょうか」というご相談を受けることがあります。気持ちはとてもよくわかります。

ただ、体の仕組みから考えると、受精卵が子宮に着床するのは排卵からおよそ1週間後です。妊娠に伴うホルモンの変化はそこから始まるので、性行為から数日のうちに妊娠による症状が出ることは考えにくいのです。この時期に感じる体調の変化は、排卵後に増える黄体ホルモンによるもので、妊娠していなくても同じように起こります。

この記事で紹介した研究でも、吐き気などの症状が排卵から11日より前に出た方は5%にとどまっていました。つまり、生理予定日より前に症状がないのは、むしろ普通のことです。「何も感じないから今回はだめだった」と考える必要はありません。

逆に、症状があったからといって妊娠しているとも限りません。生理前と妊娠初期は同じホルモンが働いているため、体の感覚だけで区別することはできないのです。

妊娠しているかどうかを確かめられるのは、生理予定日の1週間後以降に使う妊娠検査薬です。それまでの期間は長く感じられると思いますが、体の変化に一喜一憂しすぎず、できるだけ普段どおりに過ごしてください。

参考文献

1)Gadsby R, Ivanova D, Trevelyan E, Hutton JL, Johnson S. The onset of nausea and vomiting of pregnancy: a prospective cohort study. BMC Pregnancy Childbirth. 2021 Jan 6;21(1):10.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7786982/

2)厚生労働省. 母性健康管理に関する用語辞典 つわり. 働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/symptom01.html

3)Fejzo M, Rocha N, Cimino I, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625(7996):760-767.
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06921-9

4)Sayle AE, Wilcox AJ, Weinberg CR, Baird DD. A prospective study of the onset of symptoms of pregnancy. J Clin Epidemiol. 2002 Jul;55(7):676-80.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12160915/

5)日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2026
https://www.jsog.or.jp/medical/11717/