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最終更新日:
2026-10-22

「つわりはいつから始まるのだろう」「体外受精の場合、移植から何日くらいで症状が出るのだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

つわりは多くの場合、妊娠5〜6週ごろから始まり、妊娠8〜10週ごろにピークを迎えます。その後は、妊娠12週ごろから徐々に落ち着いていくのが一般的です。

体外受精の場合も目安は同じで、つわりが始まりやすい妊娠5〜6週は、胚移植からおおむね2〜4週間後にあたります。ただし、始まる時期や症状の強さには個人差が大きく、つわりをほとんど感じない方もいます。

この記事では、つわりが始まる時期と体外受精後の目安、ピークと落ち着く時期、主な症状、つらいときの過ごし方、受診の目安について解説します。

つわりはいつから始まる?

つわりが始まる時期は、妊娠5~6週ごろからが多いといわれています。妊娠初期にみられるつわりの主な症状には、吐き気や嘔吐、食欲不振、胃の不快感などがあります。

妊娠を望む女性256人が妊娠前から毎日の症状を記録した研究では、つわりを経験した方の約3分の2が、最終月経の開始日から26〜40日目に症状を感じ始めており、中央値は32日目でした1)。

妊娠週数は、最終月経の開始日を妊娠0週0日として数えます。最終月経の開始日から26日目は月経周期が28日程度の方の生理予定日の少し前、40日目は妊娠5週の後半にあたります。ただし、この研究は妊娠を望んで体の変化を意識していた方が対象のため、軽い症状にも早く気づいた可能性があると考えられています1)。

つわりは早い方では生理予定日ごろから、多くの方は妊娠5〜6週ごろに始まります。しかし、個人差も大きく、つわりをほとんど感じない方もいます。

体外受精の胚移植から何日後につわりが始まる?

体外受精の場合も、つわりが始まる時期は妊娠5〜6週ごろがひとつの目安です。胚移植から数えると、おおむね2~4週間後にあたります。

胚移植日の妊娠週数は、受精日を妊娠2週0日とし、胚を育てた日数を足して数えます。

たとえば、5日間育てた胚盤胞を移植した日は妊娠2週5日、3日間育てた初期胚を移植した日は妊娠2週3日となります。凍結胚を移植した場合は、凍結保存していた期間を含めずに数えます。

ただし、これは妊娠週数から計算した目安です。つわりが始まる時期や症状の強さには個人差があり、目安より早く始まる方や遅く始まる方、つわりをほとんど感じない方もいます。また、移植の前後に黄体ホルモンを補う薬を使っていると、妊娠初期に似た症状が出ることもあります。

妊娠5〜6週になってもつわりがないことはある?

症状が出始める時期には個人差があるため、妊娠5〜6週になっても、つわりを感じない方もいます。

妊娠に伴う症状全般を調べた海外の研究では、出産に至った136人のうち、最終月経の開始から36日目までに症状を感じ始めた方は約半数で、8週以内に感じ始めた方は89%でした2)。

この研究では、妊娠5週ごろには半数ほどの方が症状を感じていなかったことになります。

妊娠しているかどうかは、症状ではなく、妊娠検査薬や医療機関での検査で確認します。市販の妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後(妊娠5週)程度から使えるため、その時期を目安に確認しましょう。妊娠がわかっていて、症状がないことなどで不安があるときは、通院中の医療機関に相談してください。

つわり以外の妊娠初期症状については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

つわりのピークはいつ?いつまで続く?

つわりのピークは、妊娠8〜10週ごろがひとつの目安です。妊婦が毎日の症状を記録した海外の研究でも、ピークを迎えた週の中央値は最終月経から9週目であったことが報告されています3)。

その後は妊娠12週ごろから落ち着き始め、16~20週ごろまでにはおさまることが多いとされています。前述の研究では、吐き気や嘔吐がおさまったのは最終月経の開始日から平均84日目(妊娠12週ごろ)で、112日目(妊娠16週ごろ)までに、症状があった方の90.8%で症状がおさまっていました3)。

ただし、ピークを迎える時期や症状が続く期間には個人差があり、すべての方がこの経過をたどるわけではありません。

つらい時期は無理をせず、周囲の人の助けも借りながら過ごしましょう。食事や水分が十分にとれない場合は、目安の時期まで我慢せず、医師や助産師に相談してください。

つわりにはどんな症状がある?|吐きつわり・食べつわりなど

つわりの代表的な症状には、以下のようなものがあります。

  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 胸焼けや空腹時のむかつき
  • のどに何かつかえたような感じ

症状の出方によって、吐き気や嘔吐が中心の「吐きつわり」、空腹になると気持ち悪くなる「食べつわり」、食べ物や普段のにおいで吐き気が強まる「においつわり」、唾液が増えて飲み込みにくくなる「よだれつわり」などとよばれることがあります。これらは医学的な分類ではなく、症状の特徴を表す一般的な呼び方です。

つわりは複数の症状が重なって現れることもめずらしくありません。また、症状は朝に限らず、一日のどの時間帯にも起こりえますが、早朝や空腹時に出やすいとされています。

つわりがつらいときの過ごし方と受診の目安

つわりがつらいときは、食事や水分のとり方を工夫することで、症状が楽になることがあります。一方で、食事や水分がとれない、体重が大きく減少するなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。

ここでは、つわりがつらいときの過ごし方や仕事中の対処法、医療機関に相談する目安について解説します。

つわりがつらいときの過ごし方

つわりがつらいときは、決まった時間や量にこだわらず、食べられるものを食べられるときにとるようにしましょう。

空腹になると吐き気が強くなりやすいため、少量ずつこまめに食べるのがポイントです。とくに夕食から朝食までの間が空くと、朝の吐き気が強くなりやすいとされています。朝の吐き気がつらい場合は、起きたときにトーストやビスケットのような食べやすいものを少量とると、楽になることがあります。

また、温かい料理のにおいがつらいときは、冷たいものや冷ました料理を食べると楽になることがあります。脂っこいものはなるべく控え、ご自身が食べやすいものを選びましょう。水分も少しずつ、こまめにとることが大切です。

仕事がつらいときは|母性健康管理指導事項連絡カードの活用

仕事中のつわりがつらいときは、母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)を活用する方法があります。

つわりの症状は、強いにおいや換気の悪さ、高温多湿などの職場環境や、緊張を伴う作業によって悪化することがあります。

母健連絡カードは、主治医などから受けた勤務時間の短縮や作業の制限などの指導内容を、事業主に伝えるためのものです。カードが提出された場合、事業主は記載された指導内容に応じて適切な措置を講じる必要があります。

仕事がつらいと感じたときは、無理せず主治医に相談し、必要に応じてカードに指導内容を記載してもらいましょう。

妊娠初期の仕事の続け方や、仕事を休む目安について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

受診の目安と妊娠悪阻について

早めに医療機関に相談したほうがよい症状として、以下があります。

  • 食事や水分がほとんどとれない
  • 飲食しても吐いてしまう
  • 尿の量が少ない、色が濃い
  • 体重が減っている(妊娠前と比べて5%以上。たとえば妊娠前50kgの方で2.5kg以上)
  • めまい、立ちくらみ、強いだるさがある など

このような症状がある場合は、脱水や栄養不足が起きている可能性があります。体重の減少が大きくなくても、水分がとれない、尿がほとんど出ない場合は、点滴などの治療に対応している産婦人科を速やかに受診してください。不妊治療の施設に通院中の方は、症状が出たときにどこを受診すればよいか、あらかじめ確認しておくと安心です。

つわりが悪化して食事や水分を十分にとれなくなり、脱水や体重減少など全身の状態に影響が及んだ状態を「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といいます。妊娠悪阻では、入院による治療が必要になることがあります。症状がひどくつらいと感じる場合は、無理をせず早めに医療機関に相談しましょう。

つわりに関するよくある質問

つわりについてよくある質問にお答えします。

Q:2人目・3人目や双子の場合、つわりの時期や重さは変わる?

A:2人目・3人目や双子の場合も、つわりが始まる時期の目安は妊娠5〜6週ごろです。一方、症状の重さは妊娠ごとに異なり、前回と同じになるとは限りません。

前回の妊娠でつわりがあったことは、今回のつわりが重くなりやすい要因のひとつとされています。また、出産経験があること自体も、つわりに影響する可能性があります。日本の妊婦さん約9.2万人を対象とした調査では、出産経験のある方のほうが、初めての妊娠の方に比べて嘔吐を伴うつわりになりやすい傾向がみられました4)。

また、双子などの多胎妊娠では、つわりが重くなりやすいといわれています。同調査では、妊娠12週までに「吐き気や嘔吐があり、食事がとれなかった」と回答した方は、双子の妊娠で約17%、赤ちゃんが1人の妊娠で約11%でした4)。

前回のつわりが重かった方や双子を妊娠している方は、つらくなったときの過ごし方や受診の目安を早めに確認しておくと良いでしょう。

Q:つわりはなぜ起こるのですか?時期や症状に個人差があるのはなぜ?

A:つわりが起こる仕組みは、すべてが解明されているわけではありません。近年は、GDF15というホルモンが関わっていることを示す研究が出てきています。

GDF15は、脳に作用して吐き気などに関わるホルモンです。妊娠前から体内にありますが、妊娠中には母体の血液中で増え、その大部分は赤ちゃんと胎盤に由来します。

研究では、妊娠前のGDF15の濃度が低い方ほど、妊娠中に増えるGDF15の影響を受けやすく、妊娠悪阻になりやすい可能性が示されています5)。

このようなホルモンに対する反応の違いが、つわりの重さに個人差が生じる一因と考えられています。

院長からのメッセージ

体外受精で妊娠された方から、「まだつわりがないのですが、大丈夫でしょうか」と聞かれることがよくあります。妊娠判定から間もない時期は、うれしさと同時に不安も大きいものだと思います。

つわりが始まる時期には大きな個人差があり、妊娠5〜6週になっても何も感じない方は珍しくありません。研究でも、妊娠5週の時点では半数ほどの方がまだ症状を感じていませんでした。つわりの有無で赤ちゃんの状態はわかりませんので、症状がないことを理由に心配しすぎる必要はありません。妊娠の経過は、超音波検査で確認していきます。

反対に、黄体ホルモンの薬を使っている時期には、つわりに似た吐き気や胸の張りが出ることもあります。症状だけで判断せず、決められた日に検査を受けてください。

もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。当院を卒業して妊婦健診の施設に移る妊娠7〜9週ごろは、ちょうどつわりがピークに向かう時期と重なります。食事や水分がとれなくなったときに点滴などの治療を受けられるよう、妊婦健診を受ける産婦人科は早めに決めておくと安心です。水分もとれない、飲んでも吐いてしまう、尿が出づらいといった症状が出ているときは、無理をせず早めに受診してください。

参考文献

1)Gadsby R, Ivanova D, Trevelyan E, et al. The onset of nausea and vomiting of pregnancy: a prospective cohort study. BMC Pregnancy Childbirth. 2021;21(1):10.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7786982/

2)Sayle AE, Wilcox AJ, Weinberg CR, et al. A prospective study of the onset of symptoms of pregnancy. J Clin Epidemiol. 2002;55(7):676-680.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12160915/

3)Gadsby R, Barnie-Adshead AM, Jagger C. A prospective study of nausea and vomiting during pregnancy. Br J Gen Pract. 1993;43(371):245-248.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1372422/

4)Mitsuda N, Eitoku M, Maeda N, et al. Severity of Nausea and Vomiting in Singleton and Twin Pregnancies in Relation to Fetal Sex: The Japan Environment and Children's Study (JECS). J Epidemiol. 2019;29(9):340-346.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6680056/

5)Fejzo M, Rocha N, Cimino I, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625(7996):760-767.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10808057/