最終更新日:
2026-02-27

「ブライダルチェックは女性が受けるもの」というイメージを持つ方も少なくありません。しかし、妊娠は男女双方の健康状態が関わるため、男性側の確認も重要です。

男性のブライダルチェックは、精子の状態や感染症の有無など、妊娠に関わる男性側の健康状態を確認する検査です。不妊につながる要因や性感染症の有無を調べ、パートナーと安心して妊娠・出産を迎える準備を目的としています。 

この記事では、男性がブライダルチェックを受けるメリットや検査項目、実際の流れについて解説します。

なぜ男性にもブライダルチェックが必要なのか

男性にもブライダルチェックが必要な理由は、主に3つあります。

1.不妊の約半数に男性要因が関わっているため

WHO(世界保健機関)の報告によると、不妊カップルのうち男性側のみに原因がある場合が約20〜30%、 男女双方に原因がある場合も含めると男性側に何らかの要因が関わるケースは 約50%に上るとされています。望んだタイミングで授かれないカップルは少なくありません。

2.男性側の異常は、自覚症状が出にくいため

精子をつくる機能の低下や、精子の通り道の異常は自覚症状に乏しいのが特徴です。妊娠に特化した検査を受け、はじめて異常に気づくケースも多くあります。

3.女性パートナーを感染症から守るため

性感染症も無症状のものが多く、知らないうちにパートナーへ感染させてしまうリスクがあります。性感染症は男女とも妊娠を妨げる異常につながることがあります。

男性のブライダルチェックは、妊娠に影響しうる要因を早めに把握する、必要なら治療や生活改善につなげる、2人で同じ前提で妊活計画を立てる、という点で役立ちます。

男性のブライダルチェックでわかること

男性のブライダルチェックでは、主に以下のような項目を通して、妊娠に関わる健康状態を確認します。

  • 精子の量や動き、形の状態  
  • 性感染症の有無  
  • 精子をつくるために必要なホルモンの分泌状態  
  • 精巣や精索静脈瘤などの構造的な異常  

これらを総合的に評価することで、将来の妊娠に影響しうる要因がないかを確認します。

検査内容は医療機関によって異なりますが、「精液検査」と「感染症検査」は基本項目として含まれることが一般的です。

男性のブライダルチェックを検討しやすいタイミング

次のような場合は、男性のブライダルチェックを検討しやすいタイミングといえます。

  • 将来子どもを持ちたいと考えはじめた  
  • パートナーがブライダルチェックを受ける予定がある
  • 妊活を始める前に体の状態を確認しておきたい
  • 性感染症への不安がある
  • 陰嚢の違和感や精巣の左右差が気になっている  

なお、強い痛みや腫れ、発熱がある場合は、ブライダルチェックではなく早めに泌尿器科へ相談してください。

ブライダルチェックを受けるタイミングについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

一般的な健康診断や不妊検査との違い

ブライダルチェックと、一般的な健康診断・不妊検査は、目的や受けるタイミングが異なります。

一般的な健康診断 ブライダルチェック 不妊検査
目的 生活習慣病など全身の健康状態を確認する 妊娠や出産に影響する病気や感染症の有無を把握する 妊娠に至らない原因を特定し、治療につなげる
対象者 すべての方 将来的に子どもを持つことを望んでいる方 避妊せずに性交渉を行っても妊娠に至らないカップル
検査内容 血液検査、尿検査、心電図検査など 精液検査、性感染症検査、ホルモン検査など ブライダルチェックの検査に加え、より詳細な検査

健康診断は生活習慣病など全身状態の確認が中心で、妊娠に特化した項目は基本的に含まれません。

不妊検査は、避妊せず一定期間妊娠に至らない場合に原因を調べ、治療方針を立てるための検査であり、ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えて妊娠に関わる項目(精液・感染症など)を確認する予防的な検査です。

ブライダルチェックと不妊検査の違いについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

男性のブライダルチェックを受けられる場所

男性のブライダルチェックは、不妊治療専門のクリニックや男性不妊に対応している泌尿器科で受けられます。

受診先に迷った場合は、以下を整理してみましょう。

  • パートナーと一緒に受診するか
  • 男性ひとりで受けたいか  
  • 基本項目のみか、超音波検査なども希望するか 

妊娠を望むカップルは不妊治療専門クリニックが選択肢になります。男性のみで受診したい場合や精密検査も視野に入れる場合は、男性不妊に対応する泌尿器科が適しています。

以下の記事で、ブライダルチェックを受けるクリニックの選び方を詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

男性のブライダルチェックの費用

ブライダルチェックは予防的な検査のため、原則として自費診療です。費用は検査内容や医療機関によって異なります。

ただし、症状や既往歴などから医師が診断目的で必要と判断した場合や、不妊を疑って実施される検査は保険適用となることがあります。適用範囲は個々の状況によって異なるため、受診前に医療機関へ確認しましょう。

自治体によっては、不妊検査やプレコンセプションケアに関する助成制度があります。東京都では「不妊検査等助成事業」や「TOKYOプレコンゼミ」などの制度がありますが、対象条件が異なるため詳細は公式サイトをご確認ください。

男性ブライダルチェックの保険適用について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

男性のブライダルチェックの検査項目・流れ

男性のブライダルチェックでは、主に以下の検査を組み合わせて行います。

  • 精液検査
  • 感染症検査
  • ホルモン検査
  • 超音波検査
  • 風疹抗体検査

検査項目やその組み合わせは医療機関によって異なるため、受けたい項目が含まれるかを事前に確認しましょう。

ここでは一般的な項目について紹介します。

精液検査

精液検査は、精液量や精子の濃度、運動率、形態などを確認する検査です。精液の状態は体調によって変動することがあるため、結果によっては医師の判断で再検査を行うこともあります。

精液検査は、以下の流れで行われます。

1.禁欲期間を設ける

 2〜7日程度の禁欲期間を設けます。

2.精液を採取する  

院内または自宅でマスターベーションにより精液を採取します。自宅採取の場合は、1~2時間内に医療機関へ持参することが望ましいとされています。

3.結果を確認する  

WHOの基準値をもとに評価されます。精液の状態は体調によって変動することもあるため、必要に応じて複数回検査を実施することもあります。

感染症検査

クラミジア、淋菌、梅毒、HIV、肝炎などの感染の有無を確認します。クラミジアや淋菌は尿検査などで、梅毒やHIV、肝炎ウイルスは血液検査で調べるのが一般的です。

クラミジアや淋菌は精巣上体に炎症を起こすことがあり、精子の通り道が閉塞して妊娠しにくくなる場合があります。また性感染症がパートナーへ感染した場合、女性側の不妊や流産・早産のリスクにもつながる点にも注意が必要です。

B型肝炎のように、男性から女性、胎児へと感染が広がる感染症もあるため、妊活をはじめる前に検査しておくことが重要です。

その他の検査(風疹抗体検査・ホルモン検査・超音波検査など)

医療機関によっては、風疹抗体検査やホルモン検査、超音波検査などを行うことがあります。

風疹抗体検査

妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに難聴や心臓の異常などの障害が起こるおそれがあります。男性が感染源となり風疹ウイルスをパートナーにうつすことが懸念されるため、抗体が不十分な場合はワクチン接種を検討しましょう。

ホルモン検査

精子をつくるために必要なホルモンが正常に分泌されているかを血液検査で調べます。数値に異常がある場合、精巣そのものや、ホルモンの分泌を指令する脳の機能に問題がある可能性が考えられます。

超音波検査

精巣周辺の静脈が拡張しこぶ状に膨らんだりする「精索静脈瘤」の有無、精巣の大きさなどを調べます。いずれも精子をつくる機能に影響する可能性があるため、検査で確認しておくと安心です。

ブライダルチェックの詳しい検査内容については、以下の記事をご覧ください。

男性のブライダルチェックに関するよくある質問

男性のブライダルチェックについて、よく寄せられる質問に回答します。

Q:ブライダルチェックは男女ペアで受けられますか?

不妊治療専門のクリニックでは、男女ペアでのブライダルチェックに対応している施設が多くあります。検査結果をもとに、今後の妊活について医師から二人一緒に説明を受けられる医療機関もあります。

一般の婦人科でも対応している場合はあるものの、男性の検査を受けられない、または基本的な項目に限られることがあります。

男女ペアでの受診を希望する場合は、検査内容や対応範囲を事前に医療機関へ確認しておくとスムーズです。

男女ペアで検査を受ける重要性について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

院長からのメッセージ

「ブライダルチェックって、男性も受けるものなんですか?」という質問をよくいただきます。まだまだ「女性が受けるもの」というイメージが強いのが現状ですが、実は男性にとっても大切な検査なんです。

妊娠はあなたとパートナーの2人の話です。精子の状態は見た目や体感ではわからないので、一般的な健康診断で問題なしと言われていても、精液検査をしてみると精子の運動率や数に気になる点が見つかることは珍しくありません。逆に、検査して「自分は問題ない」と確認できれば、それだけで2人にとっての安心材料になります。

採精に少し抵抗を感じる方もいると思います。それは自然な感覚です。院内採精の施設であれば専用の採精室が用意されていますし、自宅採取に対応している施設も多くあります。実際に来院された方からは「思ったより気にならなかった」という感想をよく聞きます。

男性の検査は、女性の婦人科検査と比べてシンプルで、体への負担もほとんどありません。パートナーがいくつもの検査を受けて頑張っている隣で、自分の状態も把握しておけたら、2人で同じ景色を見ながら妊活に向き合えると思うのです。

「なんとなく気になっていたけど、踏み出せていなかった」という方にこそ、ぜひ一度受けていただきたいと思っています。

参考文献

東京都福祉局プレコンセプションケア東京都福祉局ウェブサイト.

東京都福祉局不妊検査等助成事業の概要東京都福祉局ウェブサイト.

こども家庭庁. 不妊症・不育症ポータルサイト.

長野県妊活支援サイト. 妊活ながのウェブサイト.

日本産科婦人科学会ウェブサイト.

一般社団法人日本生殖医学ウェブサイト.

関連記事

関連記事がありません
コラム一覧へ