最終更新日:
2026-01-29

ブライダルチェックと不妊検査は、どちらも妊娠に関わる体の状態を調べる検査ですが、目的・受けるタイミング・検査の位置づけが異なります。

「妊活前に受けるべきなのはどっち?」「同じような検査に見えるけど違いは?」「費用や助成は変わる?」と迷う方も多いでしょう。

この記事では、以下を整理してわかりやすく解説します。

  • ブライダルチェックと不妊検査の違い
  • いまの自分にはどちらが合っているかの判断軸
  • 検査内容・費用・助成制度の考え方

ブライダルチェックと不妊検査の違い

ブライダルチェックと不妊検査は、どちらも妊娠や出産に関わる体の状態を調べる検査ですが、大きな違いは、検査を受ける目的です。

ブライダルチェックは「今の状態を知るため」、不妊検査は「原因を調べて治療につなげるため」に行われます。

ブライダルチェック 不妊検査
目的 将来の妊娠・出産に備えて体の状態を知る 妊娠に至らない原因を特定し、治療につなげる
受けるタイミング 妊娠を考え始めた段階・妊活前・妊活初期 妊娠を希望して1年以上(35歳以上は6ヶ月以上)妊娠しない場合
主な対象者 将来子どもを授かることを望むすべての人 妊娠を希望しているカップル
検査の性質 予防的・自主的な健康チェック 医学的診断のための検査
費用 原則自費 条件により保険・助成対象になることあり

ブライダルチェックと不妊検査の検査内容は共通する項目も多いため、ご自身の状況や目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

自分に合うのはブライダルチェック?不妊検査?判断ポイント

ブライダルチェックと不妊検査は、検査内容が似ていても、どの段階の悩みに対する検査かが異なります。判断の軸は、妊活の進み具合と体に気になる症状・既往があるかどうかになります。

以下の2つの視点から整理すると、自分に合った検査を選びやすくなります。

妊活の段階から考える

まだ妊活を始めていない、または、これから妊娠を考えたいという段階であれば、まずはブライダルチェックが適しています。

ブライダルチェックは、妊娠に影響する可能性のある異常がないかを事前に確認し、将来に備えるための検査です。

一方、妊活を始めて一定期間が経過しているにもかかわらず妊娠に至らない場合は、不妊検査を検討するタイミングといえます。一般的には、妊娠を希望して1年以上経っても妊娠しない場合(35歳以上の場合は6ヶ月以上)、原因を特定するための医学的な検査が必要になることがあります。

症状・既往がある場合は早めに受診を

妊活の期間に関わらず、体に気になる症状や既往がある場合は、不妊検査として医療機関に相談したほうがよいケースもあります。

たとえば、月経不順が続いている、強い月経痛がある、子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を指摘されたことがある場合などです。

こうした状況では、ブライダルチェックではなく、不妊検査として扱われ、原因の特定や治療方針の検討につながることがあります。

検査内容の違い:共通の検査・不妊検査で追加される検査

ブライダルチェックと不妊検査は目的が異なりますが、どちらも妊娠に関わる体の機能を確認する点では共通しており、検査内容が重なる部分も多くあります。

なお、ブライダルチェックの検査項目には明確な定義はなく、検査内容は医療機関によって異なります。希望する検査が含まれているかどうかは、事前に確認しておくとよいでしょう。

ブライダルチェックで行われる主な検査

ブライダルチェックでは、妊娠に影響する可能性のある項目を中心に、体の状態を幅広く確認します。

女性の主な検査項目

  • ホルモン検査(排卵やホルモンバランスの確認)
  • 経腟超音波検査(子宮・卵巣の状態)
  • 感染症検査(クラミジア・淋菌、HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒など)
  • AMH検査(卵巣予備能の目安)
  • 子宮頸がん検診

男性の主な検査項目

  • 精液検査(精子濃度・運動率など)
  • ホルモン検査
  • 感染症検査(クラミジア・淋菌、HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒など)

これらの検査は、不妊検査でも初期評価として実施されることが多い項目です。

ブライダルチェックの内容については、以下の記事も参考にしてください。

不妊検査で追加されやすい検査

不妊検査でも上記と同様の検査が実施されます。さらに、妊娠に至らない原因を詳しく調べるために、以下の検査が行われることがあります。

女性

  • 子宮卵管造影検査(HSG)
  • 子宮鏡検査
  • 性交後検査(フーナーテスト)など

男性(精液検査で異常が見つかった場合の精密検査)

  • 精子DNA断片化指数(DFI)検査
  • 染色体検査
  • 精巣超音波検査 など

同じ超音波検査やホルモン検査であっても、現状を知るための検査なのか、不妊の原因を診断するための検査なのかによって、検査の位置づけや進め方が異なる点が重要です。

費用と保険適用の違いで注意したいポイント

ブライダルチェックと不妊検査は、検査内容が似ていても検査の目的によって費用の扱いが異なります。保険適用になるかどうかは「何のために行う検査か」が判断基準になります。

ブライダルチェックは原則自費

ブライダルチェックは、妊活前や結婚前のヘルスチェックを目的としているため、基本的に保険適用外(自費診療)です。

ただし、検査で異常が見つかり、医師が診断や治療が必要と判断した場合は、その後の検査・治療が保険診療に切り替わることがあります。

不妊検査は条件により保険・助成対象

不妊検査については、医師が医学的に必要と判断した場合、保険適用となることがあります。ただし、予防的な検査や自主的な検査は保険適用外となります。

また、不妊治療(生殖補助医療)については、以下の条件を満たす場合に保険適用となります。

対象年齢 治療開始時の女性の年齢:43歳未満
治療回数 40歳未満:1子ごと胚移植6回まで
40歳以上43歳未満:1子ごと胚移植3回まで

ブライダルチェックや自由診療の不妊検査を受ける場合は、医療機関ごとに費用が異なるため、事前に確認するとよいでしょう。

ブライダルチェックや不妊検査の助成金について

住んでいる地域によっては、ブライダルチェックや不妊検査に関する助成金制度を設けている場合があります。

たとえば、東京都では以下の2つの助成金制度があります。

  • 不妊検査等助成事業
    • 子どもを望む夫婦が必要に応じて適切な治療を開始できるよう、不妊検査および一般不妊治療にかかる費用の一部を助成する制度
  • TOKYOプレコンゼミ
    • 妊娠に関する正しい知識を学ぶ「TOKYOプレコンゼミ」を受講した方を対象に、検査費用の一部を助成する制度

助成の対象や条件は自治体によって異なるため、検査を検討している場合は、必ず自治体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

東京都で受けられるブライダルチェックについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

ブライダルチェックや不妊検査を受けるタイミング

ブライダルチェックは、将来妊娠や出産を考えているすべての方が対象であり、検査を受けるタイミングに明確な決まりはありません。

結婚の予定やパートナーの有無に関係なく受けられるため、妊娠を意識し始めた段階で一度受けておくと、現在の体の状態を把握でき安心です。

一方、不妊検査は妊娠を希望して1年以上(35歳以上の場合は6ヶ月以上)経過しても妊娠に至らない場合に受けることが推奨されます。さらに、子宮内膜症・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科疾患がある方、生理不順が続いている方は、早めに不妊検査を受けた方がよい場合があります。

状況によって適切な検査は異なるため、迷った場合は自己判断せず、医師に相談しながら検査内容を選びましょう。

ブライダルチェックと不妊検査についてよくある質問

ブライダルチェックや不妊検査について、多くの方が抱く疑問にお答えします。

Q:ブライダルチェックは男性も受けられますか?

ブライダルチェックは男性も受けられます。

WHO(世界保健機関)の調査では、不妊カップルの約半数に男性因子が関与しているとされています。そのため、将来子どもを授かることを望むカップルは、男女ペアでのブライダルチェックを検討するとよいでしょう。

男女ペアで受けることで、妊娠に向けた認識を共有しやすくなり、ライフプランを考えるきっかけにもなります。

男女ペアで受けられるブライダルチェックについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。


Q:ブライダルチェックは独身でも受けられますか?

ブライダルとついてはいますが、検査のタイミングとして結婚の有無は関係ありません。ブライダルチェックは独身の方でも受けられます。

ブライダルチェックは将来の妊娠・出産に向けて、妊娠に影響する病気や異常がないかを確認する検査です。結婚しているかどうかは関係なく、将来的に妊娠を希望する方であれば誰でも受けることが可能です。

早めに自分の体の状態を知っておくことで、将来のライフプランを考える際の参考になります。

Q:不妊検査だけ受けることはできますか?

不妊検査のみを受けられるかどうかは、医療機関によって対応が異なります。

不妊検査は治療方針の検討を前提として行われることが多く、検査のみの受診が難しい場合もあります。不妊検査ではなく、ブライダルチェックを選択する方が適切なケースもあります。

まずは、受診を検討している医療機関に相談するとよいでしょう。

院長からのメッセージ

「ブライダルチェックと不妊検査、自分はどちらを受けるべきなのか」と迷われる方は多いのですが、判断のポイントは「今の自分の気持ちやライフステージがどの段階にいるか」です。

妊活を始める前、またはこれから妊娠を考えたいという段階であれば、ブライダルチェックが適しています。将来の妊娠に影響する可能性のある異常がないかを事前に確認し、備えるための検査です。

一方、妊娠を希望して1年以上(35歳以上の場合は6ヶ月以上)経っても妊娠しない場合は、不妊検査を検討するタイミングです。原因を特定し、適切な治療につなげることが目的になります。

ただし、月経不順や強い月経痛がある、子宮内膜症やPCOSを指摘されたことがあるなど、気になる症状や既往がある場合は、妊活期間に関わらず早めに医療機関に相談してください。

また、不妊の約半数は男性にも原因があります。カップルで検査を受けることで、お互いの状態を理解し、将来のライフプランについて話し合う良い機会にもなるでしょう。

どちらを受けるべきか迷う場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。状況に応じて最適な検査をご提案いたします。

参考文献

東京都福祉局. プレコンセプションケア. 東京都福祉局ウェブサイト.
東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト. 

こども家庭庁. 不妊症・不育症ポータルサイト.

長野県妊活支援サイト. 妊活ながのウェブサイト.

一般社団法人日本生殖医学ウェブサイト.

日本産科婦人科学会.産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023.

日本泌尿器科学会.2024年度版男性不妊症診療ガイドライン.

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