妊娠について考えはじめると、「1番妊娠しやすい年齢はいつなのだろう」と気になる方もいるでしょう。
女性が最も妊娠しやすいのは、一般的に20歳前後とされています。ただし、妊娠しやすさは年齢だけでなく、排卵がきちんと起きているか、子宮や卵巣・卵管に病気がないかといった体の状態によっても変わります。
また、10代など若すぎる時期の妊娠にはリスクも伴う一方で、年齢を重ねると妊娠しにくくなることもわかっています。
この記事では、女性の年齢別の妊娠率や、男性の年齢が妊娠に与える影響、妊娠しやすい体づくりのために今日からできることなどについて解説します。
1番妊娠しやすい年齢とは?
女性が1番妊娠しやすいのは、一般的に20歳前後とされています1)。その後30歳頃からゆるやかに妊娠率が低下し、35歳を過ぎるとさらにそのスピードが加速する傾向があります2)。
ただし、これらはあくまで傾向であり、実際のところ妊娠のしやすさには、排卵がきちんと起きているか、子宮や卵巣・卵管に病気がないかといった体の状態などが重要です。そのため、比較的妊娠しやすいとされる20代でも、なかなか妊娠しないと悩む方もいます。
また、妊娠・出産にともなうリスクまで含めて考えると、妊娠・出産にとくに適した年齢は20代前半から30代前半がひとつの目安です3)。
例えば、10代の女性が妊娠した場合、染色体異常を伴わない赤ちゃんの先天的な構造異常のリスクは、20代よりも高くなることが報告されています。一方で、30歳を超えると妊娠・出産の前後における母体や赤ちゃんのリスクは年齢とともに緩やかに上がることが知られています。
そして、30代後半以降でも妊娠の可能性はもちろんありますが、先述のとおりこの年代では自然妊娠の妊娠率が低下してくるため、不妊治療も視野に入れつつ妊活を進めることが推奨されます。
女性の年齢と妊娠率
ここでは、女性の年齢と妊娠率に関するデータを紹介します。
自然妊娠の年齢別妊娠率
女性が妊娠しやすい年齢を考えるうえで参考になるデータのひとつが、自然妊娠における1周期あたりの妊娠率です。
第1子を希望する日本人カップル1,264組を対象とした研究では、年齢別の妊娠率(中央値)は以下のように推定されています4)。
このように、年齢が上がるにつれて妊娠率は低下していく傾向がみられます。なお、この研究で40歳以上に該当したのは21人のみであり、40歳以上の数値は特に参考程度にご覧ください。
また、同研究において、避妊をやめてから妊娠するまでの平均期間(不妊治療による妊娠を含む)は、29歳以下で約6.8〜8.5か月、30代で約11.6〜13.7か月、40歳以上では19.7か月と報告されました4)。
年齢が上がるほど、1周期あたりの妊娠のしやすさが低下するだけでなく、妊娠に至るまでの期間も長くなる傾向があるといえます。
ただし、上記の妊娠率の数値はあくまで年齢層ごとの中央値です。この研究では、同じ年齢層の中でも妊娠のしやすさは個人差が大きいことが示されています。また、妊娠するまでの期間は自然妊娠だけでなく不妊治療による妊娠も含めた数値であり、この平均には調査時点で妊娠に至っていなかった人の妊活期間も含まれています。こちらも個人でのばらつきが大きいため、目安として考えてください。
自然妊娠の確率と年齢の関係については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
体外受精などの生殖補助医療(ART)における年齢別妊娠率
日本産科婦人科学会が公表している2024年のデータをもとにした、年齢別の妊娠率(治療周期あたり)は以下のとおりです5)。
先述した自然妊娠の1周期あたりの妊娠率とは、対象者などが異なるため一概に比較はできませんが、30歳で30.1%、35歳でも27.4%という治療周期あたりの妊娠率が示されており、一定の妊娠率が期待できる結果となっています。
一方で、生殖補助医療でも40歳では妊娠率17.5%、実際に出産に至った割合(生産率)は10.9%となり、45歳ではそれぞれ3.8%、1.6%まで低下します。年齢とともに流産の割合も高くなるためです。なるべく早い段階で治療を実施することが重要と言えます。
体外受精の妊娠率や、妊娠率に影響する要因については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
年齢とともに妊娠しにくくなる理由
女性が年齢を重ねると妊娠しにくくなる背景には、卵子数の減少や質の低下、子宮や卵巣の病気が増えることなどが関係します。
卵子は胎児期につくられたのち新たにつくられることはありません。そのため、年齢を重ねるにつれて卵子の数が減少していきます。
さらに、卵子は年齢とともに質も低下するため、受精や着床がしにくくなったり、染色体異常による流産のリスクも高まったりします。
また、年齢を重ねることで、子宮や卵巣などの病気が増えてくることも妊娠しにくくなる要因のひとつです。
例えば、子宮内膜症は20〜30代の女性に発症することが多く、患者さんの半数近くが不妊に悩むといわれています。
また、子宮筋腫は30歳以上の女性の3割前後にみられるとされ、できた場所によっては不妊の原因になることが知られています。
妊娠を考えるタイミングは人それぞれで、仕事や自分の生活を大切にしたい時期もあるでしょう。しかし、加齢によって妊娠しにくくなる可能性が高まるため、将来妊娠を考えている方は、早めにご自身の体の状態を確認しておくと安心です。
妊娠を望んでいる方は、避妊せずに性交渉をもっても、35歳未満なら1年、35歳以上なら6か月妊娠しない場合が、医療機関を受診する目安です。ただし、不安があれば期間にかかわらず受診を検討しましょう。
10代は妊娠しやすい年齢?妊娠・出産のリスクについて
妊娠しやすい年齢は20歳前後がピークとされており1)、10代後半も妊娠しやすい時期です。
しかし10代での妊娠には、赤ちゃんの先天的な構造異常のリスク以外にも、さまざまなリスクが伴います。
国内の研究では、19歳以下で出産した女性は20〜24歳の女性に比べて、早産や低出生体重のリスクがやや高いことが報告されています6)。一方で、国内の別の報告では、体への影響よりも、生活や経済面などの社会的な基盤の弱さが目立つことも指摘されています7)。
実際に、10代の妊娠は予期しない妊娠であることも少なくありません。
誰にも相談できずに社会的に孤立してしまったり、教育や経済面での支援が十分に届かなかったりするケースもあります。
そのため10代の妊娠では、妊娠しやすいかどうかだけでなく、妊娠から出産、その後の生活まで含めて考えることが重要です。
もし妊娠したかもしれないと不安なときは、一人で抱え込まないことが大切です。生理の遅れや吐き気、気分の不調など、妊娠初期に見られやすい変化に気づいた場合は、生理予定日の1週間後頃から妊娠検査薬で確かめることができます。
陽性だった場合や判断に迷う場合は、自己判断せず相談できる人を頼りながら、医療機関を受診しましょう。身近に相談できる人がいない場合は、各地の「にんしんSOS」相談窓口や、東京都の「妊娠相談ほっとライン」などで、匿名で相談することもできます。
男性の年齢も妊娠のしやすさに影響する?
男性の年齢も、妊娠のしやすさに影響します。男性も年齢を重ねると生殖機能が少しずつ低下し、精液量の減少は平均35.5歳頃から顕著になると報告されています。
また、精子の数や運動性の低下、精子のDNAの損傷なども起こりやすくなり、体外受精などの治療でも、男性が40歳未満の場合のほうが妊娠率・出産率が高いという結果が出ています。
一方で、年齢を重ねても、生活習慣を見直したり、必要に応じて治療を受けたり、状態のよい精子を選び出す技術を使ったりすることで、妊娠・出産につながるケースもあります。
妊娠のしやすさは女性の年齢だけで決まるものではありません。
妊活を考える際は、お互いの体のことを知り、2人で一緒に向き合っていきましょう。
妊娠しやすい体を目指すためにできること
妊娠しやすい体を目指すうえで、年齢にかかわらず今日からできるのが生活習慣の見直しです。
男女共通で次のような生活習慣を心がけましょう。
- 適切な体重管理
- 栄養バランスのよい食事
- 適度な運動
- 禁煙
- アルコールやカフェインは控えめにする
- 睡眠時間の確保
- ストレス管理
このような生活習慣は、女性であれば妊娠しやすい体づくりに、男性であれば良好な精子をつくることにつながります。
また、女性は赤ちゃんの先天異常を減らすため、バランスのよい食事に加えて、栄養機能食品(サプリメント)などから1日400μgのモノグルタミン酸型葉酸の摂取が推奨されています8)。あわせて、生理周期や排卵を把握するため、基礎体温を記録しておくのもおすすめです。
男性の場合、精子は熱に弱いという特徴があるため、サウナや長時間の入浴などを避けることも重要です。膝の上でのパソコン作業なども控えましょう。
妊娠しやすい体づくりは、どちらか一方だけでなく2人で一緒に取り組んでいくことが大切です。
妊娠のしやすさと年齢に関してよくある質問
ここでは妊娠のしやすさと年齢に関するよくある質問に回答します。
Q:初産の年齢の平均はいくつですか?
A:厚生労働省の人口動態統計によると、2025年の第1子出生時の母親の平均年齢は31.0歳と報告されています9)。
初産の平均年齢は2011年に初めて30歳を超えており、今では30代で初めての出産を迎えることは珍しくありません。
しかし、30歳を超えると、妊娠や出産の前後における母体や赤ちゃんのリスクは緩やかに上がることがわかっています。
将来的に妊娠を考えている方や妊活を予定している方は、ご自身の体の状態を知るきっかけとして、ブライダルチェックなどを検討してみるのもよいでしょう。ブライダルチェックについて詳しくは、以下のページをあわせてご覧ください。
Q:年齢以外に妊娠しやすい人の特徴はありますか?
A:「この特徴があれば必ず妊娠しやすい」と言い切れるものはありません。しかし、規則的な排卵や子宮内膜症・性感染症などの有無、パートナーの精子の状態なども妊娠のしやすさに関わります。
例えば、クラミジアなどの性感染症によって卵管やその周囲に炎症が起こると、卵管が狭くなったり塞がったりして、不妊の原因になることがあります。
また、生活習慣も妊娠のしやすさと関わりがあります。やせは月経不順や不妊の原因になり、肥満は排卵障害との関連が高いとされています。
実際に、普通体重(BMI18.5〜25未満)のなかでも、BMI20〜24の方は排卵障害による不妊のリスクが最も低いという報告もあります。
さらに、脳の視床下部はストレスに弱く、過度なストレスを受けるとホルモンバランスが崩れることがあります。
妊娠を希望している方やすでに妊活をはじめている方などは、適正体重の維持やバランスの良い食事、ストレスをためこまない生活を心がけましょう。
院長からのメッセージ
「何歳までなら妊娠できますか」というご質問を、外来ではよくいただきます。数字でお答えするなら、妊娠しやすさは20歳前後が最も高く、30歳を過ぎると少しずつ、35歳を過ぎるとはっきりと下がっていきます。この傾向は体外受精でも同じで、治療によって年齢による低下を完全に補うことはできません。
ただ、この記事で紹介した日本の研究には、もうひとつ大切な結果があります。同じ年齢の中での個人差が、年齢による差と同じくらい大きいということです。20代でもなかなか妊娠しない方がいる一方で、30代後半で自然に妊娠される方もいます。年齢は目安であって、その方の妊娠しやすさを決めるものではありません。
では、何がその差を生むのか。排卵がきちんと起きているか、卵管や子宮に問題がないか、パートナーの精子の状態はどうか。こうしたことは、検査をしてみないとわかりません。そして多くは、わかれば対処できることです。
年齢を気にして過度に焦る必要はありません。ただ、時間は戻らないので、気になったときに一度ご自身の体の状態を確認しておくことをお勧めします。妊娠を考えるのがまだ先でも、今の状態を知っておくことは、これからの選択肢を広げることにつながります。男性の年齢や体の状態も妊娠に関わりますので、できればお二人で一緒に考えてみてください。
参考文献
1)日本生殖医学会. Q3.不妊症の人はどのくらいいるのですか?. 日本生殖医学会ウェブサイト
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa03.html
2)日本生殖医学会.Q22.女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか? 日本生殖医学会ウェブサイト
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html
3)日本生殖医学会. Q21.女性の妊娠・分娩に最適な年齢はいくつくらいですか?. 日本生殖医学会ウェブサイト
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa21.html
4)Konishi S, Kariya F, Hamasaki K, Takayasu L, Ohtsuki H. Fecundability and Sterility by Age: Estimates Using Time to Pregnancy Data of Japanese Couples Trying to Conceive Their First Child with and without Fertility Treatment. Int J Environ Res Public Health. 2021;18(10):5486.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8161326/
5)日本産科婦人科学会. 2024年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績.
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2024_JSOG-ART.pdf
6)Ogawa K, Matsushima S, Urayama KY, et al. Association between adolescent pregnancy and adverse birth outcomes, a multicenter cross sectional Japanese study. Sci Rep. 2019;9:2365.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6382879/
7)赤澤宗俊, 橋本和法. 本邦の若年妊婦についての社会的背景および周産期予後の検討. 日本周産期・新生児医学会雑誌. 2023;59(2):194-199.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspnm/59/2/59_194/_pdf/-char/ja
8)東京都福祉局. 妊娠のために知っておきたいこと. 妊娠支援ポータルサイト東京都妊活課
https://www.ninkatsuka.metro.tokyo.lg.jp/ninshin-shitteokitai/
9)厚生労働省. 令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)の概況 結果の概要.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai25/dl/kekka.pdf







