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最終更新日:
2026-10-22

「35歳を過ぎたら高齢出産になるの?」「2人目の出産でも高齢出産と考えるの?」と、自分の年齢が高齢出産にあたるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

高齢出産に何歳からという明確な定義はありませんが、一般的には35歳以上での出産を指して使われます。また、35歳以上で初めて出産する人には「高年初産婦」という用語があります。

年齢が上がると流産の割合や赤ちゃんの染色体異常の可能性が高まる傾向がありますが、35歳を境にリスクが急に高まるわけではなく、妊娠の経過には個人差があります。

この記事では、高齢出産は何歳からを指すのか、初産と2人目以降で違いはあるのか、年齢によるリスクや男性の年齢の影響、妊娠を考え始めたときに知っておきたいことを解説します。

高齢出産は何歳から?初産と経産婦(2人目・3人目以降)の違いは?

高齢出産には、何歳から何歳までという統一された定義はなく、初産・経産によって年齢の基準が明確に分かれているわけでもありません。一般的には初産・経産問わず、35歳以上の出産に対して使われています。

日本産科婦人科学会では、35歳以上で初めて出産する人を「高年初産婦」としています。以前は30歳以上が基準でしたが、1991年に35歳以上へ引き上げられました1)。「高年初産婦」は初産に限った用語であり、2人目・3人目以降を出産する経産婦は対象に含まれません。

また、「超高齢出産」という言葉にも、学会などによる統一された定義はありません。一部の研究では、45歳以上の妊婦を「超高齢妊婦」として扱っています。

ただし、こうした年齢区分は、出産できる年齢の上限を示すものではありません。妊娠する力(妊孕性)は30代から徐々に低下し、35歳前後からそのペースが速まるといわれています。年齢だけで「何歳までなら出産できる」とはいえませんが、妊娠を希望している場合は、早めに医師に相談するとよいでしょう。

母親の年齢別の出生数と割合

近年は、35歳以上での出産も珍しくありません。2025年の人口動態統計(確定数)によると、母親が35歳以上だった出生は198,605人で、出生数全体の約29.6%を占めます2)。およそ3.4人に1人が、35歳以上の母親から生まれた計算です。

母親の年齢 出生数 出生数全体に占める割合
19歳以下 4,167人 約0.6%
20〜24歳 39,654人 約5.9%
25〜29歳 173,147人 約25.8%
30〜34歳 255,678人 約38.1%
35~39歳 155,326人 約23.1%
40~44歳 41,635人 約6.2%
45歳以上 1,644人 約0.2%

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母親の年齢別の出生数は30~34歳が最も多く、次いで25~29歳、35~39歳となっています。20代後半から30代の母親から生まれた赤ちゃんが、出生数全体の9割近くを占めています。35歳以上の出産も珍しくない一方で、加齢に伴って妊娠・出産のリスクが高まることも知っておきましょう。

高齢出産にはどのようなリスクがある?

年齢が上がるにつれて、流産や妊娠中の母体の合併症、赤ちゃんの染色体異常のリスクが高まる傾向があります。一方で、35歳を境にすべてのリスクが急に高まるわけではなく、同じ年齢でも妊娠の経過は個人によって異なります。

流産や母体の合併症のリスク

流産の確率は、女性の年齢が上がるにつれて高くなる傾向があります。これは、体外受精などの生殖補助医療による妊娠でも同様の傾向がみられます。

日本産科婦人科学会の2024年のARTデータブックでは、生殖補助医療で妊娠した周期に占める流産の割合は、30歳で17.4%、35歳で21.8%、40歳で34.5%でした3)。年齢別の数値を見ると35歳を境に急に高まるのではなく、徐々に変化しています。

ただし、この結果は生殖補助医療による妊娠のデータであり、自然妊娠を含むすべての妊娠の流産率を示すものではありません。年齢による傾向としてとらえましょう。

また、年齢が高いことは、妊娠中の母親の合併症が起こりやすくなる要因のひとつです。妊娠中の血圧や血糖値の異常は、母親だけでなく赤ちゃんの健康にも影響することがあるため、定期的な妊婦健診で状態を確認することが大切です。

日本生殖医学会は、出産前後の母体や赤ちゃんのリスクについて、30歳を超えると緩やかに上がり、35歳以上では赤ちゃんの新生児集中治療室(NICU)への入院が増え、40歳以上では帝王切開の割合が増えるとしています。具体的には、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などが起こりやすくなります。ただし、これらの頻度はもともと高いものではなく、40歳で妊娠しても過度に恐れる必要はありません。妊婦健診で注意深く経過をみていくことが大切です。

赤ちゃんの染色体異常のリスク

お母さんの年齢が上がるにつれて、赤ちゃんの染色体に異常が生じる可能性が高まります。代表的なものとしては、ダウン症候群(21トリソミー)があります。

2008〜2017年にデンマークで妊娠初期の検査を受けた542,375件の単胎妊娠を追跡した研究があります。この研究では、21トリソミー(ダウン症候群)や18トリソミー、13トリソミーなど、主な染色体の数の異常が確認された割合は、母親の年齢が20〜29歳で0.20%、30〜34歳で0.34%、35〜39歳で0.92%、40〜44歳で3.14%でした4)。

なお、この研究には検査のあとに流産や妊娠中断となったケースも含まれます。年齢が上がるにつれて、妊娠・出産では母体だけでなく、胎児へのリスクも高まる傾向があります。

また、生まれつきの病気にはさまざまな種類があります。年齢は染色体疾患を考えるうえでの要素のひとつですが、年齢だけで赤ちゃんの状態を判断することはできません。気になることがあれば、妊娠前や妊娠中に医師に相談しましょう。

年齢とともに出産のリスクが高まる理由

年齢とともに流産や赤ちゃんの染色体異常のリスクが高まる理由のひとつとして、卵子の染色体の数に誤りが生じやすくなることがあります。

卵子が排卵に向けて成熟する過程では、46本ある染色体を23本ずつに分ける「減数分裂」が進みます。加齢に伴って、染色体が分かれる際に誤りが起こりやすくなり、染色体の数が通常より多い、または少ない卵子ができることがあります。

こうした卵子が受精すると、受精卵の染色体の数にも異常が生じ、発育に影響する場合があります。その結果、流産につながったり、ダウン症候群などの原因になったりすることがあります。

高齢出産に向けて知っておきたいこと

妊娠を希望する場合、まずは持病や服用中の薬、日頃の体調について医師と相談するとよいでしょう。妊娠を試みてもなかなか授からない場合は、受診を先延ばしにせず、相談を検討してください。35歳以上では、妊娠を試みて約半年経っても授からない場合、40歳以上は妊娠を希望した時点で受診をするのがひとつの目安です。

年齢を重ねるほど妊娠までに時間がかかりやすくなるため、状況によっては体外受精などの生殖補助医療も選択肢になります。保険で体外受精を受けられるのは、治療開始時点で女性の年齢が43歳未満の場合です5)(40歳未満なら1子につき胚移植が6回まで、40歳以上43歳未満なら1子につき胚移植が3回まで)。

将来の妊娠を考え始めたら、一度自分の体の状態を確認しておくことが大切です。結果にあわせて、いつ頃から妊娠を目指すかなど、ライフプランを考えておきましょう。

当院(ORINAS ART CLINIC)の不妊症検査については、以下のページをご覧ください。

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妊娠後は、定期的な妊婦健診でお母さんと赤ちゃんの健康状態を確認しましょう。出生前検査を検討する場合は、検査でわかることや限界について説明を受け、受けるかどうかを考えることが大切です。

男性の年齢も妊娠・出産に影響する?

男性側の高齢出産に関する明確な定義はありませんが、男性も年齢が上がるにつれて、精子の運動性が低下したり、精子のDNAの損傷が増えたりする傾向があります。

海外の研究の例を挙げると、4,353人の男性を対象にした調査では、年齢が5歳上がるごとに精子の運動率が平均1.2%低下したと報告されています6)。

また、2,678人の男性を対象とした調査では、50歳を超える男性は21〜30歳の男性と比べて、精子DNAの断片化が基準値(30%)以上となる可能性が約4.6倍高かったとされています7)。

これらの研究はそれぞれ特定の集団を対象としているため、結果がすべての男性にそのまま当てはまるわけではありません。しかし、男性の年齢が上がるにつれて、精子の運動率の低下やDNAの断片化など、妊娠に関係する精子の状態に変化がみられる傾向は、他の調査でも報告されています。

また、流産率も男性の年齢とともに高まる傾向があります。10件の研究をまとめた分析では、女性の年齢の影響を調整したうえで、男性が25〜29歳の場合と比べて、40〜44歳では流産のリスクが約1.2倍、45歳以上では約1.4倍に高まっていました8)。さらに妊娠13週未満の妊娠初期に限ると、45歳以上では約1.7倍だったとされています。

男性の年齢による影響は女性の年齢ほど大きくはないものの、妊娠を希望する場合は女性だけでなく、男性も体の状態を確認し、パートナーと一緒に相談することが大切です。

男性の不妊症検査については、以下のページをご覧ください。

院長からのメッセージ

「35歳を過ぎたら高齢出産ですよね」と、不安そうにおっしゃる方がいます。確かに35歳はひとつの目安としてよく使われますが、35歳の誕生日を境に何かが急に変わるわけではありません。流産や赤ちゃんの染色体の変化の割合は、年齢とともに少しずつ、なだらかに上がっていきます。

いま日本では、生まれてくる赤ちゃんの3割近くが、35歳以上のお母さんから生まれています。35歳以上での出産は、もう特別なことではありません。年齢による変化を正しく知ったうえで、妊娠中の健診をきちんと受けていけば、多くの方は無事に出産を迎えています。

一方で、妊娠するまでの時間は、年齢とともに長くかかるようになります。保険で体外受精を受けられるのは、治療開始時に女性が43歳未満の場合に限られることもあり、時間の使い方は大切です。35歳以上で半年、40歳以上なら妊娠を考えた時点で、一度相談にいらしてください。

そして、年齢の影響は女性だけのものではありません。男性も年齢とともに精子の状態が変わり、流産の割合にも関わることがわかっています。妊娠・出産はお二人で迎えるものです。将来を考え始めたら、ぜひお二人で一緒に体の状態を確認してみてください。

参考文献

1)永井康一, 青木茂, 持丸綾, ほか. 初産婦における母体年齢と妊娠予後の検討―高年初産の定義は見直すべきか―. 関東連合産科婦人科学会誌. 2013;50(1):37-42.
https://jsog-k.jp/journal/journal_detail.asp?id=20079

2)厚生労働省.「令和7(2025)年人口動態統計(確定数)の概況」統計表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei25/dl/03_toukeihyoR07.pdf

3)公益社団法人日本産科婦人科学会. 2024年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2024_JSOG-ART.pdf

4)Elmerdahl Frederiksen L, Ølgaard SM, Roos L, et al. Maternal age and the risk of fetal aneuploidy: A nationwide cohort study of more than 500 000 singleton pregnancies in Denmark from 2008 to 2017. Acta Obstet Gynecol Scand. 2024;103(2):351-359.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37986093/

5)厚生労働省.「令和4年4月から、不妊治療が保険適用されています。」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/bef0ee9a-c14d-4203-b02b-051adf80f495/cf3a6623/20230401_policies_boshihoken_funin_01.pdf

6)Beguería R, García D, Obradors A, Poisot F, Vassena R, Vernaeve V. Paternal age and assisted reproductive outcomes in ICSI donor oocytes: is there an effect of older fathers? Hum Reprod. 2014 Oct 10;29(10):2114-22.
https://academic.oup.com/humrep/article/29/10/2114/647570?login=false

7)Pino V, Sanz A, Valdés N, Crosby J, Mackenna A. The effects of aging on semen parameters and sperm DNA fragmentation. JBRA Assist Reprod. 2020 Jan 30;24(1):82-86.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6993171/

8)du Fossé NA, van der Hoorn MP, van Lith JMM, le Cessie S, Lashley EELO. Advanced paternal age is associated with an increased risk of spontaneous miscarriage: a systematic review and meta-analysis. Hum Reprod Update. 2020 Sep 1;26(5):650-669.
https://academic.oup.com/humupd/article/26/5/650/5827629