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最終更新日:
2026-06-29

生理がきそうなのになかなか始まらないと、「早く生理をこさせる方法はないのか」「原因はなんなのか」と感じる方もいるでしょう。

生理が遅れる原因はさまざまで、ストレスや生活習慣の変化、体重の増減、ホルモンバランスの乱れなどが関係していることがあります。また、妊娠や婦人科系の疾患が背景にある場合もあるため注意が必要です。

この記事では、生理がきそうでこない場合に生理をこさせる方法があるのか、生理がこない主な原因や、月経周期を整えるために心がけたいこと、生理を早めたい場合の対処法などについて解説します。

生理がきそうでこない場合に、こさせる方法はあるか

生理がきそうな前兆があるのにこない場合、「何かすれば来るのでは」と思う方もいるかもしれません。

しかし、個人でできて即効性があり、生理を意図的にこさせる方法は基本的にありません。インターネットやSNS上ではツボを押す、お腹を温めるなどの方法が解説されている場合がありますが、明確な根拠があるものではありません。

例外的に医師の診察を受けてホルモン成分が含まれるピル製剤を使用した生理日移動は、医学的にも確立された方法ですが、この方法は計画的に生理日を移動させる目的で実施されます。

生理の前兆があってもこない原因を正しく把握し、体の状態を整えること、または医師に相談することが、結果として生理の安定につながります。

生理がきそうでこない理由

生理がきそうな感覚があるにもかかわらず、実際に始まらない場合には、さまざまな原因が考えられます。

ホルモンバランスの乱れ

月経は、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの変動によってコントロールされています。これらのバランスが崩れると、排卵のタイミングがずれたり、子宮内膜の剥離が起こりにくくなったりして、生理の開始が遅れることがあります。

ホルモンバランスが乱れる主な要因としては、以下が挙げられます。

  • ストレス:精神的・身体的ストレスは、視床下部や脳下垂体の働きに影響を与え、排卵を遅らせたり止めたりすることがあります。
  • 不規則な生活習慣:生活リズムの乱れもホルモン分泌に影響することがあります。
  • 急激な体重変化:ダイエットや過食によって体重が急激に変化すると、ホルモンバランスが崩れやすくなります。体脂肪率が低い状態では、月経不順や無排卵のリスクが高いことも知られています。

妊娠の可能性

生理がこない場合、妊娠している可能性も念頭に置く必要があります。月経前症候群(PMS)の症状(乳房の張り、下腹部の不快感など)が妊娠初期症状と似ていることも多く、妊娠していることに気づきにくいことがあります。

心当たりがある場合は、生理予定日の1週間後を目安に、市販の妊娠検査薬で確認するようにしましょう。陽性が出た場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。

妊娠検査薬の使い方については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

婦人科系の疾患

生理不順の背景に、子宮や卵巣の疾患が関わっている場合があります。代表的なものとして以下があります。

  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):排卵が起こりにくくなる疾患で、月経周期が長くなったり、不規則になったりします。
  • 高プロラクチン血症:プロラクチンというホルモンが過剰に分泌されることで、排卵が抑制され、生理が遅れたり止まったりします。
  • 早発閉経・早発卵巣不全(POI):卵巣の機能が低下してしまう疾患で、排卵しづらくなるため月経不順や無月経になります。

正常な生理をこさせるために心がけたいこと

生理がきそうでこない場合に個人で心がけたいことは、生活習慣を整え月経周期の安定につなげることです。ただし、これらはあくまで体の状態を整えるためのアプローチであり、医療的な治療の代わりになるものではない点に注意して実践するようにしましょう。

適切な体重・食生活で栄養状態を保つ

体重が極端に少ない場合や、栄養が偏っている場合は、月経に影響を与えることがあります。また、先述のとおり、急激なダイエットなども月経周期が乱れる原因とされています。無理なダイエットは避け、栄養のバランスを意識した食事を心がけましょう。

なお、具体的に運動習慣のある無月経・稀発月経の女性に対し、食生活を改善するとどの程度影響があるかを調べた調査があります。この調査では、1日あたり平均330kcal(約18%)程度の食事量の増加で月経が回復する確率が高くなったという結果が報告されています1)。極端な量の食事や体重増加が必要なのではなく、まずは一般的に必要とされるカロリーを目指すのが良いでしょう。

例として、身体活動量がふつうの18〜69歳女性では、2,200kcalが1日のカロリーの目安です2)。どのような食品を摂取するかなどは、厚生労働省の食事バランスガイドなども参考にしてください。

参考URL:厚生労働省 食事バランスガイドについて

規則正しい生活リズムを維持し、ストレスを軽減する

毎日同じ時間に起床・就寝することで、ホルモン分泌のリズムが整いやすくなります。夜更かしや睡眠不足が続いている場合は、まず睡眠を改善することから始めましょう。

また、強いストレスが続いている場合、それを解消・軽減する方法を見つけることが重要です。適度な運動、趣味の時間、信頼できる人との会話なども、ストレス対処の選択肢になります。ただし、過度な運動はかえってホルモンバランスを乱すことがあるため注意しましょう。

生理を早めたい場合や遅らせたい場合にピルを使う方法

旅行や試験などのイベントに月経が重なりそうなとき、女性ホルモンの成分を含む中用量ピルを使って、月経のタイミングを一時的にずらす方法があります。月経を早める場合は「短縮法」、遅らせる場合は「延長法」と呼ばれることもあります。

月経を早めたい場合は、ずらしたい月経の1つ前の月経が始まった頃から中用量ピルを服用し、数日間続けます。服用をやめると2〜3日後に月経が来るため、イベントのスケジュールと重ならないよう早めることができます。月経を遅らせたい場合は、月経予定日の数日前から中用量ピルを飲み始め、避けたい期間が終わるまで服用を続けます。

いずれの方法も、自己判断では行わず、婦人科などを受診して医師に相談の上処方してもらうようにしましょう。中用量ピルの使用にあたっては血栓症などの注意点もあります。また、吐き気などの副作用が出ることもあるため、しっかりと相談した上で薬をもらうようにしましょう。

中用量ピルのプラノバールについては、以下の記事でも詳しくまとめているのであわせてご覧ください。

生理がこない場合に確認しておきたいことと受診の目安

生理がこないとき、まず確認したいのは妊娠の可能性です。性交渉の心当たりがある場合は、先述のとおり生理予定日の1週間後を目安に市販の妊娠検査薬で調べるようにしましょう。

妊娠の可能性が否定される場合は、急激なダイエットや体重減少、強いストレス、過度な運動などがホルモンバランスに影響する可能性を考慮し、体重の大きな変化がなかったか、生活環境が変わったかなどを確認しましょう。もし思い当たる原因がある場合は、自分でできる対処法があれば試してみつつ、自分一人で難しいと感じる場合は身近な人の協力を得たり、行政や職場の相談窓口の利用、状況によっては医療機関の受診も検討しましょう。

受診の目安として、妊娠の可能性がないのに3か月以上生理がこない状態は「無月経」とされ、放置せず産婦人科を受診することが推奨されます。月経が止まった状態が続くと、女性ホルモンの低下により骨や血管の老化につながる可能性、将来の不妊や骨粗しょう症、子宮体がんのリスクにつながることもあるため、自己判断で様子を見続けないことが大切です。

受診の際は、最終月経日や体重変化、これまでの病気などを聞かれる可能性があるため情報を整理しておくと診察がスムーズに進みます。また、血液検査でホルモン値などを測定する場合があるため、採血しやすい服装なども心がけると良いでしょう。

院長からのメッセージ

「生理がきそうなのにこない」という状況は、体がうまく機能していないのではと不安になるものです。その気持ちはよくわかります。

残念ながら、自分でできて即効性がある方法というのはありません。インターネットで紹介されているツボや温め方法は、医学的な根拠が確認されていないものがほとんどです。「効いた」という体験談があっても、それはたまたまタイミングが重なっただけである可能性が高いです。

生理が遅れる原因はさまざまで、ストレス・睡眠不足・急激なダイエット・体重変化・婦人科疾患などが関係していることがあります。原因によって対処が異なるため、「何をすれば来るか」よりも「なぜ来ないのか」を考えることがとても重要です。

妊娠の可能性がある場合は、生理予定日の1週間後に妊娠検査薬で確認してください。それ以外の場合で、3か月以上生理がこないときは放置せず受診してください。女性ホルモンが長期間低下したままでは、骨や将来の妊孕性に影響を与えるほか、生理によって内膜がリセットされない状況が続くと子宮体がんのリスクが増える可能性があります。

「どのくらい様子を見ればいいか」「自分の場合は受診すべきか」と迷ったら、遠慮なく相談してください。

参考文献

1)De Souza MJ, Mallinson RJ, Strock NCA, et al. Randomised controlled trial of the effects of increased energy intake on menstrual recovery in exercising women with menstrual disturbances: the 'REFUEL' study. Hum Reprod. 2021;36(8):2285-2297
https://academic.oup.com/humrep/article/36/8/2285/6308647

2)厚生労働省. 「食事バランスガイド」について. 厚生労働省公式サイト
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html