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最終更新日:
2026-07-18

子宮内膜ポリープが見つかり「望むように妊娠できるのか」「悪性になる可能性はあるのか」と不安になる方は少なくありません。

子宮内膜ポリープがあっても妊娠できるケースもありますが、場所や大きさによっては不妊の原因になることがあります。また、ごくまれに悪性のケースもあるため、診断を受けた場合は医師の案内のもと適切に対応していくことが重要です。

この記事では、子宮内膜ポリープが妊娠を妨げる理由や妊娠を希望する場合の治療、悪性である確率や悪性だった場合の対応などについて解説します。

子宮内膜ポリープは妊娠に影響する?

子宮内膜ポリープは不妊の原因となることがあり、妊娠に影響を与える可能性が知られています。

実際にどのくらい妊娠に影響を及ぼすかは、ポリープの大きさや位置によっても異なる可能性がありますが、子宮内膜症の患者を対象にポリープがある人とない人の妊娠率を比較した研究では、ポリープがある群では35.81%、ポリープがない群では46.56%という結果が報告されています1)

この調査は対象が子宮内膜症の患者に限定されていますが、子宮内膜ポリープの有無で妊娠率への影響がある可能性が考えられる結果となっています。

なぜ子宮内膜ポリープがあると妊娠しにくくなるの?

子宮内膜ポリープがあると妊娠しにくくなる理由は、主に以下3つが考えられています。

  • 物理的に着床が妨げられる
  • 精子や受精卵の移動が妨げられる
  • 子宮内膜に炎症が起こりやすくなる

受精卵が着床する場所にポリープができると、着床が物理的に妨げられてしまいます。また、ポリープが子宮頸管や卵管の入口付近にできた場合は、精子や受精卵が通りにくくなり、移動が妨げられる可能性もあります。

物理的な影響だけでなく、慢性子宮内膜炎との関連も指摘されています。慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜に軽い炎症が続く状態です。自覚症状がないにもかかわらず、受精卵が着床しにくくなる要因のひとつとして知られています。

特にマイクロポリープ(1mm未満の小さなポリープ)がみられるケースでは、慢性子宮内膜炎を伴うことが多いとの報告もあります2)

子宮内膜ポリープがあっても、すべてが不妊につながるわけではありません。妊娠への影響は、大きさや位置、数などによって異なります。また、ポリープが妊娠を妨げている場合でも、適切な治療により妊娠率が上昇することがわかっています。

子宮内膜ポリープがみつかった場合、まずはご自身の状態について詳しく説明を受けたのち、妊娠への影響を踏まえて必要な治療を検討することが大切です。

そもそも子宮内膜ポリープとは?

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の表面にできる良性の腫瘍です。子宮内膜の細胞が異常に増殖したり、過度に厚くなったりすることで発生します。

代表的な症状は、以下のような異常子宮出血です。出血量が多く貧血につながることもあります。

  • 不正出血:月経時期以外に出血が起こる
  • 過多月経:経血の量が非常に多い
  • 過長月経:1回の月経が8日以上続く

ただし、子宮内膜ポリープは無症状のケースもあります。不妊検査で行う超音波検査や子宮卵管造影検査などで、偶然発見されることも珍しくありません。

子宮内膜ポリープと子宮筋腫の違い

子宮内膜ポリープと子宮筋腫はどちらも子宮に発生する良性の腫瘍ですが、病変の由来となる組織や発生する場所、特徴には違いがあります。

子宮内膜ポリープは、子宮内膜の細胞が部分的に増殖して発生します。子宮内腔(子宮の空洞部分)へ向かって突出し、大きさは数mmから数cm程度のものが中心です。

一方、子宮筋腫は子宮の壁を構成する筋肉組織から発生します。5〜6cmを超える大きさに育ったり、複数個発生したりするケースもあります。できる場所によって、引き起こされる症状が異なる点も特徴です。

子宮内膜ポリープ 子宮筋腫
由来となる組織 子宮内膜(子宮の内側の層) 子宮の筋肉(平滑筋)
発生する部位 子宮内膜の表面(子宮内腔へ突出する) 子宮の内側(粘膜下)・外側(漿膜下)・筋層内
主な症状 ・不正出血、過多月経
・無症状のケースも多い
・過多月経、月経痛、圧迫感など
・筋腫の部位によって症状が異なり、無症状のケースも多い
妊娠への影響 特に卵管の入り口付近にあると、不妊の原因になりやすい 特に子宮内腔に近い筋腫(粘膜下筋腫)は、不妊の原因になりやすい

子宮筋腫のなかでも「粘膜下筋腫」は、子宮内膜ポリープと区別がつきにくいとされています。どちらも子宮の内腔に向かって突出し、不正出血など似た症状が現れやすいためです。

子宮内膜ポリープの原因|ストレスとの関係

子宮内膜ポリープが発生する原因は明確にはわかっていませんが、主にエストロゲンによる刺激が関係していると考えられています。

エストロゲンは、子宮内膜を厚くする働きがあるホルモンです。エストロゲンの分泌が過剰になると、内膜が必要以上に増えてしまい、ポリープにつながる可能性があります。

また、子宮内膜の慢性的な炎症も、ポリープの発生に関係していると考えられています。

なお、精神的なストレスが子宮内膜ポリープを引き起こすという医学的根拠はありません。慢性的なストレスは体にさまざまな影響を及ぼすため、間接的に関わる可能性は否定できませんが、直接的な因果関係は示されていないのが現状です。

子宮内膜ポリープとストレスとの関係について、詳しくは以下の記事もご覧ください。

妊娠を希望する場合の子宮内膜ポリープの治療について

子宮内膜ポリープが妊娠を妨げている場合は、主に「子宮鏡下手術」による摘出が推奨されます。子宮鏡下手術とは、腟から子宮内に細いカメラを入れ、子宮内の状態をモニターで確認しながらポリープを切除する手術です。

必ずしもすべてのケースで手術が必要とは限らず、大きさや場所などによっては様子をみることもあります。ポリープが小さい場合は自然に退縮するケースもあるため、治療方針は一人ひとりの状態に応じて提案されます。

子宮内膜ポリープを手術すると妊娠しやすくなる?

子宮内膜ポリープ以外に不妊の原因がない場合、ポリープの切除によって妊娠率が高まることが複数の研究で報告されています。

一例として、子宮鏡下手術でポリープを切除した人は、切除しなかった人よりも妊娠率が約2.1倍高かったという研究結果があります3)

この研究は、人工授精を予定していた方を対象としていましたが、ポリープを切除して妊娠した方のうち65%は、人工授精を受ける前に自然妊娠しました。ポリープの切除が、妊娠を目指すうえで有効な手段となることを示唆する結果です。

手術後はいつから妊活を再開できる?

術後の経過が良好であれば、期間をあけずに妊活を再開できると考えられます。

切除後から不妊治療を始めるまでの期間は妊娠率に影響しないことがわかっており、不妊治療については術後すぐに開始して問題ない場合もあります4)

自然妊娠を目指す場合も同様と考えられますが、術後の回復状況によって判断が異なる可能性もあります。実際に妊活を再開するタイミングは、主治医に直接確認してください。

子宮内膜ポリープと子宮体がん(悪性)の違い

子宮内膜ポリープと子宮体がんはどちらも子宮内膜に由来する病変ですが、良性か悪性かという点が異なります。

子宮内膜ポリープは子宮内膜が盛り上がったもので、多くは良性です。一方、子宮体がんは子宮内膜の細胞そのものががん化した悪性腫瘍で、進行すると周囲の組織やほかの臓器に広がる可能性もあります。

まれにポリープに悪性や前がん病変(がんになる手前の状態)がみつかるケースもありますが、確率としては決して高くありません。

子宮内膜ポリープが悪性である確率は?

37の研究をまとめた文献(21,057人を対象)では、手術で摘出した子宮内膜ポリープを調べたところ、悪性病変と前がん病変がみられた割合は、全体の3.4%であったと報告されています5)

51件の研究をまとめた別の文献でも、ポリープが悪性であった割合は2.73%でした6)。全体として、子宮内膜ポリープに悪性が確認されるケースは多くないことがわかります。

また、この研究では、悪性の割合が閉経前後や症状(不正出血)の有無によって差があることも示されていました。

<子宮内膜ポリープが悪性(がん)であった割合(51件の研究・35,345人を対象6))>

対象者 悪性の割合
全体 2.73%
閉経前 1.12%
閉経後 4.93%
症状(不正出血)あり 5.14%
無症状 1.89%

表のとおり、閉経後の方や不正出血といった症状がみられる方は、悪性の割合が高いという結果が読みとれます。

実際に、子宮体がんは50〜60代にもっとも多い病気です。特に閉経後かつ不正出血がみられる場合に、悪性リスクが高いとされています。妊娠を希望される年代は閉経前であることから、悪性のリスクは全体と比較して低い傾向があります。

子宮内膜ポリープは症状や見た目で悪性か判断できる?

症状や見た目のみで、子宮内膜ポリープが悪性かどうかを見分けることはできません。

子宮体がんも子宮内膜ポリープも不正出血を伴うことがあり、特徴がよく似ているためです。自覚症状に乏しいケースや出血量が少ないケースもあり、症状の有無や程度で区別するのは困難です。

ポリープの大きさや形などの所見は、悪性を疑う判断材料のひとつであり、最初の手がかりとして役立ちます。ただし、超音波検査による画像のみで正確に見分けるのは難しいとされています。

このため、子宮内膜ポリープが見つかった場合は、子宮内膜検査(子宮内膜細胞診や組織診)により悪性の疑いがないかをより詳しく調べます。

子宮内膜ポリープが悪性だった場合の治療について

万が一病理検査で悪性と診断された場合は、子宮体がんとして精密検査と治療を行います。CT検査やMRI検査などでがんの広がりを確認したうえで、治療方針が決定されます。

主な治療法は、手術・薬物療法・放射線治療です。治療の中心は手術であり、手術が難しい場合や再発リスクを下げる目的がある場合に、抗がん剤治療や放射線治療が行われます。

妊娠を希望する場合は「妊孕性温存療法」が選択肢になるケースもあります。妊孕性温存療法とは、妊娠の可能性を残しながら治療することです。子宮体がんでは、黄体ホルモン剤を用いた薬物療法により、子宮や卵巣を残しながら治療を進めます。

すべてのケースで妊孕性温存療法が推奨されるとは限らず、がんの性質や再発リスクなどを考慮することも必要です。万が一悪性だった場合は、病状と妊娠への希望、それぞれを踏まえながら望ましい治療を選択していきます。

子宮内膜ポリープについてよくある質問

子宮内膜ポリープについてよく寄せられる質問に回答します。

子宮内膜ポリープは生理で流れたり自然にとれたりしますか?

基本的に、子宮内膜ポリープは生理の出血と一緒に流れることはありません。

生理は、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜の一部がはがれ落ちる現象です。一方、子宮内膜ポリープは内膜そのものにできる病変であり、生理とは性質が異なります。

ただし、小さいポリープは自然に無くなることもあります。特に閉経前の方では子宮内膜の剥離と再生が規則的に起こるため、ポリープが少しずつ退縮する可能性があるとされています。

子宮内膜ポリープを切除しなくても妊娠できますか?

子宮内膜ポリープを切除しなくても、妊娠すること自体は可能です。ポリープが不妊の直接的な原因と考えにくい場合は、経過観察することもあります。

ただし、ポリープが1cmを超えると自然退縮は難しいとされており4)、大きさや位置によっては着床に影響する可能性もあります。

適切な判断は状態によって異なるため、主治医と相談しながらご自身に必要な治療を検討しましょう。

子宮内膜ポリープが大きいと悪性のリスクが高いですか?

ポリープの大きさと悪性リスクは、必ずしも相関関係があるとは確認されていません。

ポリープが1cmを超える場合に悪性リスクが高まる可能性を示す報告がある一方、大きさと悪性リスクの関連性は低いとする研究結果もあります。

悪性のリスクを評価するうえでは、ポリープのサイズ単独ではなく、閉経の状況や不正出血の有無をふまえることが重要とされています。

また、閉経前の方の場合は、子宮内膜の厚さ(特に月経期以外)も含めて総合的に判断されるため、ポリープの大きさだけで不安になる必要はありません。

院長からのメッセージ

超音波検査で子宮内膜ポリープが見つかると、「これが不妊の原因だったのか」「がんではないか」と不安になる方がほとんどです。その気持ちはよくわかります。

まず妊娠への影響についてお伝えすると、ポリープがあると妊娠の可能性が下がる可能性は高くなります。しかし、ポリープがあっても妊娠できるケースは多くあります。ポリープの位置や大きさによって着床への影響は変わるため、一概に「ポリープがあれば必ず不妊の原因になる」とは言えません。

ただし、子宮の内腔に向かって突出するポリープは着床の邪魔になることが多く、切除することで妊娠率が改善したという研究が複数報告されています。手術の必要性は状態によって異なります。ポリープの手術は外来で日帰りで出来ることもあります。ポリープの大きさや位置、そして病院の方針によっても対応が異なりますので、手術を検討する病院でしっかりと確認をするようにしてください。

がんへの不安については、数字で整理させてください。摘出したポリープが悪性だった割合は全体で3%前後という報告があります。さらに、閉経前の女性では1%程度と、閉経後(約5%)と比べて低い傾向があります。妊活中の方は閉経前であることが多いため、悪性のリスクはさらに低くなります。ただし確率がゼロではないため、摘出後の病理検査が重要です。

子宮内膜ポリープと診断を受けたばかりで頭が混乱しているときは、まず担当医に現状を確認してから次を考えましょう。

参考文献

1)Zhang L, Han Q, Bao MR, Wu Y. Impact of Endometrial Polyps on Pregnancy Outcomes in Patients with Endometriosis and Infertility: A Systematic Review and Meta-analysis. Biomed Environ Sci. 2025 Mar 20;38(3):341-350. doi: 10.3967/bes2024.175. PMID: 40237269.
https://www.besjournal.com/en/article/doi/10.3967/bes2024.175

2)Cicinelli E, Resta L, Nicoletti R, Zappimbulso V, Tartagni M, Saliani N. Endometrial micropolyps at fluid hysteroscopy suggest the existence of chronic endometritis. Hum Reprod. 2005;20(5):1386-1389.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15734762/

3)Pérez-Medina T, Bajo-Arenas J, Salazar F, et al. Endometrial polyps and their implication in the pregnancy rates of patients undergoing intrauterine insemination: a prospective, randomized study. Hum Reprod. 2005;20(6):1632-1635.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15760959/

4)日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023

5)Sasaki LMP, Andrade KRC, Figueiredo ACMG, Wanderley MDS, Pereira MG. Factors associated with malignancy in hysteroscopically resected endometrial polyps: a systematic review and meta-analysis. J Minim Invasive Gynecol. 2018;25(5):777-785.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1553465018301171

6)Uglietti A, Buggio L, Farella M, et al. The risk of malignancy in uterine polyps: a systematic review and meta-analysis. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2019;237:48-56.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31009859/