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最終更新日:
2026-03-26

プラノバールについて調べると、「副作用が強い」などと書かれているサイトがあり不安になる方もいるのではないでしょうか。重大な副作用である血栓症はエストロゲン成分を含むピル全般で見られるもので、初期症状を把握しておくと安心です。

この記事では、プラノバールで報告されている副作用や頻度、副作用が強いと言われる理由などについて薬剤師が解説します。

プラノバールとは

プラノバールは、黄体ホルモン(ノルゲストレル)と卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)を配合した女性ホルモン製剤です。

低用量ピルと同様の成分構成ですが、エストロゲン含有量が一般的な低用量ピルより多い「中用量ピル」に分類されます。避妊を主目的とした低用量ピルとは異なり、婦人科疾患の治療や不妊治療のスケジュール調整を目的として処方されることが多い点が特徴です。

主な効能として、月経困難症・過多月経・子宮内膜症・月経不順のほか、不妊治療における月経調整での使用が承認されています。

プラノバールの副作用

プラノバールには、いくつかの副作用が報告されています。副作用の種類によって頻度や重大性が異なるため、それぞれの特徴を正しく知っておくことが大切です。

確率が高いとされているもの(吐き気や食欲不振、頭痛、眠気など)

プラノバールで比較的頻度が高い副作用として、消化器系や精神神経系の副作用があります。

消化器系の副作用には、吐き気や食欲不振、胃痛などが含まれ、合計すると7.52%という確率が製薬会社から報告されています2)。人によって程度の差はありますが、プラノバールを内服すると気持ち悪くなるという方は少なくありません。

精神神経系の副作用には頭痛や眠気、倦怠感(疲れた感じ)などが含まれ、合計すると1.35%という確率となっています2)

このような副作用は、飲み始めの一時的なものであることも多く、飲み続けて体が慣れてくると症状がおさまることもしばしばです。しかし、症状が強い場合や日常生活への影響が大きい場合は、継続するか否かを医師に相談しましょう。

確率は低いものの注意が必要な血栓症

プラノバールの副作用の中で、注意が必要な重大な副作用として血栓症が知られています。血栓症は血のかたまりが血管に詰まってしまう状態であり、血流が悪くなることで組織や臓器に障害をもたらすおそれがあります。

血栓症の頻度は0.1〜0.2%未満という確率であることが製薬会社から報告されており1)、頻度としては非常にまれな副作用です。しかし、以下のような症状があらわれた場合は、血栓症の初期症状である可能性があるため速やかに医療機関を受診してください。

  • 手足のまひやしびれ
  • しゃべりにくい
  • 胸の痛み
  • 呼吸困難
  • 足の痛みを伴う腫れ

プラノバールで血栓症が起こる理由は、成分として含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)に血がかたまりやすくなる作用があるためです。そのため、血栓症はプラノバール特有の副作用ではなく、低用量ピルなど女性ホルモンを含む薬に共通する副作用です。

その他の副作用

ほかにも頻度が低いものや、頻度不明として報告されている副作用もあります。

例として、消化器系では前述の吐き気や食欲不振、胃痛以外にも、下痢や腹痛、便秘なども副作用として報告があります。

プラノバールのその他の副作用として報告されている副作用の一覧は以下のとおりです1)

0.1〜5%未満 頻度不明
肝臓 肝機能の異常 黄疸等
子宮 不正出血(破綻出血、点状出血) 経血量の変化、帯下の増加等
乳房 乳房緊満感 乳房痛等
過敏症 発疹等
電解質代謝 浮腫、体重増加
循環器 動悸、血圧上昇等
消化器 悪心・嘔吐、食欲不振、胃痛等 下痢、腹痛、便秘、口内炎、口渇等
精神神経系 頭痛、眠気、倦怠感 めまい、神経過敏等
皮膚 ざ瘡等 色素沈着等
その他 熱感、腰痛、肩こり、冷感 コンタクトレンズがうまく調節されない等

プラノバールの副作用が「強い」と言われる理由は?

Web上ではプラノバールの副作用が「強い」と言われることがありますが、これはプラノバールに含まれるエストロゲンの量が関係しています。プラノバールは分類としては中用量ピルにあたり、一般的な低用量ピルよりもエストロゲンの量が多いのが特徴です。その分月経を起こす効果なども強いのですが、副作用についても強く出てしまう傾向があります。

実際に一般的な低用量ピルでは、合成エストロゲンのエチニルエストラジオールが1錠中に0.03mg含まれますが、プラノバールのような中用量では同じくエチニルエストラジオールが0.05mg含まれています。吐き気や頭痛などはエストロゲン依存の副作用であることが知られているため、量が増えることで症状が出やすくなる可能性があります。

ただし、副作用のあらわれ方は人によって異なるため、必ずしも副作用が強く出るわけではありません。服用するときの体の状態によっても症状の出方が変わる可能性があるため、まずはしっかりと服用することが重要です。

血栓症などの重大な副作用の初期症状を理解しつつ、正しく服用すれば過度に心配が必要な薬ではないため、医師から指示された用法用量を守りましょう。

プラノバールが使えない人と副作用が出やすい人

特定の病気にかかっていたり過去にかかっていた場合、現在の体の状態や生活習慣によってもプラノバールを使用できないケース(禁忌)に該当する可能性があります。必ず現在かかっている病気や過去の病歴、体の状態などの情報をしっかり医療機関に伝えることが重要です。

たとえば、血栓性静脈炎や肺塞栓症の病気がある場合、プラノバールの作用で血が固まりやすくなり、症状が悪化する可能性があるため使用できません。

また、禁忌に該当しない場合でも、副作用が出やすくなるなどの理由からプラノバールの使用に注意が必要な場合もあります。

代表的なものとして、40歳以上の年齢では血栓症などの副作用が出やすくなる年代であるため、注意が必要とされています。ほかにも35歳以上で1日15本以上の喫煙量がある場合も血栓症などのリスクが上がる点から、禁煙が望ましいとされています。

プラノバールの副作用の対処法は?

プラノバールの副作用の対処法として、重大な副作用である血栓症については、初期症状が見られたらすぐに相談するようにしましょう。先述のとおり、「手足のまひやしびれ」「しゃべりにくい」などの症状は初期症状の可能性があるため注意が必要となります。

一方で、吐き気や不正出血、頭痛などの比較的よくみられる副作用に対しては、必ずしも有効な対処法があるわけではありません。低用量ピルでも同じような副作用があり、1〜2か月で体が慣れるとも言われていますが、プラノバールの場合は短期間の使用も多いため、その場合は有効な対処法となりません。

このような副作用の場合は軽度であれば様子を見つつ、日常生活への影響が大きい場合は医療機関に継続の有無を含め相談するようにしましょう。

プラノバールの副作用以外の注意点

プラノバールには飲み合わせや生活習慣でも注意が必要な場合があります。それぞれ解説します。

飲み合わせの悪い薬やサプリに注意

プラノバールは絶対に一緒に飲んではいけないという薬はないものの、飲み合わせに注意が必要な薬や成分がいくつかあります。

血糖値を下げる薬や抗うつ剤など継続して使用する薬のほか、臨時で使う抗生物質や市販の風邪薬にも含まれる解熱鎮痛成分(アセトアミノフェン)なども注意が必要とされています。アセトアミノフェンとの併用では、プラノバールの血中濃度が上昇したり、アセトアミノフェンの効果が弱まる可能性があるため、プラノバールを内服中に市販薬を使用する際は必ず薬剤師に相談してください。

薬以外にサプリメントも注意が必要です。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)は、プラノバールの効果を弱めたり、不正出血の可能性が高くなる可能性が報告されています。プラノバールを服用中はセイヨウオトギリソウの成分を含むサプリメントは使用しないようにしましょう。

喫煙などの生活習慣

先述のとおり喫煙の習慣にも注意が必要であり、プラノバールを使用する場合には禁煙が望ましい旨が注意喚起されています。

喫煙は、血栓症などの血管系の副作用の危険性を増大させることが知られており、年齢及び喫煙量(1日15本以上)により危険性が増大することが報告されています。

喫煙の習慣も必ず医療機関に伝え、禁煙の指示があれば必ず従うようにしましょう。

不妊治療でのプラノバールの役割

プラノバールはさまざまな目的で使用される薬であり、月経周期の調整や月経困難症、子宮内膜症の治療などにも効果が認められています。ほかにも「生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整」という効能が承認されており、不妊治療におけるプラノバールの代表的な役割となります。

体外受精では、卵子を体の外に取り出す採卵を行うために、あらかじめ卵巣に薬を使って複数の卵胞を育てる「卵巣刺激」を行う場合があります。卵巣刺激を自然の月経周期に合わせる場合、治療のスケジュール調整が難しいことがあります。

そのため、プラノバールなどのピル製剤を使用して月経周期を一時的にコントロールし、卵巣刺激を開始するタイミングを調整する方法があります。このような前処置により卵胞の発育を一度抑えてからそろえて育てやすくする(卵胞の同期化)効果も期待できます。

プラノバールの服用中は排卵が抑えられ、服用をやめると数日後に消退出血と呼ばれる出血が起こります。これは通常の月経と似た出血で、このタイミングを新たな周期のスタートとして、卵巣刺激を開始し、採卵に向けた治療を進めていきます。

執筆薬剤師のコメント

プラノバールは1979年に販売が開始された薬で、使用実績も多くあります。副作用も含め薬の特性はよく知られており、血栓症に注意して使用すれば過度に心配する必要はありません。

ただし、吐き気や頭痛などの副作用は一定の割合で見られるため、症状の程度をみて影響が大きい場合は医療機関に相談しましょう。たとえば、1日中吐き気が続いて食事が全く取れないといった状態では、我慢せず医療機関へ相談することが勧められます。一方で、日常生活に大きな支障がない程度の軽い症状であれば、様子をみても良いでしょう。

不妊治療で卵巣刺激の開始時期の調整のために使用する場合は、決められた期間に服用することが治療のスケジュール調整につながります。まずは指示された用法用量を守ることを心がけましょう。

院長からのメッセージ

プラノバールを処方するとき、「副作用が心配」「不安で飲みたくない」という声をよく耳にします。本記事では、副作用の種類・頻度・その理由を添付文書に基づいて整理しました。

プラノバールは中用量ピルに分類され、一般的な低用量ピルよりエストロゲン量が多いため、吐き気や頭痛が出やすいと感じる方がいるのは事実です。人によっても強さは異なりますが、軽い気分不快や倦怠感程度の副作用はほとんどの方が感じるのではないかと思います。軽い副作用であれば、飲み続けていると慣れてきてしまうことが多い印象です。

不妊治療においてプラノバールを使用する目的は採卵スケジュールを整えることであり、服用期間は比較的短期間に限られます。そのため、副作用が出たとしても飲むべき期間が限られているため、飲みきれてしまう人がほとんどです。

血栓症については頻度は非常にまれですが、見逃してはいけない症状です。「足の急激な痛みや腫れ」「突然の息切れ」「激しい頭痛」が服用中に現れた場合は、すぐに服用を中止して処方した医療機関に連絡してください。

参考文献

1)プラノバール配合錠 添付文書

2)プラノバール配合錠 インタビューフォーム