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最終更新日:
2026-06-12

腟カンジダになると、強いかゆみやおりものの変化などの症状がみられることがあります。「かゆすぎる」「かゆくて寝られない」と悩む方もいるかもしれません。

腟カンジダは比較的よくみられる感染症であり、適切な治療によって改善が期待できます。一方で、似た症状を示す病気もあるため、正しい知識を持って対処することが重要です。

この記事では、腟カンジダでかゆみが起こる理由やかゆみを和らげる方法、市販薬の種類や使う際の注意点などについて解説します。

腟カンジダとは|妊活への影響の有無など

腟カンジダは比較的よくみられる女性性器感染症のひとつであり、75%の女性が生涯で少なくとも1回は経験するともいわれています1)

腟カンジダを引き起こすのは、通常は消化管や皮膚などにも存在するカンジダ属真菌です。これらの真菌が腟内で過剰に増殖することで発症します。カンジダの発症は、抗菌薬を飲んだときや妊娠や糖尿病などがきっかけとなる場合があるほか、通気性の悪い下着や不適切な洗浄が原因となることもあるため、日常生活でも注意が必要な感染症です。

腟カンジダ自体は不妊の原因にはならないと考えられていますが、性交痛の原因となったり、症状によって性生活や日常生活に影響を及ぼしたりすることがあるため、妊活中にも気をつけたい感染症です。初めてカンジダに感染したことが疑われる場合は、本当にカンジダなのかも含め自己判断せず、医療機関で診察してもらうようにしましょう。

腟カンジダの主な症状|かゆすぎる、かゆくて寝れないのは本当?

腟カンジダの主な症状としては以下のものが挙げられます。

  • かゆみ
  • おりものの増加(カッテージチーズ状や酒かす状のような状態)
  • 灼熱感(ヒリヒリする感じ)
  • 性交痛 など

腟カンジダの症状の割合を調べた研究では、かゆみが91.2%、灼熱感が68.3%、腟周辺の赤みが58.1%、カッテージチーズのようなおりものが55.6%、性交痛が40.5%の患者さんでみられたという報告があります2)

特にかゆみに関しては、上記の研究報告のとおりほとんどの患者さんが経験する症状であり、症状の程度は個人差はあるものの「強いかゆみ」と表現されることもあります。インターネット上でも「かゆすぎる」「かゆくて寝れない」などの表現が使われるケースもみられ、日常生活に影響を及ぼすことがあるため、適切な処置をすることが重要です。

腟カンジダの治療方法|かゆみを和らげる方法は?

腟カンジダの治療は一般的に婦人科や産婦人科を受診し、薬を使って治療します。一般的には、クロトリマゾールやミコナゾールといった抗真菌の成分を含む腟錠を腟内に使用し、原因となる真菌の増殖を抑えます。外陰部のかゆみや発赤などの症状がある場合は、クリームタイプの塗り薬を使うこともあります。

そのほかに心がけたいこととして、以下が挙げられます。

  • 局所の清潔と安静を保つ
  • 刺激性石鹸の使用を避ける
  • 通気性の良い下着の使用
  • 急性期の性交渉を避けること など

また、かゆみを和らげたいからといって自己判断で痒み止めなどを塗るのは避けるようにしましょう。

腟カンジダに対する市販薬については、再発の場合のみ使用することができます。この理由として、かゆみやおりものの症状は腟カンジダ以外の場合でもみられることがあり、本当に腟カンジダなのか判断が難しいからです。

間違った自己診断で薬を使ってしまうと、症状が悪化してしまう可能性があります。腟カンジダが疑われる症状がみられた場合でも、初めての場合は市販薬で対処せずに必ず婦人科や産婦人科を受診してしっかりと診断してもらうことが重要です。

腟カンジダに使える市販薬

腟カンジダに使える市販薬はいくつか種類があります。市販薬として使われる主な成分は以下のとおりです。

成分名・剤型 用法 主な製品名
クロトリマゾール 腟錠 1日1回1錠(できれば就寝前)6日間連続 ・エンペシドL
クロトリマゾール クリーム 1日2~3回 ・エンペシドLクリーム
ミコナゾール 腟錠 1日1回1個就寝前 6日間連続 ・メディトリート
・ミオリエット
・シュトガード腟カンジダ坐剤
ミコナゾール クリーム 1日2~3回 ・メディトリートクリーム
・シュトガード腟カンジダクリーム
イソコナゾール 腟錠 1日1回1錠(できれば就寝前)6日間連続 ・メンソレータムフレディCC膣錠
イソコナゾール クリーム 1日2~3回 ・メンソレータムフレディCCクリーム
イソコナゾール 腟錠(1回タイプ) 1錠を1回のみ(できれば就寝前) ・メンソレータムフレディCC1
オキシコナゾール 腟錠 1日1回1錠(就寝前が望ましい)6日間連続 ・オキナゾールL100
オキシコナゾール 腟錠(1回タイプ) 1錠を1回のみ(就寝前が望ましい) ・オキナゾールL600

いずれも抗真菌薬として使われる同じ系統の成分であり、使い分けの明確な基準などはありません。クリニックや病院で処方された成分で効果があった場合は、同じ成分の薬を選ぶのもよいでしょう。

どの成分がすぐに効くかなど、明確な優劣を示す根拠はありません。症状の程度によっても異なりますが、腟錠を使うとおおむね3日目くらいを目安に症状が改善されてきます。通常は6日連続で使い切りますが、中には1回1錠の使用のみで効果が持続するタイプもあるため、どのタイプかしっかりと理解してから購入するようにしましょう。

また、妊娠の可能性がある場合は市販薬を使用する前に必ず医師に確認してください 

腟に薬を入れた後に白いカスが出るのは問題ない?

薬を入れた後に腟から白いカスやペースト状のようなものが出てきた場合、薬が溶け崩れたものである可能性があります。薬が崩れたものであれば、効果を発揮した後のものであり、腟から出てきても基本的には問題ありません。

ただし、挿入したそのままの形や大きさで腟錠が出てきた場合は、状況によって対応方法が変わる場合があります。自己判断で追加挿入などはせず、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

腟に薬を入れた後にかゆみが強くなるのは問題ない?

腟錠を入れた後に、かゆみがむしろ強くなったと感じる場合は注意が必要です。腟カンジダの薬では、いずれもかゆみを含む副作用が注意喚起されています。

成分名・剤型 可能性のある副作用
クロトリマゾール 腟錠 腟:局所の熱感、刺激感、かゆみ、発赤、痛み
皮膚:発疹
ミコナゾール 腟錠 腟:かゆみ、発赤、痛み、熱感、刺激感
腟以外:じんましん、かゆみ
イソコナゾール 腟錠 腟:疼痛(ずきずきする痛み)、腫脹感(はれた感じ)、
発赤、刺激感、かゆみ、熱感
オキシコナゾール 腟錠 腟:疼痛(ずきずきする痛み)、腫脹感(はれた感じ)、
発赤、刺激感、かゆみ、熱感

腟錠を入れた後の一時的な違和感の可能性もありますが、症状が続いたり強くなってくる場合は使用を中止し、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

院長からのメッセージ

腟カンジダは、妊活中の方からもよく相談を受ける疾患のひとつです。「カンジダになったら妊娠できなくなるのでは」と心配される方もいますが、カンジダ自体が不妊の直接原因になるとは考えられていません。ただ、かゆみや性交痛がつらい状態のまま放置することは、妊活のうえでも望ましくありません。症状があるときはきちんと治療しておくことが大切です。

カンジダは健康な方でも発症することがある、ありふれた感染症です。抗菌薬の使用後や免疫が落ちているとき、ストレスや睡眠不足が続くときにも起こりやすくなります。「不潔にしているからなる」というわけではないので、必要以上に自分を責めないでください。

気をつけてほしいのは、「前もカンジダだったから今回も同じ」と自己判断して市販薬を使うことです。似た症状でも、細菌性腟炎やトリコモナスなど別の感染症であることもあります。初めての症状の場合はもちろん、繰り返す場合も一度受診して診断を確認することをお勧めします。また、妊活中・妊娠の可能性がある時期に市販薬を使う場合は、事前に医師に確認してください。

参考文献

1)日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2026
https://www.jsog.or.jp/medical/11717/

2)Yano J, Sobel JD, Nyirjesy P, Sobel R, Williams VL, Yu Q, Noverr MC, Fidel PL Jr. Current patient perspectives of vulvovaginal candidiasis: incidence, symptoms, management and post-treatment outcomes. BMC Womens Health. 2019 Mar 29;19(1):48.
https://link.springer.com/article/10.1186/s12905-019-0748-8