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最終更新日:
2026-05-27

卵管造影検査を控えている方のなかには「どのくらい痛いのだろう」「耐えられるのか」など、痛みに対して不安をもつ方もいるのではないでしょうか。インターネットでは「痛すぎる」という体験談もあり、恐怖心は大きくなりやすいものです。

痛みの程度を予測することは難しいものの、あらかじめ医療機関に相談し、強い痛みにつながらないよう備えることは可能です。

本記事では、卵管造影検査で起こりうる痛みの特徴や、痛みを軽減するためのコツなどについて解説します。

卵管造影検査が痛すぎるというのは本当?

卵管造影検査には痛みを伴うというのは事実ではあるのですが、その痛みの強さは卵管の状態や医療機関の処置の内容によっても異なり、人によって感じ方は大きく異なります。一方で誰もが「痛すぎる」と感じるような検査ではありません。

痛みの程度を調べた一部の研究結果では、卵管造影検査で生理痛より強い痛みを感じた方は全体の38.8%であったと報告されています1)。約6割の方は生理痛と同等かそれ以下で済んだという結果でもあります。

この研究は対象者が121名で規模は大きくなく、海外の調査でもあるため「38.8%」という割合は参考程度に捉えておく必要があります。しかし、誰もが卵管造影検査で「痛すぎる」と感じるわけではないことがわかるかと思います。

検査は15〜30分程度であり、そのうち痛みのピークは造影剤を注入する数分間です。医療機関ではこの数分間の痛みをできるだけ減らせるよう、検査の仕方や用いる器具を工夫しています。

「痛み」というネガティブな言葉に意識が向きやすいですが、卵管造影検査は子宮の形や卵管の通り具合、お腹の中の癒着の度合いを調べられるだけでなく、造影剤を通すことにより卵管の通りがよくなり、自然妊娠の確率が高まるという治療的な側面もあることが知られています。(特に油性造影剤では妊娠率改善の報告があります。)

検査そのものが妊娠に向けた取り組みになるため、疑問を解消し、少しでも不安を和らげ当日を迎えましょう。

卵管造影検査はどんな痛み?検査の内容と痛みが出る理由

卵管造影検査の痛みは、「生理痛のような痛み」と表現されることが多いです。また、痛みが軽くなったあとは「下腹部の不快感」というような表現も使われます。

検査の工程の中では、造影剤を注入している最中から注入直後の数分間が痛みのピークとして感じやすく、30分程度でほとんどの人は痛みが落ち着くとされています。

卵管造影検査の内容

卵管造影検査(HSG:Hysterosalpingography)は、造影剤を腟から注入し、子宮や卵管をX線で撮影することで、子宮の形態や卵管の通過性に問題がないかを調べる検査です。形態異常や卵管閉塞のほか、子宮周囲の癒着の有無なども確認します。

使用する器具や造影剤の注入方法は医療機関によっても異なりますが、柔らかいシリコン製のバルーンカテーテルを用いたり、モニターを見ながら造影剤の注入タイミングをコントロールすることで以前よりも痛みに配慮した検査を実施することができるようになっています。

卵管造影検査で痛みが出る理由

卵管造影検査は器具の挿入時なども違和感を感じることがありますが、とくに痛みを感じやすいのは造影剤を注入するステップです。

痛みが出る理由は、子宮内や卵管に圧がかかるためです。そのため、造影剤を注入する速度が速かったり、無理やり通そうとすると痛みが感じやすくなります。また、卵管が閉塞していたり狭くなっていたりする場合も圧がかかりやすくなり、痛みにつながります。

子宮に圧がかかり拡張されると、プロスタグランジンという物質が放出され、子宮のけいれんや痛みを引き起こします。

このような痛みの原因に対して、医療機関側で低圧・低速で造影剤を注入することで痛みに配慮してくれるケースがあります。また、痛みの原因となるプロスタグランジンが作られることを阻害する鎮痛薬を使用する場合もあります。

ORINAS ART CLINIC での痛みに配慮した検査へのこだわりや、子宮卵管造影検査についての詳細は以下のページをご覧ください。

卵管造影検査で痛み止めは使う?

痛みに敏感な場合や不安がある場合は、検査前に痛み止めを使用するように案内する医療機関もあります。検査の前にNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる分類の鎮痛剤を使用することで、検査中の痛みの緩和が期待できます。

実際に卵管造影検査の前にNSAIDsの飲み薬を服用して痛みの程度を調べた調査が実施されており、薬を使わなかった場合よりも痛みの程度が低かったという報告もあります2)

ただし、市販薬や手持ちの痛み止めを自己判断で使用するのは控えましょう。NSAIDsにはいくつかの種類があり、成分によって痛みを抑える強さが異なります。

痛みを効果的に抑えるためには、医師から適切な指示を受けることが大切です。事前に痛み止めを希望することを医師に伝え、対処法を確認してください。

卵管造影検査で痛くないようにするコツはある?

まずは、痛みが心配であることを医療機関に伝えましょう。恐怖心や緊張感は、検査中の痛みを強める可能性もあることがわかっており3)、不安を減らすことが痛み対策につながる可能性もあります。

検査への理解を深め、疑問点があれば確認しておくのがよいでしょう。「痛みを感じたときはどのように伝えればよいか」など、具体的なところまで把握しておくと不安の解消になります。

ほかにも不安な点があればあらかじめ共有しておくことで、痛み止めの処方や検査の進め方、検査中の声かけなどがスムーズになり、より安心できる環境にもつながります。

指示されたタイミングで痛み止めを使用する

痛み止めの使用を案内された場合は、医師に指示された時間に使用してください。薬は種類によって効きはじめる時間が異なります。

服用が早すぎたり遅すぎたりすると、薬の効果が出る時間と痛みを抑えたいタイミングが合わなくなる可能性があります。

飲み薬のほか、座薬が処方されることもあります。「検査の30分前」「1時間前」など指示された時間を確認し、当日はアラームを設定するなど工夫しておくと安心です。

検査中に痛みが強いときは我慢せず伝える

検査中に痛みが出たときは、すぐに医師に伝えてください。

医師は造影剤の流れる様子を確認しながら、慎重に注入します。ただし、卵管の通りやすさや痛みの感じ方には個人差があるため、配慮していても痛みが生じることがあります。

痛みの具合を伝えると、注入の速度を緩めるといった細かな調整をしてもらえるケースもあります。痛くて声を出しにくいときは、手を挙げるなど事前に確認した方法で合図しましょう。ただし、痛いからといって急に体を動かしてしまうと、カテーテルが引っ張られてしまう可能性があるため、体は動かさずに伝えるのが安全です。

リラックスを心がける

緊張すると体は痛みに対して敏感になりやすいため、できるだけ力を抜きリラックスを心がけましょう。検査前は、好きな音楽を聴いたり温かい飲み物を飲んだりとご自身が落ち着く方法を取り入れて過ごしてください。

検査の詳細がわからないことで緊張や不安につながる場合は、その旨を伝えて検査の詳細を事前に教えてもらうのも良いでしょう。事前に検査内容を知るだけで不安が和らいでリラックスでき、痛みの低下につながることも過去の研究報告で確認されています。

検査中は思うように力が抜けないかもしれませんが、深呼吸をするなどできる範囲で意識しましょう。直接痛みを抑える方法ではありませんが、吐く息を長くしてゆっくりと呼吸すると緊張が和らぎやすくなります。

卵管造影検査後の痛みはいつまで続く?

ほとんどの場合、痛みは当日や翌日には落ち着きます。強い痛み自体は、造影剤注入後5〜10分程度であり、検査が終わる頃には軽減する傾向があります4)。一般的には30分程度で「痛み」から「不快と感じる程度」に和らぐケースが多いとされています。

検査後、痛みが続くときは院内で休息するよう案内されることもあります。回復するまでゆっくりと休みましょう。痛みに対する心配が大きい場合は、家族やパートナーに送迎を頼んでおくなどの準備もよいでしょう。

検査後は普段どおり過ごせますが、以下のような体調変化がある場合は念のため注意するようにしましょう。

  • 痛みが悪化していく
  • 2〜3日経っても痛みが引かない
  • 発熱などの症状を伴う

これらに該当する場合は感染症を起こしている可能性もあるため、医師に連絡し適切に対処してください。

院長からのメッセージ

卵管造影検査を前にして「痛くて耐えられないのでは」と怖くなっている方が多いです。その不安はよくわかります。ただ、インターネットの体験談には少し注意が必要です。痛くなかった人はわざわざ書き込まない一方で、辛かった人は記録として残したくなる——そのため「痛すぎた」という声が目立ちやすく、実際より怖く感じやすい側面があります。 

臨床の印象としても、「心配していたよりは痛くなかった」と言われることがほとんどであり、誰もが「痛すぎる」と感じるような検査ではありません。生理痛と同等かそれ以下で済む方の方が多く、痛みのピークも造影剤を注入する数分間です。痛みが心配な方には事前に鎮痛剤を処方することができますので、遠慮なく申し出てください。

緊張や恐怖心そのものも、痛みを強めてしまう可能性があります。検査に臨む前に内容をよく知り、疑問を解消しておくことが、当日の痛みを和らげることにもつながります。検査中に痛みが強い場合はすぐに伝えてください。注入速度の調整など、できる限りの対応をします。

この検査は、不妊の原因を調べるための大切なステップです。卵管の状態が確認できれば、次の治療方針が明確になります。怖いと感じる気持ちを持ちながらでも検査に臨んでくださっていること、それ自体を大切にしたいと思っています。不安なことは何でも話してください。

参考文献

1)Socolov D, Boian I, Boiculese L, et al. Comparison of the pain experienced by infertile women undergoing hysterosalpingo contrast sonography or radiographic hysterosalpingography. Int J Gynaecol Obstet. 2010;111(3):256-259.

2)Hassa H, Oge T, Aydin Y, Burkankulu D. Comparison of nonsteroidal anti-inflammatory drugs and misoprostol for pain relief during and after hysterosalpingography: prospective, randomized, controlled trial. J Minim Invasive Gynecol. 2014 Sep-Oct;21(5):762-6.

3)Tokmak A, Kokanali MK, Güzel Aİ, et al. The effect of preprocedure anxiety levels on postprocedure pain scores in women undergoing hysterosalpingography. J Chin Med Assoc. 2015;78(8):481-485.

4)Hindocha A, Beere L, O'Flynn H, et al. Pain relief in hysterosalpingography. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015(9):CD006106.

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