子宮卵管造影検査(HSG)

「痛そう」な検査を、「妊娠への近道」に変える技術。

「卵管造影検査は痛いと聞いて怖い」「気絶するほど痛いって本当?」

インターネット上の体験談を見て、受診をためらわれている方は非常に多いです。

確かに、卵管が詰まっている状態で無理に造影剤を流し込めば痛みが生じます。

しかし、子宮卵管造影検査(HSG)は、精子と卵子が出会うための「卵管」が通っているか、着床するための「子宮」に奇形や癒着がないかを調べる、自然妊娠を目指す上で絶対に欠かせない検査です。

ORINAS ART CLINICでは、最新の知見と技術を用い、「痛みを感じさせないための具体的な工夫」を徹底しています。

この検査を受けることで、その後約半年間は妊娠率が飛躍的に高まる「ゴールデン期間」も期待できます。

そもそも、なぜ「痛い」のか?

一般的に、卵管造影検査で痛みを感じる主な原因は以下の3つです。

  1. 造影剤を注入する「速度」が速すぎる:急激に子宮内圧が上がると痛みが生じます。
  2. 造影剤を注入する「圧力」が強すぎる:無理やり通そうとすると激痛が走ります。
  3. 卵管が「閉塞」または「狭窄」している:詰まっている場所に圧がかかるためです。

つまり、「ゆっくり、圧力をコントロールしながら、無理せず行う」ことができれば、痛みは最小限に抑えられるのです。

当院の「痛くない」検査へのこだわり

当院では、医師と放射線技師が連携し、以下の対策を行っています。

1. 痛みの少ない「バルーンカテーテル」の使用

金属製の硬い器具ではなく、柔らかいシリコン製のバルーンカテーテルを使用します。子宮の入り口を傷つけることなく、優しく固定するため、挿入時の違和感もほとんどありません。

2. モニターを見ながらの「低圧・低速注入」

レントゲンの透視モニターで、造影剤が広がっていく様子をリアルタイムに確認しながら、非常にゆっくりと注入します。

「ここが少し狭いので、ゆっくり通しますね」など、患者様の反応を見ながら圧力を微調整するため、いきなり激痛が走ることはありません。

3. 鎮痛剤の事前の活用

痛みに敏感な方や、強い不安がある方には、検査前に鎮痛剤(座薬や内服薬)を使用していただくことも可能です。遠慮なくご相談ください。

検査の大きなメリット:「ゴールデン期間」のエビデンス

この検査には、診断だけでなく「治療的効果」があることが医学的に証明されており、検査後約半年間は「ゴールデン期間」と呼ばれ、自然妊娠の確率が大きく上昇します。

世界的な論文で証明された「油性造影剤」の効果

2017年、世界最高峰の医学誌『New England Journal of Medicine』に掲載された大規模な臨床研究(H2Oil試験※)により、「油性造影剤」を用いたHSGを受けたグループは、水溶性造影剤のグループに比べて、その後の妊娠率・出産率が有意に高いことが証明されました。

  • 継続妊娠率:油性グループ 39.7% vs 水溶性グループ 29.1%
  • 結論:油性造影剤を使用することで、自然妊娠および人工授精による妊娠の可能性が高まることが示唆されました。

※出典:Dreyer K et al. "Oil-Based or Water-Based Contrast for Hysterosalpingography in Infertile Women". N Engl J Med. 2017.

なぜ妊娠しやすくなるのか?(フラッシング効果)

造影剤が卵管内を通過することで、軽度の癒着や粘液の栓(つまり)が押し流され、卵管の通りが良くなる「フラッシング効果」があると考えられています。また、油性の成分が腹膜のマクロファージ(精子を攻撃する免疫細胞)の活動を抑制し、受精を助けるという説もあります。

検査でわかること・見つかる原因

不妊原因の約30%は、この検査で発見される「卵管因子」や「子宮因子」です。

わかること 異常があった場合(例)
卵管の通過性 卵管閉塞・狭窄:卵管が詰まっている、または狭くなっている。
卵管水腫:卵管の先に水が溜まり、着床を阻害する。
子宮の形状 子宮奇形:双角子宮や中隔子宮など、流産の原因になりうる形。
子宮内癒着:過去の手術や炎症で子宮内がくっついている。
癒着の有無 造影剤のお腹の中への広がり方(拡散)を見て、卵管周囲の癒着(ピックアップ障害のリスク)を推測します。

造影剤を使えない方へ:代替検査(子宮鏡下卵管通水検査)

ヨードアレルギーの方や、甲状腺疾患(バセドウ病等)をお持ちの方は、通常の造影検査(HSG)が受けられない場合があります。

当院では、X線やヨード造影剤を使わない「子宮鏡下卵管通水検査」を代替検査として実施可能です。

  • 方法:子宮鏡(胃カメラのような細いカメラ)で子宮内を観察しながら、卵管の入り口(卵管口)に向けて検査液を通します。気泡や液体の流れを見て、卵管が通っているかを確認します。
  • メリット:
    • 被曝なし・ヨードなし:X線もヨードも使わないため、アレルギーや甲状腺への影響がありません。
    • 子宮内の同時チェック:子宮内膜ポリープや慢性子宮内膜炎の有無も同時に検査できます。
  • 注意点:
    • 卵管の「詰まっている場所」の特定や、卵管周囲の癒着までは詳しく分かりません。
    • HSGの油性造影剤による「ゴールデン期間」ほどの高い治療効果は期待できない可能性があります。
    ※どちらの検査が適しているか、医師が診察の上で判断いたします。

検査の流れ

この検査は、月経終了直後〜排卵前(月経開始から7〜10日目頃)の限られた期間に行う必要があります。

Step 項目 内容
Step 1 ご予約 月経が始まったらすぐ(D1〜D3頃)にご予約ください。
※正確な検査のため、月経開始から検査終了までは避妊をお願いしています。
Step 2 検査当日 X線室にて行います。消毒後、カテーテルを挿入し、造影剤を注入しながら数枚レントゲン撮影を行います。
実際の撮影時間は数分ですが、準備含め所要時間は15〜30分程度です。
Step 3 結果説明 撮影した画像をモニターでお見せしながら、卵管の通り具合や子宮の形について詳しくご説明します。

費用について

不妊原因の精査として行う場合、保険適用となります。

  • 検査費用:「料金ページ」をご確認ください。
  • 3割負担の目安:約5,000円〜8,000円前後(使用する薬剤等により変動します)

よくあるご質問(FAQ)

Q. 検査後、痛みや出血はありますか?

A. 検査直後は生理痛のような重い感じが残ることがありますが、通常は数時間で治まります。少量の出血が1〜2日あることがありますが、心配ありません。抗生物質(感染予防)を処方しますので、指示通り服用してください。

Q. 甲状腺の病気があるのですが、検査を受けられますか?

A. 造影検査で使用する造影剤には「ヨード」が含まれており、これが甲状腺機能に影響を与える可能性があります。特にバセドウ病や橋本病などで治療中の方は、一時的に甲状腺ホルモン値が変動するリスクがあるため、必ず事前に主治医(内科・甲状腺科)にご相談ください。 状況に応じて、ヨードを使わない「子宮鏡下卵管通水検査」をご案内します。

Q. 造影剤のアレルギーが心配です。

A. 過去に造影剤で気分が悪くなったことがある方や、喘息をお持ちの方は事前にお申し出ください。代替検査(子宮鏡下卵管通水検査)を検討します。

上條 慎太郎
ORINAS ART CLINIC 理事長・院長

「痛そうだから」と後回しにするには、もったいない検査です。

不妊検査の中で、患者様が最も不安に思われているのがこの卵管造影検査です。ネットの情報を見ても「痛い」という感想がよく見られます。

そのような感想が多く見られてしまう理由の一つは、痛かった時に投稿する方は多くても、思ったよりも痛くなかった時にそれを投稿する方は比較的少ないので、痛いという報告の方が多く蓄積されてしまうという要因があります。

ただ、もし卵管が詰まっていたら、どれだけタイミング法や人工授精を頑張っても、自然妊娠することはできません。半年、1年と時間を費やした後に「実は詰まっていた」と分かるのは、あまりにも辛いことです。

逆に言えば、この検査をクリアすれば「ゴールデン期間」というボーナスタイムが待っています。これは医学的なデータでも証明されている確かな希望です。

「痛くない」とは言い切れませんが、「思ったより全然大丈夫だった」と言っていただけるよう、私たちは技術の限りを尽くします。

ORINAS ART CLINIC 理事長・院長

上條 慎太郎