体外受精で妊娠が判明したら、出産予定日がいつになるのかが気になりますよね。体外受精では、受精日をもとに出産予定日が決まるため、最終月経や排卵日から計算する自然妊娠とは計算方法が異なります。
この記事では、体外受精における出産予定日の決め方と自然妊娠との違い、予定日が決まった後の流れについて解説します。
そもそも出産予定日とは
出産予定日とは、妊娠40週0日(280日)にあたる日のことです。赤ちゃんがその日に生まれると決まっているわけではなく、あくまでも妊娠経過や赤ちゃんの発育を管理するための基準となる日付です。
妊娠37週0日から41週6日までが「正期産」とされており、この期間に生まれることが多いですが、予定日の前後2〜3週間の幅があるのが一般的です。出産予定日は「この日に生まれる」という予約日ではなく、「この日を中心にした時期に生まれる」という目安として捉えておくとよいでしょう。
自然妊娠での出産予定日の決め方
自然妊娠では、最終月経開始日を妊娠0週0日として、そこから280日後(40週0日)を出産予定日と定めます。この計算は前提として、月経周期が28日で、最終月経から14日目に排卵・受精が起こるという女性を想定しています1)3)。
実際には排卵日には個人差があり、特に月経周期が不規則な場合はズレが生じます。そのため、自然妊娠では超音波検査で胎児の大きさ(頭殿長)を計測し、最終月経からの計算と組み合わせることで予定日が決まります。
つまり自然妊娠では、「排卵日(=受精日)はあくまで推定」であるため、予定日もある程度の幅を持った目安です。
体外受精の出産予定日はどう決まる?
自然妊娠が最終月経日や排卵日をもとに計算するのに対して、体外受精では受精日をもとに出産予定日を計算します。産科では28日周期を基準としており、最終月経開始日を妊娠0週0日、そして受精日は妊娠2週0日と計算します1)。この受精日に266日を加えた日が出産予定日です2)。
体外受精では受精日が明確にわかるため、胚移植日の情報をもとにこの計算を行います。ただし、移植するのは受精から数日後の状態の受精卵であるため、移植日から受精日をさかのぼって計算する必要があります。
初期胚移植と胚盤胞移植における出産予定日の計算方法
移植日から計算をする場合には、移植する受精卵を何日間育てたかによって、受精日をさかのぼる日数が変わります。クリニックから受け取る書類に「2日目胚」「5日目胚盤胞」などと記載されているため、以下の表を参考に確認してください。
一度凍結した受精卵を別の周期に移植する場合(凍結融解胚移植)も、計算の考え方は同じです。移植した胚の種類をもとに確認してください。
体外受精の移植後に出産予定日が早まる・遅れることはある?
出産予定日は、妊娠の経過や赤ちゃんの状態を確認するうえで大切な基準となる日です。妊娠初期(妊娠13週6日まで)に決定するように定められており1)、その後に変更されることは原則としてありません。
つまり、体外受精の胚移植日をもとに決まった出産予定日は、妊娠中期以降の超音波検査の結果によって修正されることはありません。
妊娠週数と赤ちゃんの大きさに差がみられる場合は、予定日の修正ではなく、赤ちゃんの発育状態の確認として担当医に相談してください。
体外受精で出産予定日が決まった後の流れ
出産予定日が決まったら、妊娠中の健康管理や出産に向けた準備を少しずつはじめていきましょう。
分娩先の検討と分娩予約
体外受精を行ったクリニックでは、妊婦健診や分娩に対応していないことがあります。不妊治療クリニックから産科への紹介や案内があるタイミングで、分娩先の検討をはじめましょう。
なお、産婦人科クリニックのなかには妊婦健診のみ対応で分娩は行っていない施設もあるため、受診前に確認しておきましょう。
年齢や基礎疾患の状況によっては、妊娠の経過や分娩方法に影響が出る場合があります。担当医と相談しながら、自分の状況に合った分娩先を選ぶようにしましょう。
分娩先が決まったら、早めに受診して予約をしましょう。一般的に妊娠8〜12週ごろを目安に検討をはじめる方が多く、施設によっては予約が埋まりやすいこともあります。
母子健康手帳の交付手続き
妊娠が確定したら、住んでいる市区町村に妊娠の届出を行い、母子健康手帳の交付を受けましょう。体外受精の場合、クリニックから手続きの案内があることが多いため、案内に従って進めてください。
手続きは保健センターや役所の窓口で行います。原則として本人が来所する必要がありますが、必要書類や予約の有無は自治体によって異なるため、事前に各自治体のウェブサイトで確認しておきましょう。
母子健康手帳は、妊娠中から子どもが成長するまでの健康情報をまとめて記録できる手帳です。交付時には妊婦健康診査の受診券(補助券)も一緒に配布されます。
体外受精と出産予定日に関するよくある質問
出産予定日についてよく寄せられる質問をまとめました。
体外受精の場合、出産予定日ぴったりに生まれますか?
体外受精では受精日が明確にわかるため、自然妊娠と比べて出産予定日をより正確に算出できます。ただし、出産予定日はあくまでも妊娠経過や赤ちゃんの発育を管理するための基準となる日付であり、その日に生まれるという日付ではありません。
妊娠37週0日から41週6日までが「正期産」とされており4)、多くの場合はこの期間に生まれます。日本産科婦人科学会の周産期登録データベース(2022年)によると、全体の出産214,637件のうち、妊娠40週の1週間に生まれたのは39,386件(約18%)でした5)。出産予定日はひとつの基準として捉えておきましょう。
周囲や職場への妊娠報告のタイミングは?
妊娠がわかったら、早めに職場へ伝えておくと安心です。産前・産後休業や育児休業の調整に加え、妊婦健診のための時間確保の申請もしやすくなります。
つわりや切迫流産などの症状がある場合は、医師から通勤緩和や勤務時間の短縮が必要と判断されることがあります。その際は、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード」(職場に状況を伝えるための書類)を記載してもらい、事業所に提出しましょう。
家族や親しい人への報告のタイミングは、パートナーと相談しながら決めていくとよいでしょう。
院長からのメッセージ
体外受精で妊娠判定が陽性になったとき、出産予定日がいつなのかをすぐに知りたいと思うのは自然なことです。ただ、出産予定日の計算方法は少し複雑で、自然妊娠と体外受精では考え方が異なります。
自然妊娠では、最終月経の開始日を妊娠0週0日として、そこから280日後が出産予定日となります。ただしこれは月経周期が28日で、14日目に排卵・受精が起こるという前提に基づいた計算です。実際には排卵日には個人差があるため、超音波検査の結果も組み合わせながら予定日を決定します。
体外受精では、受精日が明確にわかるため、移植した胚の種類(何日目の胚か)をもとに計算します。「移植日+261日」や「移植日+264日」といった形で算出しますが、これも慣れないと分かりにくいかもしれません。
どちらの場合も、出産予定日はその日に生まれると決まっているわけではなく、妊娠経過を管理するための基準となる日付です。計算方法が分かりにくいと感じたり、自分の予定日に疑問が生じた場合は、遠慮なく担当医に確認してください。
参考文献
1)公益社団法人 日本産科婦人科学会/公益社団法人 日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン―産科編 2023. CQ009 分娩予定日決定法については?(43-45頁).
2)村越 毅. 分娩予定日決定のポイントと実際の臨床現場においての注意点. 日本産科婦人科学会雑誌. 2012;64(9):N-146.
4)公益社団法人 日本産科婦人科学会. 早産・切迫早産. 日本産科婦人科学会ウェブサイト.
5)日本産科婦人科学会 周産期委員会. 周産期委員会報告(2022年周産期登録データベース). 日本産科婦人科学会雑誌. 2024;76(6).



