治療のステップアップ

「同じ治療」を繰り返すことのリスクと、次の一歩。

不妊治療を続けていると、誰もが一度はぶつかる壁があります。

「このままタイミング法を続けていていいの?」

「人工授精であと何回頑張ればいいんだろう」

治療のステップアップ(方法の変更)は、勇気がいる決断です。

しかし、医学的なデータに基づけば、効果が薄れてきた治療を漫然と繰り返すことは、妊娠への遠回りになるだけでなく、最も大切な「時間(卵子の若さ)」を失ってしまうリスクでもあります。

ORINAS ART CLINICでは、あなたの年齢や検査データ、そしてこれまでの頑張りを総合的に判断し、「今、最も妊娠に近い方法は何か」をご提案します。

なぜ、ステップアップが必要なのか?

各治療法には、妊娠率の「プラトー(頭打ち)」があるからです。

累積妊娠率の「プラトー(頭打ち)」現象

  • タイミング療法:妊娠される方の多くは、開始から3〜6回以内に結果が出ています。
  • 人工授精:妊娠される方の多くは、4〜6回以内に結果が出ています。

これ以上の回数を重ねても、妊娠率のカーブは横ばいとなり、新たに妊娠する人が現れないプラトー(頭打ち)状態になり、1回あたりの期待値はどんどん低くなってしまいます。

これは、「不妊検査ではあらわれないが、その治療法では解決できない原因(受精障害やピックアップ障害など)」が隠れている可能性が高いことを示唆しています。これを解決するためには、方法自体をガラッと変える必要があるのです。

各ステージにおけるステップアップの目安

当院では、以下の回数・期間を目安に、次の治療への移行をご相談させていただいています。

※あくまで目安であり、年齢やAMH、ご希望に応じて柔軟に対応します。

現在の治療 次のステップ 目安(回数)
タイミング療法 人工授精 35歳未満:6回程度
35歳以上:3〜4回程度
人工授精 体外受精 35歳未満:5〜6回程度
35歳以上:2〜3回程度
40歳以上:早期のステップアップ推奨

「体外受精」へのステップアップを迷っている方へ

体外受精は、卵子と精子を直接出会わせることで、これまでの治療で見えなかった「受精の壁」を確実に乗り越える方法です。

ハードルが高く感じるかもしれませんが、一度の採卵で複数の受精卵が得られれば、毎月排卵を待つよりも効率的に、短期間で妊娠を目指すことができます。

【よくある不安と回答】

  • 「費用が心配」 → 2022年から保険適用となり、高額療養費制度も利用可能です。
  • 「仕事と両立できるか」 → 当院では夜間診療や土日診療、自己注射の活用などで通院回数を減らす工夫をしています。
  • 「痛みが怖い」 → 適切な麻酔を使用し、苦痛の少ない治療を行います。

ステップダウンという選択

逆に、高度生殖医療を行ってきたけれど、身体的・精神的にお休みしたい場合や、二人目妊活などで、あえてタイミング法や人工授精に戻る(ステップダウン)ことも可能です。

治療の主役は患者様ご自身です。ご希望を最優先にプランを組み直します。

上條 慎太郎
ORINAS ART CLINIC 理事長・院長

「方法を変えること」は、ゴールへの近道を探すことです。

ステップアップを提案された時、「今の治療ではダメだったんだ」と落ち込んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、決して今の頑張りが無駄だったわけではありません。「この方法ではなかった」と分かったこと自体が、原因究明への大きな一歩なのです。

不妊治療において、私たちは「時間の管理人」でもあります。年齢の影響は、残念ながら避けることができません。

もし、あと半年早く体外受精に進んでいれば...という後悔を、あなたにさせてはいけない。私たちはその一心で、時には早めのステップアップを提案させていただくことがあります。

しかし、それは焦らせるためではありません。あなたの「赤ちゃんを抱きたい」という願いを、最短ルートで叶えるためです。

迷いや不安があれば、いつでも相談してください。納得できるタイミングで、一緒に次の一歩を踏み出しましょう。

ORINAS ART CLINIC 理事長・院長

上條 慎太郎