アフターピルの主な副作用と発生確率は?服用タイミングや注意点、将来の妊娠への影響について解説
アフターピルの服用後は、性器出血や頭痛、吐き気、倦怠感などの副作用があらわれる場合があります。ただし、これらの症状は一時的なものが多く、時間の経過とともに軽くなるケースがほとんどです。
この記事では、アフターピルの主な副作用とその発生確率を中心に、服用後の注意点や将来の妊娠への影響について、医学的な情報をもとに解説します。
アフターピルとは
アフターピル(緊急避妊薬)は、避妊をしなかった、または避妊が不十分だった性交のあとに、妊娠の可能性を下げるために使われる薬です。主に排卵を遅らせたり抑えたりすることで、妊娠を防ぐとされています。
緊急避妊薬は、性交後できるだけ早く服用するほど妊娠の可能性を下げます。一般的に72時間以内の服用が目安とされますが、効果は時間の経過とともに低下します。ただし、服用後すぐには避妊の成否はわかりません。目安として、服用から3週間たっても月経が来ない場合は、妊娠検査薬をつかうか、産婦人科を受診して妊娠の有無を確認してください。
アフターピルは100%妊娠を防げる方法ではありません。適切に使用した場合でも、妊娠する可能性は残ります。
なお、現時点で日本で承認されている緊急避妊薬は、レボノルゲストレル(1.5mg)のみです。
アフターピルの主な副作用と発生確率
日本で承認されているアフターピル(レボノルゲストレル)において報告されている、主な副作用とその発生確率は以下のとおりです1)。
※これらの数値は、限られた条件下で行われた国内第III相臨床試験に基づくもので、実際の使用状況では発生頻度が低く報告されている副作用もあります。
アフターピルを服用すると、上記のような副作用が起こることがありますが、吐き気や頭痛、倦怠感などは多くの場合、数時間〜1日程度で自然に軽くなるとされています。一方で、出血や月経のずれは数日〜次の月経まで影響することがあります。
副作用の程度や種類には個人差があるため、気になる症状が続く場合は医療機関への受診を検討しましょう。
性器出血
日本でおこなわれた臨床試験では、アフターピルを服用した方のうち、46%の方に消退出血(子宮内膜が脱落して生じる出血)、14%の方に不正子宮出血がみられたことが報告されています1)。
これらの出血はアフターピルの薬理作用によるもので、アフターピルが適切に作用したことを示す兆候の一つと考えられています。多くは治療を必要とせず自然におさまりますが、出血量が非常に多い、7日以上続く、強い下腹部痛をともなう場合は、異所性妊娠や他の婦人科疾患などの可能性もあるため、医療機関(婦人科)を受診してください。
また、消退出血がなくても避妊に成功している場合もあるため、出血の有無だけで避妊の成否を判断することはできません。
頭痛
国内臨床試験では、アフターピルを服用した方の12.3%の方に、頭痛の症状がみられたことが報告されています。また、対象人数や記録方法が異なるため頻度に差が出ることがありますが、実際の使用成績調査での頭痛の発生確率は1.4%でした1)。
頭痛は一過性の症状であることが多く、多くの場合、数時間〜1日程度で軽快します。痛みが強く、持続する場合は医療機関へ相談することを検討しましょう。
吐き気
国内の臨床試験では、吐き気の副作用が9.2%の方にみられましたが、実際の使用成績調査での発生確率は2.3%でした1)。吐き気は比較的軽度で、短時間でおさまることが多い副作用です。
ただし、服用後2時間以内に嘔吐した場合、薬が十分に吸収されていない可能性があるため、処方を受けた医療機関・薬局へ連絡してください
なお、アフターピル服用後に吐き気止めを予防的に使用することは、吐き気や嘔吐の発生頻度が低いことから推奨されていません。
倦怠感・傾眠(眠気)
日本でおこなわれた臨床試験では、アフターピルを服用した7.7%の方に倦怠感の症状が、6.2%の方に傾眠(眠気)がみられたことが報告されています。なお、実際の使用調査での傾眠(眠気)の発生確率は1.0%でした1)。
これらはホルモン変化にともなう一時的な症状と考えられています。日常生活に支障が出るほど強い場合や、長く続く場合は医療機関へ相談することが推奨されます。
月経周期のずれ
アフターピル使用後は、月経サイクルが乱れるケースが報告されています。WHOの試験では、約半数の方で生理が予定日より数日早まったり遅れたりする現象が見られました。また、16%の方は服用後1週間以内に予定外の出血が起こっています1)。
アフターピルの服用後、3週間以上月経が来ない場合は、妊娠検査薬を使用する、または医療機関を受診してください。
なお、アフターピルを服用しても将来妊娠しにくくなることはなく、妊娠する力(妊孕性:にんようせい)は速やかに回復するとされています。
熱っぽさ
アフターピルを服用後に、体が火照るように感じる症状(熱感)が現れる場合があります。発生頻度は0.1〜5%未満と報告されています2)。
発熱が続く、全身症状をともなう場合は他の原因も考えられるため、医療機関へ相談してください。
すぐに受診したほうがいい症状
アフターピルを服用したあとに、次のような症状がみられる場合は、早めに医療機関(婦人科)を受診してください。
- 強い下腹部痛がある
- 片側だけの下腹部痛が続く
- 出血量が非常に多い(ナプキンが短時間でいっぱいになるなど)
- 出血が長く続く、または徐々に増えている
- めまい、立ちくらみ、冷や汗などをともなう
これらの症状がある場合、異所性妊娠(子宮外妊娠)など、緊急対応が必要な状態が隠れている可能性があります。
アフターピルの服用後に出血が起こること自体は珍しくありませんが、強い痛みや異常な出血をともなう場合は、自己判断せず医師の診察を受けることが重要です。
アフターピルを吐いてしまったとき
アフターピルを服用してから2時間以内に吐いてしまった場合、薬の成分が十分に吸収されていない可能性があります。この場合は、追加でアフターピルの服用が必要になる可能性もあるため、処方を受けた医療機関や薬局へすぐに連絡し、指示を確認してください。
一方、服用から2時間以上経過してから嘔吐した場合は、一般的に薬剤は十分に吸収されていると考えられ、追加服用は不要とされます。ただし、嘔吐のタイミングが2時間前後で判断が難しい場合や、不安がある場合は、自己判断せず医療機関や薬局へ相談しましょう。
アフターピルを服用するタイミング
アフターピルは、避妊をしなかった、または避妊が不十分だった場合、性交渉後にできるだけ早く服用することが重要です。一般的には72時間以内(3日以内)の服用が推奨されており、時間がたつほど避妊効果は低下するとされています。ただし、72時間を過ぎても120時間(5日)以内であれば、レボノルゲストレルによる避妊効果が期待できる場合があります。72時間を過ぎている場合でも、できるだけ早く医療機関へ相談してください。
さらに、性交後5日以内(120時間以内)であれば銅付加子宮内避妊器具(IUD)を挿入することで、緊急避妊として対応できる場合があります。この方法は薬剤による緊急避妊よりも高い避妊効果があるとされています。この方法は、医師による判断と処置が必要となるため、適応の可否も含めて医療機関で相談しましょう。
アフターピル服用後の注意点
アフターピルの効果の有無は、服用直後には判断できません。アフターピルを服用後、月経が予定日から1週間以上遅れた場合や、服用から3週間経っても生理がこない場合は、妊娠検査薬をつかうか医療機関を受診して妊娠の有無を確認しましょう。
また、アフターピルは排卵の時期を一時的に遅らせる作用があるため、服用後に避妊をせずに性交をすると、新たに排卵が起こったタイミングで妊娠する可能性があります。
妊娠を望まない場合は、次の月経が来るまで、コンドームなどによる確実な避妊を継続することが大切です。
今後の避妊方法について不安がある場合は、低用量ピルなどの継続的な避妊法について、医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
アフターピルの服用は将来の妊娠に悪影響を与える?
アフターピルを服用しても、将来的に妊娠する力が低下することはないとされています。
緊急避妊薬は一時的に排卵のタイミングを遅らせる作用をもつ薬であり、長期的に排卵や妊娠に影響を及ぼすことは確認されていません。
服用後は、次の周期以降に排卵が再開し、妊娠できる状態へ戻ると考えられています。また、現在のところ、アフターピルの使用が将来の妊娠率を下げるという報告はありません。
アフターピルの副作用に関するよくある質問
アフターピルの副作用に関してよくある質問に回答します。
アフターピルを服用しても副作用がでない人はいる?
アフターピルを服用しても、副作用をほとんど感じない人もいます。国内で行われた使用成績調査によると、92%の方には副作用がみられなかったという報告があります。
ただし、この調査は医療現場で報告された症状をもとに集計されたものであり、軽い症状が含まれていない可能性もあります。実際には、出血や吐き気などの軽度な変化を感じても、自然におさまるケースが多いとされています。
なお、副作用の有無だけで、避妊効果の有無を判断することはできません。
アフターピル服用後のおりものに血が混じるけど大丈夫?
アフターピル服用後は、妊娠の有無にかかわらず出血を起こす可能性があります。WHOの試験では、16%の方が予定月経とは別に、服用後7日以内に出血を経験しています1)。
服用後に出血が起こること自体は珍しくありませんが、下腹部に痛みをともなう場合や、予想外の不正出血が続く場合は注意が必要です。強い下腹部痛、片側の痛み、めまい、出血が多い・長く続く場合は、早めに医療機関(婦人科)を受診してください。
アフターピルは40代でも服用できる?
40代の方でも、適切な避妊ができなかった性交のあとにアフターピルを服用できます。緊急避妊薬の使用に年齢制限はなく、妊娠の可能性がある年齢・状態であれば、年齢にかかわらず服用対象となります。
アフターピルと低用量ピルの違いは?
低用量ピルは、毎日決まった時間に服用を続けることで、非常に高い避妊効果が得られる方法です。服用を中止すれば、排卵機能は通常すみやかに回復します。
一方、アフターピルは、あくまで緊急時に使用する避妊方法です。避妊ができなかった性交のあと、できるだけ早く服用することで、妊娠の可能性を大きく下げる効果があるとされています。ただし、通常の避妊方法の代わりとして繰り返し使用するものではありません。
院長からのメッセージ
「避妊に失敗したかもしれない」と気づいたとき、不安や焦りを感じるのは当然のことです。また、アフターピルの副作用について心配される方も多くいらっしゃいます。
アフターピルは、できるだけ早く服用するほど避妊効果が高まります。副作用としては出血、吐き気、頭痛などが報告されていますが、多くは一時的で、数時間から1日程度で自然に軽くなることがほとんどです。実際の使用調査では、92%の方に副作用がみられなかったという報告もあります。
大切なのは、副作用を恐れて服用をためらうことで、避妊の機会を逃してしまうことです。性交後72時間以内、できれば早ければ早いほど効果的です。
アフターピルを服用しても、将来の妊娠する力が低下することはありません。また、年齢制限もなく、妊娠の可能性がある方であれば使用できます。
不安なことがあれば、遠慮せずに医療機関を受診してください。適切なタイミングでの服用と、その後のフォローアップが大切です。
参考文献
1)日本産科婦人科学会.緊急避妊法の適正使用に関する指針(令和7年改訂版).日本産科婦人科学会ウェブサイト
2)PMDA.ノルレボ錠1.5mg.あすか製薬株式会社
日本産婦人科医会.緊急避妊について.日本産婦人科医会ウェブサイト

