「妊娠検査薬で何度検査しても陰性なのに、生理が来ない」
そのような状況に不安を感じている方もいるでしょう。
実際に「ずっと陰性だったのに妊娠していた」というケースは稀ではありますが起こり得ます。多くは検査時期や使い方の問題であり、適切なタイミングと使用方法で再検査することが大切です。
妊娠検査で陰性が続いているのに生理が来ない場合は、婦人科を受診しましょう。無月経の状態を放置するとホルモンバランスの乱れや病気が隠れていることもあるため、早めに相談することが重要です。
妊娠検査薬がずっと陰性でも妊娠していることはある?
妊娠検査薬でずっと陰性が出ていても、実際には妊娠しているケースはありえます。
妊娠検査薬は尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを検出して妊娠を判定する仕組みです。hCGは妊娠したときのみ分泌されるホルモンで、受精卵が子宮内膜に着床すると分泌されはじめますが、検査薬が反応できる量に達するまでには時間がかかります。
検査時期が早すぎたり検査薬の使用方法に誤りがあったりすると、妊娠していてもhCGが検出されない「偽陰性」となることがあるのです。
検査薬が陰性のままでも妊娠していた理由
妊娠検査薬が陰性だったにもかかわらず妊娠していたケースの多くは、検査時期や使い方などが適正でないという、正常妊娠における一時的な要因によるものです。
一方で、まれではありますが、異常妊娠や流産が関係している場合もあるため、可能性を分けて理解しておくことが大切です。
妊娠検査薬で偽陰性となる主な理由として、以下があげられます。
検査時期が早すぎた
生理予定日より前に検査すると、hCGが検出できる量に達しておらず、妊娠していても陰性になることがあります。
一般的な妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から、早期検査薬は生理予定日当日から使用可能です。
決められた時期より早く検査すると、hCGが検出感度に達していないため、妊娠していても陰性と判定される場合があります。
生理周期が不規則で排卵がずれた
生理不順の方は、想定より早い妊娠週数で検査してしまうことがあります。
月経周期が28日であれば、排卵の時期は生理開始からおよそ14日目が目安です1)。しかし、生理周期が不規則な場合は排卵日がずれやすく、妊娠成立の時期も予想より遅れることがあります。
着床から日が浅い妊娠の極初期では、hCGが十分に分泌されておらず陰性と判定されることがあります。
日数計算を間違えた
生理予定日の思い違いで検査時期が早すぎた結果、陰性になることも考えられます。
前回の生理開始日を実際より前の日付で記憶していると、生理予定日も前倒しで計算してしまい、検査のタイミングが早くなることがあります。
また、生理周期を実際より短く見積もってしまうことも、生理予定日を間違えて計算する原因です。
妊娠検査薬の使い方に問題があった
検査薬の使い方が間違っていると、試薬が適切に反応せず正しい結果が得られません。
具体的には、以下のケースが考えられます。
- 判定時間より早く読み取った、または判定時間を過ぎてから読み取った
- 尿をかける量が多すぎた、または少なすぎた
- 紙コップに採尿後、時間が経過してから検査した
また、使用期限切れの検査薬や、高温多湿で保管していた検査薬は、試薬が劣化して正しい結果が得られないことがあります。
子宮外妊娠(異常妊娠)している
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮以外の部位に着床してしまう状態です。子宮外妊娠の場合も妊娠検査薬では陽性が出ますが、正常妊娠のときと比較してhCG値の上昇が緩やかになる傾向もあるとされています。
このため、検査タイミングによっては妊娠反応が正しく検出されないことが想定されます。
子宮外妊娠は放置すると大量出血をきたして命に関わる危険があるため、早期発見が重要です。検査が陰性であっても生理が来ない状態が続き、腹痛や不正出血も伴う場合は速やかに受診してください。
稽留流産によりhCGが低下している
稽留流産とは、出血や腹痛といった流産の兆候がないまま、子宮内で胎児(または胎芽)の発育が停止している状態です。一度妊娠が成立しているため、早いタイミングで検査すると陽性を示すこともあります。
ただし、流産後はhCGが徐々に低下していくため、検査タイミングによっては陰性となり「生理が来ないのに陰性」という状況が起こる場合があります。
尿中hCGが極めて高濃度で偽陰性になることがある
ごくまれに、尿中のhCG濃度が極端に高い場合、妊娠検査薬が正しく反応せず、偽陰性となることがあります(専門的にはhook effectといいます)。多胎妊娠や胞状奇胎など、hCGが通常より著しく多く分泌される状態で起こる可能性があります。
ただし、このようなケースは非常にまれであり、妊娠初期に一般的な妊娠検査薬を使用した場合に起こることはほとんどありません。通常の妊娠や双子妊娠で妊娠検査薬が陰性になることはほぼ無く、陰性が続く主な原因は、検査時期や排卵日のずれによるものです。
ずっと陰性でも生理が来ない場合の対処法
何度か検査しても陰性が続き、生理も来ない場合は、「再検査で確認する段階」と「早めに受診したほうがよい段階」があります。
1週間後にもう一度検査する
まずは、適切なタイミングで検査していたかを振り返ってみてください。生理予定日や推奨時期より早い段階で検査していた場合は、1週間ほどあけて再検査することで、正確な結果が得られることがあります。
hCG分泌のスピードや量には個人差があり、推奨時期に検査しても偽陰性となる場合があります。hCG濃度は日ごとに高くなるため、時期をあけて再検査することで、より正確な結果を確認することが大切です。
婦人科を受診する
再検査しても陰性で、生理も来ない場合は婦人科を受診してください。医療機関では、血液検査によるhCG測定と超音波検査を組み合わせ妊娠を判定します。
超音波検査により子宮内の胎嚢が確認できるのは、およそ妊娠5週頃とされています3)。このため、生理予定日から1〜2週間後を目安に受診するとよいでしょう。
また、生理が来ない場合は月経異常や無月経の可能性もあります。ホルモンバランスの乱れや子宮・卵巣の病気が隠れている場合もあるため、放置せず医師の診察を受けてください。
なお、以下に当てはまる場合は、再検査を待たずに婦人科を受診しましょう。
- 再検査しても陰性が続いている
- 生理予定日から2週間以上経っている
- 下腹部痛や不正出血を伴う
正しい結果を得るための妊娠検査薬の使い方
妊娠検査薬でより正確な結果を得るためには、正しい使い方を守ることが重要です。妊娠検査薬でずっと陰性で再検査を検討する場合、再検査の前に、検査時期や使い方に問題がなかったかを確認しましょう。
なお、妊娠検査薬の仕組みや使い方については、以下の記事もご覧ください。
適切なタイミングで検査する
検査のタイミングが早すぎると、hCGの分泌量が検出感度に達せず、妊娠していても陰性と判定されることがあります。
一般的な妊娠検査薬は生理予定日の1週間後以降に使用します。生理不順で生理予定日がわからない場合は、性交日から3週間以上経ってから検査するのが目安です。
検査結果に影響しやすいポイント
妊娠検査薬を使う時、正確な判定のために以下のポイントも確認しましょう。
・検査前に水分を大量に摂りすぎない(尿が薄まる可能性がある)
・尿をかける時間・判定までの待ち時間について、各商品の説明書に記載されている事項を守る
・使用期限内の検査薬を使い、高温多湿・直射日光を避けて保管する
一般的な妊娠検査薬では、検査を正しくおこなうと「終了表示」のラインが現れます。このラインが出ない場合は操作ミスが考えられるため、別の検査薬でやり直してください。
妊娠検査薬がずっと陰性のときによくある質問
妊娠検査薬がずっと陰性で不安感を抱いている方から、よく寄せられる質問に回答します。
Q. 双子だと妊娠検査薬は陰性になりやすいですか?
通常、双子であっても妊娠検査薬は陽性になります。多胎妊娠だからといって、陰性になりやすいわけではありません。
ごくまれに、hCG分泌が非常に多い場合に検査薬が正常に反応せず、偽陰性となったケースが報告されていますが2)、妊娠初期の一般的な経過で起こることはほとんどありません。
Q. 生理が来たのに妊娠していることはありますか?
生理だと思っていた出血が、実際には妊娠初期の出血だった場合、妊娠している可能性はあります。
受精卵が子宮内膜に着床すると、軽い出血や点状出血が起こることがあり、生理予定日と近い時期にみられるため、生理と区別がつきにくいのが特徴です。
米国産科婦人科学会によると、妊娠初期の出血は15〜25%で起こるとされており4)、決して珍しくはありません。
いつもより出血量が少ない、期間が短いなど普段と違う場合は、再検査または婦人科を受診してください。
Q. 妊娠を疑うサインには何がありますか?
妊娠初期の症状として、たとえば以下の症状が現れることがあります。
- 食欲がない、吐き気がする
- お腹が張る
- トイレが近くなる
- 便秘気味になる など
これらの症状は妊娠5〜6週頃から現れはじめることが多いとされています5)。ただし、生理前の体調変化とも似ているため、症状だけで妊娠を判断することはできません。
妊娠の可能性がある場合は、適切なタイミングで妊娠検査を行いましょう。
Q. 妊娠以外で生理がこない原因には何がありますか?
妊娠していないのに生理がこない場合、以下のような原因が考えられます。
- 急な体重変動:過度なダイエット、肥満など
- ストレスや環境の変化
- ホルモン異常:甲状腺機能の異常、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症など
- 子宮・卵巣の病気
なお、3か月以上生理が来ない状態は「無月経」と呼ばれ、放置すると将来の妊娠に影響する可能性があります。生理が来ない状態が続く場合は、早めに婦人科で相談してください。
院長からのメッセージ
妊娠検査薬で陰性が続くのに生理が来ない状況は、妊娠を望んでいる方にとっても、望んでいない方にとっても、不安を感じるものです。そのような気持ちになることは、とても自然なことです。
多くの場合、陰性が続く理由は検査のタイミングが早すぎたことや、排卵日のずれによるものです。生理周期が不規則な方は特に、想定より妊娠週数が早い段階で検査してしまうことがあります。まずは1週間ほど待って、もう一度検査してみてください。
再検査しても陰性なのに生理が来ない場合や、下腹部痛や不正出血を伴う場合は、早めに婦人科を受診してください。子宮外妊娠のような緊急性の高い状態が隠れている可能性もありますし、妊娠以外にもホルモンバランスの乱れや婦人科の病気が原因となっていることもあります。
「ずっと陰性だったのに実は妊娠していた」というケースは確かにありえなくはないのですが、検査時期や使い方を見直すことで、より正確な結果が得られることがほとんどです。
妊娠を望んでいる方も、そうでない方も、ご自身の体の状態を正しく知ることが大切です。不安や疑問があるときは、一人で悩まず、婦人科で相談してみてください。適切な検査と診察で、はっきりとした答えが得られるはずです。
どんな小さな心配でも、遠慮なく医療機関に相談してくださいね。
参考文献
1)日本生殖医学会. Q1妊娠はどのように成立するのですか?.日本生殖医学会ウェブサイト.
3)日本産婦人科医会. 5.<産科一般超音波検査・初期編> 正常所見4-7週. 日本産婦人科医会ウェブサイト.
4)American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Bleeding During Pregnancy. ACOG website.
日本産科婦人科学会. 流産・切迫流産. 日本産科婦人科学会ウェブサイト.
渋谷区薬剤師会. 妊娠検査薬について.
北海道薬剤師会. セルフチェック検査薬とは?.
ロート製薬. 妊娠のはじめてガイド.
PMDA. 妊娠検査薬(チェックワンファスト)添付文書.
PMDA. 妊娠検査薬(ドゥーテスト・hCGa)添付文書.
こども家庭庁. はじめようプレコンセプションケア.
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ.

