診察予約
最終更新日:
2026-01-13

生理で眠くなったとき、そのまま寝た方がいいのか、それとも我慢した方がよいのか悩んでいませんか。

生理前や生理中の眠気は、女性ホルモンの変動などによって起こることがあります。この記事では、生理で眠くなる原因や眠気を和らげる過ごし方、受診すべき目安について解説します。月経周期にともなう体の変化について理解し、眠気と上手に付き合っていきましょう。

生理で眠いときは無理せず寝た方がいい?

生理前や生理中に強い眠気があるときは、無理をせず体を休めることが大切です。

生理の時期は睡眠の質が低下しやすく、夜中に目が覚めたり眠りが浅くなったりするため、日中に眠気が出やすくなります。体が休息を求めているときは、普段より早めに横になったり、短時間の仮眠をとったりしてゆっくり過ごしましょう。

体調に合わせて、仕事の予定を調整したり休暇を取ったりしながら、無理のないスケジュールで過ごすことを心がけてみてください。また、毎日同じ時間に起きて寝る習慣を続けると、気分の波や疲れを和らげることができます。

生理のときに眠い・寝たいと感じる主な原因

生理前や生理中に眠くなる背景には、主に以下の4つの要因が関係しています。

  • プロゲステロンの代謝物による影響
  • 基礎体温の変化による睡眠の質低下
  • 月経前症候群(PMS)の症状
  • 月経の出血による鉄分不足

女性ホルモンの影響で眠気を誘う物質が増える

生理前に眠気を感じやすくなるのは、女性ホルモンの影響が関係している可能性があります。

排卵後から生理前の時期には、「プロゲステロン」という女性ホルモンが増えます。このホルモンが体の中で変化すると、「アロプレグナノロン」という物質ができます。

アロプレグナノロンには、体をリラックスさせて眠りを促す働きがあります。生理前にはこの物質が増えるため、日中でも眠気を感じやすくなると考えられています。ただし、この物質と眠気の関係については、まだ研究中の段階ではっきりとした結論が出ているわけではありません。

基礎体温の変化による睡眠の質低下

生理前の眠気には、月経周期にともなう基礎体温の変化も関係しています。

月経周期は卵胞期・排卵期・黄体期・月経期にわけられます。このうち、生理前にあたる黄体期では、卵胞期に比べて基礎体温が0.3〜0.7℃ほど高くなります1)

黄体期では、夜になっても深部体温(体の奥の温度)があまり下がらず、朝になっても体温がゆっくりとしか上がりません。その影響で、深い睡眠が十分にとりにくく眠りが浅くなってしまうため、日中に強い眠気を感じやすくなります。

月経前症候群(PMS)の症状

月経前症候群(PMS)の症状として、眠気のほかにも、気分の落ち込みやイライラ、集中力の低下など、複数の症状が同時にあらわれることがあります。

<PMSの症状の例>

体の症状 心の症状
腰痛
頭痛
むくみ
疲労感
乳房の張り
下腹部の張り など
不安
イライラ感
抑うつ気分
気分の落ち込み など

PMSでは、月経の3〜10日前ごろから心身の不調が起こり、月経が始まると自然に軽くなっていきます2)。原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンの変動や、脳内の神経伝達物質のバランスの変化が関係していると考えられています。

海外の研究では、PMSのある女性は、ない女性に比べて睡眠の質の低下リスクが高いことが報告されています。生理前に不調が重なる場合は、医療機関への受診を検討してみましょう。

月経の出血による鉄分不足

月経による出血で鉄分が不足すると、眠気を感じやすくなることがあります。鉄分は酸素を運ぶヘモグロビンの材料となるため、不足すると体が酸素不足の状態になり、だるさや眠気が出やすくなります。

また、出血量が多い人は「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」にも注意が必要です。夕方から夜にかけて足のムズムズ感や不快感が現れ、じっとしていられなくなる症状が特徴です。これにより寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりすることで、日中の眠気につながる場合があります。

経血量が多い、足に違和感があるといった症状がある場合は、貧血の可能性も考えてみましょう。

眠気を和らげる生理周期の過ごし方

生理前や生理中の眠気は、日中の過ごし方を工夫したり、夜の睡眠環境を整えたりすることで軽くなることもあります。

ここでは、眠気を和らげるために意識したい生活習慣を紹介します。 

効果的に昼寝の時間をとる

日中どうしても眠気がつらいときは、無理をせず短時間の仮眠をとるのもひとつの方法です。昼寝をするときは、以下のポイントを意識してください。

  • 15分程度にとどめる
  • 昼食後から15時までのあいだで仮眠をとる

15分程度の短い仮眠であれば、眠気が和らぐだけでなく集中力も回復し、仕事や家事など作業に取り組みやすくなります。横になれない場合でも、机に伏せたり椅子にもたれたりするだけで効果が期待できます。

ただし、30分以上眠ると目覚めたあとにだるさが残りやすくなり、夜の睡眠にも影響することがあります。寝過ぎを防ぐため、アラームを設定するなどの工夫をしましょう。

眠気をさます工夫をとり入れる

昼寝が難しい場合は、ちょっとした刺激で眠気を和らげる方法を取り入れてみましょう。五感に働きかけることで、気分がすっきりしやすくなります。

  • 冷たい水を飲む
  • 深呼吸を繰り返す
  • 席を立って少し歩く
  • 軽くストレッチする
  • アロマオイルを活用する
  • 窓を開けて空気を入れ替える

冷たい刺激や軽い運動は、眠気が強いときの気分転換として取り入れやすい方法です。アロマオイルはハンカチに1滴垂らすだけでも手軽に使えます。なお、ペパーミント精油には、覚醒効果をもたらす可能性があると報告されています。

夜の睡眠の質を高める

睡眠の質を高めることにつながる具体的な方法を紹介します。

時間帯 具体的な方法
毎日同じ時間に起きる
起床後に朝日を浴びる
日中 無理のない範囲で体を動かす
(ヨガ、ストレッチ、マッサージなど)
就寝1〜2時間前に入浴する
スマートフォンやパソコンの使用を控える
カフェインやアルコールの摂取を控える

朝起きたら朝日を浴び、日中もできるだけ日光にあたる時間をつくりましょう。体内時計が整い、睡眠のリズムが安定しやすくなります。

夜は、就寝の1〜2時間前に入浴すると、体温が下がるタイミングで自然と眠気が訪れやすくなります。スマートフォンやパソコンのブルーライトは睡眠を妨げるため、就寝前の使用は控えるようにしましょう。

食事の内容やとり方を工夫する

食事のとり方を工夫することも、生理にともなう不調を和らげる助けになります。

生理中は経血によって鉄分が失われやすく、鉄分が不足すると眠気やだるさを感じやすくなります。そのため、普段から意識して鉄分を摂取することが大切です。

また、ビタミンB6やカルシウム、ビタミンDは、PMSの改善に役立つ可能性があると報告されています。生理前の不調が気になる場合は、これらの栄養素も意識して取り入れてみましょう。

以下の表は、それぞれの栄養素を多く含む食品例です。

栄養素 食品例
鉄分 レバー、赤身肉、小松菜、ほうれん草など
ビタミンB6 鶏肉、魚、じゃがいも、バナナなど
カルシウム 牛乳、ヨーグルト、チーズ、ブロッコリーなど
ビタミンD サケ、サバ、きのこ類など

なお、甘いものは気分転換になる一方、糖分のとり方によっては血糖値が急上昇したあと急降下し(いわゆる「血糖値スパイク」)、眠気やだるさを引き起こすことがあるので注意しましょう。

生理と眠気のパターンを記録してみる

生理周期に合わせて眠気の変化を記録すると、眠くなりやすい時期のパターンを把握しやすくなります。日記やスケジュール帳、生理管理アプリなどを使い、まずは2周期ほど毎日記録してみましょう。

体調のリズムが見えてくると、「この時期は眠くなりやすいから予定を控えよう」など、事前に対策を立てやすくなります。また、生理前に眠気が集中し、生理が始まると落ち着く場合は、PMSによる眠気の可能性も考えられます。

記録を続けることで困りごとを整理しやすくなり、医療機関を受診する際の参考資料としても役立ちます。

<記録する内容の一例>

記録項目 記録する内容
生理周期 生理開始日・終了日
起床時間/就寝時間 実際に起きた時間/布団に入った時間
睡眠の質 寝付けなかった/途中で起きた/眠りが浅かった/朝起きるのがつらかった など
日中の眠気 眠気の強さを1〜4段階で評価
昼寝の有無と時間 昼寝をした時刻と時間(例:13:00〜13:15の15分間)
カフェイン摂取量 コーヒー・紅茶・エナジードリンクなどの種類と杯数、摂取時刻
運動の有無 運動の種類と時間(例:ヨガ30分、散歩20分など)
その他の症状 イライラ、むくみ、頭痛、だるさなど

生理の眠気がつらいときの受診目安

セルフケアを行っても眠気がつらい場合や、次のような状態が続く場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

  • 生理周期に合わせて毎月同じような眠気が現れる場合
  • 眠気以外にも不調を伴う場合

医師のアドバイスや治療によって、症状が軽減できることがあります。

生理周期に合わせて毎月同じような眠気が現れる場合

生理前の時期に合わせて毎月同じような眠気が現れ、月経開始とともに軽くなる場合、PMSの可能性があります。

PMSと診断された場合、まずはカウンセリングや生活習慣の改善(睡眠・運動・食事など)が行われます。また、症状の程度に応じて、低用量ピルや漢方薬などによる治療も検討されます。

受診の際は、症状を記録したメモを持参すると、経過を医師に伝えやすくなります。

眠気以外の不調をともなう場合

眠気以外に、気分の落ち込みや強いイライラ、無気力感などの症状をともなう場合は、月経前不快気分障害(PMDD)の可能性があります。

PMDDはPMSよりも症状が重く、精神的な不調が目立つのが特徴で、仕事や学校生活に支障をきたすこともあります。カウンセリングや薬による治療で、症状のコントロールが行われます。PMDDと診断される女性は1.2〜6.4%と報告されています3)

また、経血量が多く、動悸や息切れをともなう場合は、鉄欠乏性貧血が原因となっていることも考えられます。この場合、鉄剤による補充や、ホルモン剤での経血量の調整が必要になることがあります。

眠気とあわせて気になる不調があるときは、一人で抱え込まず、医療機関への受診を検討してみてください。

院長からのメッセージ

生理の時期に強い眠気を感じて、仕事や勉強に集中できないと悩んでいる方は多くいらっしゃいます。

生理前や生理中の眠気は、女性ホルモンの変動や基礎体温の変化によって起こる、体の自然な反応です。特に黄体期には深部体温があまり下がらず、深い睡眠が取りにくくなるため、日中に眠気を感じやすくなります。

大切なのは、無理をしないことです。可能であれば昼食後に15分程度の短い仮眠をとる、難しい場合は軽いストレッチや深呼吸で気分転換を図るなど、ご自身の状況に合わせた対策を試してみてください。

また、毎月同じような眠気が繰り返される場合や、眠気以外にも気分の落ち込みやイライラなどの症状がある場合は、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の可能性があります。症状を記録したメモを持参して、医療機関を受診してみましょう。治療によって症状が軽減できることも多くあります。

参考文献

1)Baker, F. C., Siboza, F., & Fuller, A. Temperature regulation in women: Effects of the menstrual cycle. Temperature (Austin), 7(3), 226-262.
2)日本産科婦人科学会. 月経前症候群(PMS).
3)日本産科婦人科学会. 月経前症候群・月経前不快気分障害に対する診断・治療指針.

関連記事

関連記事がありません
コラム一覧へ